関西テレビ放送株式会社


番組審議会
No.608 2019.9.12
関西テレビ
「TWO WEEKS」について審議
出席の委員

上村洋行 司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長(委員長) / 難波功士 関西学院大学 社会学部長 教授(委員長代行) / 安東義隆 産経新聞社大阪本社 編集局長 / 井上章一 国際日本文化研究センター教授 / 金山順子 適格消費者団体 ひょうご消費者ネット 専務理事 消費生活アドバイザー / 高江洲ひとみ 弁護士 / 通崎睦美 音楽家 文筆家 / 早嶋茂 株式会社旭屋書店 取締役会長

レポート参加

黒川博行 作家

関西テレビ

羽牟正一 代表取締役社長 / 谷口泰規 常務取締役 / 大場英幸 取締役 / 前田ひとみ CSR推進局長 / 安藤和久 制作局長 / 松田茂 制作技術局長 / 中村隆郎 報道番組部長 / 田中昌樹 スポーツ部長 / 島本元信 編成部次長

9月12日に開催された第608回番組審議会では、最初に10月改編について、次にBPO放送倫理検証委員会で審議入りした「胸いっぱいサミット」についての経過報告が行われました。番組審議は7月16日放送の火曜9時ドラマ「TWO WEEKS」の第1話、三浦春馬主演で、殺人の濡れ衣を着せられた男が、白血病の娘を救うために決死の逃亡をするタイムリミットサスペンスドラマに委員の皆様から貴重なご意見をいただきました。

ドラマを見た感想

2週間の時間経過を10回の放送で完結させる内容ということもあり、場面進行にスピード感があり、飽きさせない展開になっていた。
『アジョシ』に似ている、と思った。人物設定が質店の責任者、その後ろに怪しげなオーナーがいて、かわいい無垢な女の子もいる。そこに政治家、検事、刑事がからむあたり、韓国映画風の展開を思わせたが、あとでエンドロールを見ると、やはり原作は韓国ドラマだった。なるほど。さもありなん。
ドラマは主人公を逆境へ追い込みたがっているんですよね。八方塞がりの状況へ追い込むことでドラマを盛り上げようとしているわけです。その意欲が勝つ余り、話を不自然にしていないかなと感じました。
接見の場が、これはないやろうと思ってしまったのと、こんなうかつな弁護士はいないだろうと、皆さんおっしゃいましたけど逃亡する必然性のない逃亡劇のように思えて仕方なかったです。
最初の15分の中で説明されることに、逆に疑問を覚えることがあって。その一つ、検事さんが子供っぽい、愛らしい人なので、検事というのがぱっと飲み込めないし、国会議員と検事の関係も、余りふだん日常生活では考えていない関係なので、いろいろ説明してもらっているんだろうけれども、かえってついていけない原因になった。
移植手術までの2週間、期限を切って展開するカウントダウンドラマ。テンポがよく、非常にスリリングなストーリーが展開されていましたが、その展開の速さについていけず、消化不良のまま最終回を迎える感じです。
家内と一緒にずっと見続けて、最終回まで来てしまいました。予告に最後は怒濤のクライマックスというふうに書いてありましたから、これは楽しみだなというふうに見ているわけです。そういう意味で私にとっては大変不思議なドラマで、横やりを入れながら最後まで見続けて、来週はどうなるのかというふうに見ております。これが私の感想でありました。

出演者について

子役の存在感が大きく、主役かと錯覚してしまいそうな位置づけだった。
私は今回のドラマはなかなかおもしろく見ました。音楽も効果的に使われていたと思いますし、高嶋政伸はいかにも悪いやっちゃなという雰囲気をまき散らしておりましたし、三浦春馬にしても比嘉愛未にしても、なかなか達者な演技でよかったと思います。
三浦春馬さんのドラマというのは以前にWOWOWで「ダイイング・アイ」という東野圭吾さん原作のドラマで、これも今回と同じ周囲の人に翻弄される受け身型の主人公の役でした。こういう役は三浦さんにとってぴったりだと思いました。

ドラマのリアリティーについて

なにからなにまでリアリティーがなく、取材も不足だと思わざるをえないが、このアクの強さゆえに視聴率はとれるのではないか。そんなふうに感じた。
エンターテインメントなんだけれども、リアリティーの欠如がK点を超えるとちょっとあほらしく感じてしまう。私はそう受け取ってしまいました。
リアリティーというのはこの番組では余り追求しないほうがドラマとしては、とプロデューサーが冒頭でもおっしゃっていました。エンターテイメントとしては、それはそれで楽しめるわけです。でも主要人物の設定をいいかげんというか安易に設定をしてしまうというのは、見てるほうとしては番組の中にのめり込むことができなくなる、ということになると思います。

番組に対する疑問点

セブンスタッドのポーカーは子供がするようなルールだし、公判検事の挙動もおかしい。そもそも検事が協力者を仕立てて違法捜査をするはずがない。
骨髄移植手術がこんなに簡単でいいのか。ドナーの検査はもっと詳細に慎重にするだろう。
高嶋政伸がロールスロイスに店を出て乗るわけですが、お店だけが豪華で周りの通りはうらぶれた場末のまちみたいなつくりになっていたと思います。それが狙ったものなのかどうかはわかりませんけれども、銀座や六本木などの雰囲気のほうがよかったんではないのかなと思いました。
黒木瞳扮する国会議員の圧力で、その検事が三浦の殺人事件の担当になりますが、一国会議員の一言で、いとも簡単にできるのがおかしい。
弁護士の接見の場面ですけれども、ドナー提供者なんですけれども、「どうにかなりませんかと」いうときに、人の命がかかっている局面ですから、当然事実確認しますよね。法律上、勾留の執行停止というような条文もあって、もし私があのときの弁護士だったら、1回検討して絶対トライするはずなんですよ。弁護士はあの場に行って、相手と信頼関係を築かないといけないのに、「嘘ついてまで」という発言をすること自体、弁護士のあり方として違うことをしてると思います。
主人公は最初の殺人事件で柴崎の身がわりとして逮捕されます。殺された男の娘は当時、柴崎が父親を殺すところを目撃しています。法廷でも「その人じゃない」と叫んでいる。その証言はなぜ採用されなかったのでしょうか。

チェインストーリーやホームページについて

GYAO!配信のチェインストーリーに以前と比べて工夫がみられたのがよかった。かつては本編に入る前に別の番組宣伝2本が流されていたがそれがなくなって即本編放送になったこと、内容もドラマ本編を補足するものが大半になったことなどである。
ホームページは見やすく、わかりやすくなっていました。見逃し配信までは見なくても、1回見逃しても、次、見ようかなと思えるようなつくりになって、それはいいかなと思いました。

演出や脚本・構成について

柴崎社長のキャラクター設定や小道具などがいかにも悪役とわかる作りだったのが少し残念。もう少しひねりがほしい。
少女はパパが死んだと言い聞かされてきたわけです。にもかかわらず言うんですよね。パパだよね、と。つまりこの女の子は母親を信用していないんですよね。母は嘘をついていると見透かしていることになります。母に頼ってすがる無垢な少女にかなり恐ろしい洞察力があった。大人の世界がどうなっているのかをわきまえているという設定になっています。
三浦春馬さんがやっぱり格好いいお兄さんとしか見えなくて、すごく複雑な背景を背負った込み入った役柄の人にはなかなか見えず、出所後の自堕落な生活もコントみたいに見えてしまって、博打したりとか、行きずりのしゅはまはるみさんと寝たりとか、余り説得力とかリアリティーとか、そういう複雑なものを背負った人というふうにはなかなか見えず、ただの格好いい人と見えた。
俳優さん云々の話ではなくて、女性検事の設定がまずい。こういう余りにも無知で無能な、幾ら新人といっても、無能ぶりを強調した設定にしてしまうと、検事という番組の登場人物の中でも一番かなめの部分が希薄になってしまうという気がしました。見てるほうとしては随分イライラする感じがあったんですね。
主人公が追い込まれなければ話が進まないというのはわかるんですけれども、追い込まれる過程とか理由が、現実からあまりにも外れたことをやってしまうと、ご都合主義のストーリーになっていて、おもしろさにやっぱりどうしても欠けてしまうなと思いました。

番組に対する提言

小説家の篠田節子さんがアートのことを書いておられる小説って、音楽小説とか、美術の小説とかたくさんあるんですけれども、人の心理とか、ディテール、演奏している曲の難しいフレーズのその勘どころまで書き込んでいたりするんですね。よくぞここまでというくらい。そういうのってやっぱり同業者が見ても、引き込まれた上でおもしろい。やはりこの番組も、弁護士さんが見てもここまでやるのかとか、白血病にかかっている人が見ても、なぜか引き込まれるというところがないと、本当の上質なエンタメまでは持っていけないんじゃないかなと思うんです。
検事として守らなければいけない検事倫理というものがあって、それを月島検事は恐らく曲げて行動してると。でも、曲げて行動する理由は何なのかという詳細を詰めることによってもっと受け入れられやすくなると思う。職業の中核というか、あるべき姿勢が何なのかというところを押さえた上でのアレンジだったらもっと皆さん受け入れられやすくなるのかなと今回のお話聞いてて思いました。

ドラマの今後への期待感

動画配信も多く、今はドラマの見方が多様化されて難しい時代に入りました。アーカイブみたいなところにたくさん映像とか過去のドラマや映画がたまっていくと、キーワード検索みたいに掘り出して見ることも割と最近するので、この作品もタグはたくさんついている気がします。芳根京子さんが若いころどんな役をやっていたのか?、バッファロー吾郎さんとか倍賞美津子さんも私はタグとして生きそうな気がしたのとか、近藤公園さんとかもおもしろいなとか思ったりとか、あの子役の子が将来大化けしたらとか、意外と掘り出しがいがあるポイントとかタグがたくさんこのドラマにはついていると感じました。

番組審議会に出席して

制作局 東京制作部 プロデューサー 岡光寛子
今回初めて番組審議会に出席させていただきました。今作は、父性愛をテーマにした逃亡劇です。エンタメ感の強い作品ですので、リアリティ—に乏しいというご指摘が出ることは予想しておりましたが、様々なご意見をお聞きして、どのような点に留意すべきだったかその一端をお聞きできた気がしております。フィクションの創作に携わる立場なので、リアリティ—をどう作品に生み出すか、物語の世界に没入することを妨げてしまわないようなエンターテイメント性の高いドラマ作りを、今後も目指していきたいと思います。非常に貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。

〒530-8408 大阪市北区扇町2丁目1-7 関西テレビ放送 番組審議会事務局

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