関西テレビ放送株式会社


番組審議会
No.601 2019.1.17
関西テレビ
「災害列島で生きていく」について審議
出席の委員

上村洋行 司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長(委員長) / 難波功士 関西学院大学 社会学部長 教授(委員長代行) / 安東義隆 産経新聞社大阪本社 編集局長 / 金山順子 適格消費者団体 ひょうご消費者ネット 専務理事 消費生活アドバイザー / 黒川博行 作家 /
高江洲ひとみ 弁護士 / 通崎睦美 音楽家 文筆家 / 早嶋茂 株式会社旭屋書店 代表取締役会長(敬称略50音順)

レポート参加

井上章一 国際日本文化研究センター教授

関西テレビ

福井澄郎 代表取締役社長 / 宮川慶一 専務取締役 / 前田ひとみ CSR推進局長 /
妻屋健 編成局長 / 兼井孝之 報道局長 /安渕修 スポーツ局長 / 松田茂 制作技術局長

1月4日に放送された「報道ランナー防災スペシャル『災害列島で生きていく~その時、電気は?お金は?』」について審議されました。各地で台風や地震などの災害が相次ぐ中、いざという時の備えを、エネルギーから金銭面まで多角的に検証する番組に対して、委員の皆様から貴重なご意見をいただきました。

1月4日に防災SPを放送した意義

1月4日という、他局はドラマの再放送などをしている時間帯に、わざわざこういう番組を放送した意気込みは買いたいが、だったら、いつもの報道ランナーの雰囲気と全然違うモードで作るのもありだったのでは、普段この番組を見ない人にリーチするいいチャンスだったのでは、と思った。
全体に中途半端な印象が残ったものの、正月明け早々に災害の対策を家族で考える機会を提供したことには意味があった。
煽情的にならず、抑制が効いていた番組だと感じた。昨年は災害が多かったこともあり、そういう意味でも非常にタイムリーな番組であった。

番組を見た感想

防災番組というのは、色んな形で出していかなくてはならないと思う。その意味でこの番組は、お茶の間感覚という視聴者の目線に立って災害時の問題、疑問点をわかりやすく伝えていた。また、防災を身近に感じさせ考えさせるという意義があったと思う。
全体をなでているような番組、という印象。コメンテーターに話をさせて、備えを奨励し、不安を煽るような作り方にならざるを得ないとは思うが、防災番組をどのように作るのか、作り手としては非常に難しいと感じた。
「南海トラフ」か、「防災意識について」か、番組の中心がぶれており、話が行き来するのが見ていて疲れた。また、防災スペシャルということで、問題解決の指針を知りたいし必要だと思うが、そこの回答があまりなかった。
1時間余りの長尺でした。非常に厳しい言い方になりますが、中身は薄い。もう少し作り込んでほしかった。ゲストに専門家の学者がいらっしゃいましたが、その方の知見が十分に活かせてなかったと思います。
良い番組だったと思います。「電力に頼り過ぎるな」という警告が全体に行きわたっていました。

《各コーナー企画について》

大規模停電その時どうする

停電の疑似体験は単調すぎた上に、途中で中止したのは違和感があった。VTRの後、コメンテーターから食事の工夫について発言があったが、それを受けずに流してしまった部分は、つないで補足するなどしてほしかった。こういうことが番組内のところどころにあったので、このあたりをチェックすれば、もう少し見栄えのいいものになったのでは、と思う。
停電生活の部分、間延びした印象だった。エンターテイメントなのか情報番組なのか中途半端。災害後の停電時に、色んな人が工夫して生活している写真をSNSにあげているのと比べ、停電生活の部分はもったいなかった。
家族の映像を見ながら、スタジオのアナウンサーやコメンテーターが笑う姿、笑い声が非常に不快だった。もっと真面目に取り上げ、作ってほしかった。実際に停電した地域に行き、どんな事前準備があれば良かったかを取材して、その結果を整理、分析し、専門家の意見を提示するような作りで良かったのではないか。
ある家族の24時間停電生活チャレンジは、あまりに停電時の対応の工夫がなさすぎるなどの内容の緩さが気になるものであったため、番組タイトルの「災害列島で生きていく」とのギャップがありすぎる。
停電時の工夫など、実生活で使える情報をもっと盛り込んでほしい。
冒頭の停電を経験する一家の密着は、切迫感、リアリティもなく、単なる家族の停電ごっこだった。多少柔らかい部分も必要かと思うが、被害に遭った人たちにアンケートを取って、実際の声をもっと入れるべきだったと思う。
番組視聴後、家の状態を見直したが、買い込んだ乾電池が年数が経過していたため弱っていたり、手回し発電機で発電はできても携帯電話の充電アダプターは形が合わず使えないという事が分かるなど、我が家だけでなく、こういう人は結構おられるのではないかと思った。
停電を経験する家族のコーナー、途中でギブアップするなど、取材はしてみたけれども放送できないレベルの内容だったと思う。完全なドラマ仕立てにして、しっかり備蓄、準備をして過ごした場合と、そうでなかった場合を比較するといった工夫があったほうが、現実として受け入れられたのでは。

被災時のお金どうする?

火災保険や地震保険について述べられていたが、専門家が特に出ているわけではなく、何となく出演者個人の意見を言うだけで終わってしまった。
自然災害債務整理ガイドラインは、皆さんあまり知らない情報だと思うので、説明されていたのはよかった。
「被災したら私たちはどのようなお金の問題に直面するのか」というVTRの視点だったので、「災害時のお金どうする」という言葉はイマイチ。
コメンテーターの人選は良かった。個人でできる備え、社会システムの維持、二重ローン問題や保険への言及などは評価できる。
自然災害債務整理ガイドラインとは何なのか、ガイドラインに沿ったとしても自宅を残せるのか、もう少し説明していただきたかった。

巨大地震のおそれどうする?

南海トラフ地震ということに絞ってしまっても、そのほうが自分は楽しんで見たかなと思います。南海トラフが何かってわかってないので、それ説明してほしいですし、半割れと一部割れとかといきなり言われて、ああ、そういうことがあるのか、これどういうことなんや、もっと知りたいと思ったけど、話は次々進んでいくしで、もう少し掘るべきところは掘ってほしかった。
南海トラフ地震の予兆の異常現象が起きた時にとるべき行動について、深掘りしてほしかった。ゲストの専門家の詳しい説明を聞きたかった。
巨大地震が発生するおそれのある「臨時情報」が出た際の対応についての説明があったのはタイムリーでよかった。ただし、もう少し掘り下げた説明をすべきだと感じた。
コメンテーターの人選はよかったと思います。名古屋大学の福和教授がフリップを使って常に言っていた言葉は減災、減災でした。あくまで自分自身が自覚を持って被害をいかに減じていくかということをしきりにおっしゃっていた。それから、個人ででき得る備えをした上で、自分の命を守る。命を守ることは最も大事なんだけれども、社会システムの維持ということも考えてくださいということを言っていました。これは大変新鮮に感じました。今まで自分の考えの中に、自分の命を守ることしか考えていなかったのですが、もし助かって落ち着かれた場合には、社会のシステムということ、自分のできることを何かするということの意味をもう一度考えることも大事なのかなという思いがしました。

今後の防災番組に対する要望

関西のメディアは阪神大震災を経験しているので、災害の番組をする場合、相当気合を入れてやってほしい。
災害被害について俯瞰的に見て、本当に具体的にどういう備えが必要なのか、折角関西テレビが制作するのであれば、面白くて役に立つ、素人のブログ以上の情報をちゃんと提供してもらわないと番組にならないと思う。
蓄電池や自然災害債務整理ガイドラインについて、いろんな特集が組めると思う。
テレビ局の役割は何なのか、ネットとどうやって融合するのか、あるいは棲み分けをするのかといった問題もあるが、折を見てこのような番組を制作していく必要があるのではと思う。こういったテーマにどのように対応、対処していくのか、関西テレビに対する信頼感や存在意義に関わることだと思うので、力を入れていただきたい。
昨年秋に報道局の西日本豪雨の番組があって、取材リポートの中で、自分は大丈夫なんだとか、対岸の火事であるとかということを盛んに強調して、人間の心理のようなものが避難の壁になっているんだと。長丁場の防災番組だったんで、後半は少しだれましたけれども、大変良い番組だと思いました。防災番組というのはこれ1本で何でも解決、という事はあり得ない。第二弾、第三弾をどういう形で作っていくかという事を考えていただきたい。

事業者側の返答

災害報道はテレビ局にとっては非常に重要なファクターである。テレビ局は免許事業であり、昨年の再免許交付時に総務省から「災害報道にしっかりと取り組んでいただきたい」という指摘も受けた。視聴者の信頼を失わないためにも、しっかりと取り組んでいく。今日のご意見を参考に災害報道、防災、減災に取り組んでいきたい。

番組審議会に出席して

報道局 報道センター プロデューサー 豊島学恵
防災がテーマの番組だといわれると、どうも気構えて敬遠しまう…そんな視聴者にも見ていただけるようにと考えながら制作した番組でしたが、「もっとシリアスなものを期待した」「焦点がぼけた」など、厳しいご意見を頂きました。「見やすく」を心がけましたが、単に「ゆるいもの」になったというご指摘だと思います。深刻で重要なテーマを、分かりやすく見やすく、かつ見ごたえのある番組に仕上げる力量をつけていかなければと、改めて感じました。災害の危機に常にさらされている日本において、防災はテレビ局が取り組むべき最重要テーマの一つであり、これからも様々なスタイルで繰り返しお伝えしていくことになると思います。ご意見を大いに参考にし、今後の番組作りを進めたいと思います。

〒530-8408 大阪市北区扇町2丁目1-7 関西テレビ放送 番組審議会事務局

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