関西テレビ放送株式会社


番組審議会
No.603 2019.3.14
関西テレビ
「ザ・ドキュメント畳の上で死ぬって、大変だった」について審議
出席の委員

上村洋行 司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長(委員長) / 難波功士 関西学院大学 社会学部長 教授(委員長代行) / 安東義隆 産経新聞社大阪本社 編集局長 / 金山順子 適格消費者団体 ひょうご消費者ネット 専務理事 消費生活アドバイザー / 黒川博行 作家 /
高江洲ひとみ 弁護士 / 通崎睦美 音楽家 文筆家 / 早嶋茂 株式会社旭屋書店 代表取締役会長

レポート参加

井上章一 国際日本文化研究センター教授

関西テレビ

福井澄郎 代表取締役社長 / 宮川慶一 専務取締役 / 前田ひとみ CSR推進局長 / 安藤和久 制作局長 / 松田茂 制作技術局長 / 岡宏幸 編成部長 / 萩原守 報道番組部長 / 田中昌樹 スポーツ部長

2月28日に放送された「ザ・ドキュメント畳の上で死ぬって、大変だった」在宅医療を提唱してきた早川一光医師(イッコウ先生)の晩年の姿を通して人生の終末期について考えるドキュメンタリーに、委員の皆様から様々なご意見をいただきました。

番組に対する評価

上質なドキュメンタリーでした。うまく編集されていたと思う。早川先生は最高の死に方ができてよかった。
内容が内容なので、楽しく見ましたとは言えないが、非常に興味深く最後まで見入った。
医療とは何なのかとか、生きるとはどういうことかとか、死ぬとは一体何なのかといった根源的な問題を問われていたと感じた。
最後の方でイッコウ先生が、自分が住民に言ってきたことは正しかったのか、間違った道を示してきたのではないのかというその迷いもよくわかるし、それがもし間違っていたのだったら、自分の今までは何だったのか、極端な言い方をすると、自分の生涯を否定するということになりかねないぐらい重いテーマをずっと背負ってきておられたのだということもよく伝わってきた。
在宅か病院かいうことに関して答えも出ないし、モヤモヤしたまま終わるが、明快な解決を出すようなことよりも、モヤモヤが残って考えなきゃいけない問題を出されるという、そういうドキュメンタリーもあってもいい。

番組を見た感想

5年前のドキュメンタリーの番組をまだ覚えていて、特に死ぬところを撮ってほしいと早川先生が言われたのは物すごくひっかかっていたので、あの話がその後どうなったかを見られてよかった。
医学というと普通は科学、サイエンスなのでしょうが、この番組の出てきていた医学は科学というよりは、むしろ職人芸の世界であったというふうに見た。
もしかしたら私がまだ実感がないのか、経験が少ないのかというものもあるのかと思ったが、そこまで心を打つ番組では正直なかった。
結局在宅医療って何だろうとか、治療って何だろうとか、そういったものがモヤモヤしたまま終わってしまった番組だったのかなと思う。
興味深いか、あるいは新しい知識を得られたとかいう意味では、この番組は決して良い番組ではなかったです。でも、こういう人がいるのだなというふうなことをおもしろく見たし、自分がどこで死にたいのか考えさせられた。
主治医のお部屋には、西陣織の機織り機が置いてあった。家で死を迎える人がほとんどいなくなりだしているなか、もう絶滅しかかっているこの装置が映されていたのが暗示的だった。

番組に対する疑問点

早川先生が経営から退いた原因として、不動産トラブルがあり、病院を追い出されたような説明がありました。しかし、詳しい内容がなくとても気になった。

【番組ディレクターより返答】

私自身は本当にすばらしい先生だと思いますが、人生全てうまくいっていたわけではないし、いろいろご苦労があったことも入れたかったのですが、当事者の人がたくさんおり、こういう話はしてほしくないとかいう人もいて、私の中でこのぐらいだったらいいだろうと思って入れたのですが、かえってややこしかったということかと思う。
本当に深夜の番組で、これを見るべき人たち、見たほうがいいような人たちが見られる時間帯ではないので、一体どういった方々に見てもらいたい対象にしているのかなというのはとても疑問に思った。

【番組ディレクターより返答】

私の年齢、50近いのですけれども、親をどこで看取るかというのは非常に切実な問題というか、特に働いている人にとっては家に帰りたいと言われても、帰ってこられたら困るというのが実情だったりするので、本当に親の気持ちと自分たちの気持ち、実際の生活、そういうのを含めて一度親と話し合えたほうがよかったかなということもあり、私たち前後の年齢、それから上で当事者になる方たちに見てほしいと思った。24時55分からの放送は微妙なところだが、私としてはこの時間にしてもらえてよかったかなというふうに思っている。
早川医師は在宅医療がよい、それは理想であると言っていますけども、言っていることが本当に正しいのかなと思った。それを、周りの人がスーパーマンであるとか、人のことを思っているとか持ち上げているのはほんまかな、世の中にこんな何から何まで良い人はおらへんと。

【番組ディレクターより返答】

私自身が、なぜ専門の先生がこんなリアクションなのだろうと思うことはしょっちゅうあって、本当にそこはお医者さん同士でもかみ合わないところがたくさんあった。そういうのを出していくことがいいのかというのも含めて、持ち上げる番組にする気は全くないし、等身大の早川先生を描こうと思ってやったのですが、テレビというメディアに出していい範囲と、出して誰のためになるのかなと思うところがあったりもして、物足りないなと思われたのでしょうが、こういう形になった。

番組・制作者への提言

今、この世の中で、畳の上で死ねる人はどのくらいいるのでしょうか。早川先生が地域医療に取り組み始めて、さらにその前、そもそも病院が地域のためにつくられた時から今日まで、日本の医療、福祉、法制度は進んだのでしょうか。前に進んだのか、遅れたままなのか。データといいますか、ファクトといいますか、その辺が物足りないと感じた。
早川先生は飄々と見えているけどそうじゃない闘いをしてこられた方なので、もうちょっと、せっかくドキュメントで、深夜で視聴率をそんなに期待されているのかどうかわからないのですけど、そこでやるならもうちょっと突っ込んで、ただ飄々とした人としての印象を逆に与えないほうがいいのではないかなと思った。
なぜ積極的な医療を早川先生が拒むのか、死に場所をどう選ぶのかということと、治療を早川先生がどのように考えているのかということをもっと描いてほしかった。
ディレクターも苦悩されているような雰囲気を感じて、まじめに番組に取り組んでおられる態度に好感が持てた。大変いい意見が出されたので、これはきっと次回の番組に生かしてもらえるだろうという思いを持った。

事業者側より

委員長がおっしゃるようにいろんな意見が聞かれて、大変ありがとうございました。京都の人はこの作品に優しくて大阪の人は厳しいと、そんな印象を受けましたが、早川先生を知っているかどうかという話が随分作品の印象として違うのだろうと思いますが、とにかくいただいた意見を制作者たちも心に受けとめてやっていくと思いますので、本当にありがとうございました。

番組審議会に出席して

報道局 報道センター ディレクター 柴谷 真理子
番組審議会では委員の方から貴重なご意見、感想をいただきました。番組を見て、考えていただきありがとうございました。今回の議論を参考にさせていただき、今後も番組作りに励んでいきたいと思います。

〒530-8408 大阪市北区扇町2丁目1-7 関西テレビ放送 番組審議会事務局

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