番組審議会 議事録概要
『天才女子観察バラエティ 没頭ガール』について審議
- 放送日時
- 2022年5月29日(日)16:05~17:20(全国ネット)
- 視聴率
- 個人全体
関西2.7% 占拠率(15.0%)
関東1.9% 占拠率(10.8%) - オブザーバー
- (元)制作局 東京制作部
プロデューサー
友岡伸介
参加者
委員 |
委員長上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長) 委員長代行難波功士(関西学院大学 社会学部 教授) (敬称略50音順) |
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関西テレビ |
羽牟正一 代表取締役社長 |
※…テレビ会議システムによる出席
議題
- 委員長、委員長代行の互選
- 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(6月分)報告
- 審議番組
「天才女子観察バラエティ 没頭ガール」
(5/29月 16:05~17:20 全国ネット放送) - その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等
第636回番組審議会は、新任委員が加わった第64期のスタートとなり、開催形態は全員対面出席とした。期初につき、委員長と委員長代行の互選を行い、上村委員長、難波委員長代行は継続として決定した。6月の視聴者対応状況報告、また「天才女子観察バラエティ 没頭ガール」について審議された。
番組概要
『天才女子観察バラエティ 没頭ガール』
明るい未来の実現のためにさまざまな研究に没頭する女性たち4人に密着。
「蜜蜂に寄生するダニの研究」「木を使った食品作り」「人工流れ星の研究」「溶けるプラスチックの研究」など、SDGsにも根差した研究活動を紹介。このほか、海外情報として「ロボットイルカ」「空飛ぶ傘」という実現間近な情報も伝える。
委員からのご意見
「番組タイトルについて」
- 没頭ガールというワーディングはテレビ的。上京ガールとか、ボンビーガールとか既にあるテレビ的なワードのイメージを利用しながら、何となく頑張っている女性みたいなものを括るイメージを出そうとしたのだろう。それぞれが没頭している分野も違うし、本当に没頭しているのかもわからず、統一感もない。
- このタイトルだと見逃してしまう。タイトルと内容がちょっとかけ離れていた。
- 理系の天才とか才能は普通男性で、女子の場合は特別に天才女子と言うのは、ちょっと問題あるのではないか。タイトルがしっくりこなかった。
「ジェンダー感について」
- ジェンダーフリーが言われる中、女子ということに特化してやっているのはどうなのか。今の時代こういう切り口でいいのか。
- いい番組だと思った。でもガールを売り物にするような番組じゃないと感じた。視聴率を意識しなければならないので、やはりガールが飛び道具になるのだろうと思う。
- 女性だけではなく男性も活躍されている方は多い。女性だけに焦点を絞った番組でいいのかと感じた。
「内容全般について」
- ちょっと散漫というか、取り上げられた取材対象が多過ぎる。例えば蜜蜂の内容をもっと深く取材するとか紹介してもらえると、もう少し番組として一本筋の通った番組になったのではないか。
- 何も考えないで普通に気軽に見ることができた。「長谷川のんの」さんの研究について、できるだけわかりやすく説明しようと努力していると感じたし、人に対しての焦点は、その人の情熱も伝わるVTRだったのではないか。
- 内容自体が少し浅かった。ダニの研究について、私たちの生活にどう影響するのかという点で、今回の発見によってどんなメリットが出るのか、どのように応用することができるのかとか全然わからなかった。もっと掘り下げて見たかった。
- 純粋に研究している人とビジネスにしている人が一つの番組で紹介されているところがすごくごった煮な感じがして、気が散る原因だと思った。
- 木を食べる話を面白く受け止めた。ただ、杉の試食のときに、映像に「絶対にまねをしないでください」というテロップが入っていた。見ようによってはあの2人をちゃかして、笑いを誘うテロップだったと思う。でも彼女たちは木という食品の商品化を狙っているわけで、足を引っ張るようなテロップはどうなのかと思った。
- 何か中途半端だった。盛り込み過ぎたんだろう。10代、20代、30代、40代と一応年齢で区分けをして、一通りそろえましたという体裁を取っていたのだと思うが、ジェンダーフリー、DEIとかを言っている時代に、タイトルとしてこの取り上げ方が通用するのかちょっと疑問。
- この方たちが選ばれたが、ほかにも候補があって、こういう方を選ばれたのか、決めつけでいいと思って選ばれたのか。
-
紹介したいのは研究でしょうか、ビジネスでしょうか、それとも人でしょうか。さらに気になったのは、登場人物の紹介の間に入っているニュース的な科学技術の紹介は番組として必要なのか。そして全体として何を見せたいのかがよくわからないことに戸惑った。
上記のご意見への返答
これは研究を扱う番組ということを打ち出し過ぎるよりも、まずは人に興味を持っていただき、その人が何をやっているかで研究の内容を知っていくという、まず人に興味ありきのほうがいいのではという発想ですが、どちらにも振り切っていなかったというところは反省点かと思っております。
プロデューサー・友岡伸介
- 気になったのは、没頭ガールであるとか、天才女子とかという部分。女子とか、女性にフィーチャーしているようで、どう女性を描きたいのか、それとも、通常の切り方と違うのかが分からない。
- 番組がリコチャレ応援団に参加していますということだが、これは内閣府の男女共同参画局の推進している活動で、リコチャレ=理系女子がんばれ、ということのようだ。活動の枠内でテレビ番組とか広告とかいろんなものをつくると、政府とか公的機関から一定のお金が出る形になる仕組み。そういう枠のなかで番組を作ったので、理系的な形からはみ出すのが難しくなった感じがする。結果、番組がSDGsなのか女性なのか、リコチャレなのか、うまくまとまらなかったのではないか。
- 高校生グループの研究は、生態系の危機というものを感じていて、高校生らしく何かいろいろやりたいと思う意欲、熱意みたいなものを感じた。
委員のご意見を受けて
- (元)制作局 東京制作部 プロデューサー
友岡伸介 - 委員の方々から様々なご意見をいただき、たくさんの気付きを得ることができました。
日曜夕方の75分枠で、SDGsをテーマにした企画募集だったので、「親子視聴を想定した未来志向の番組を」との思いで制作しましたが、気軽に見てもらえる作りが、番組の物足りなさとして受け取られたことは、今後のコンテンツ制作に活かしていくべき経験となりました。テレビの前にどんな視聴者がいるのかを想像しながら、一人でも多くの人に満足してもらえるコンテンツを作っていきたいと思います。