番組審議会 議事録概要

No.638 2022.10.13

『かまいたちの100均物件』について審議

放送日時
2022年9月25日(日)16:05~17:20(全国ネット)
視聴率
個人全体
関西3.1% 占拠率(16.3%)
関東1.7% 占拠率(9.3%)
オブザーバー
制作局 東京制作部
プロデューサー
泉 雄介

参加者

委員

委員長

上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長)

委員長代行

難波功士※(関西学院大学 社会学部 教授)

井上章一※(国際日本文化研究センター 所長)
上野信子(ジャトー株式会社 顧問 関西国際交流団体協議会 理事)
黒川博行(作家)
高江洲ひとみ(弁護士)
通崎睦美※(木琴奏者)
早嶋 茂(株式会社旭屋書店 取締役会長)
堀 洋(産経新聞社大阪本社 大阪代表補佐兼編集局長兼写真報道局長)

(敬称略50音順)

関西テレビ

羽牟正一 代表取締役社長
宮川慶一 専務取締役
岡 宏幸 コンテンツデザイン局長
小杉太二 報道局長
小寺健太 制作局長
高島公美 コーポレート局長
西澤宏隆 スポーツ局長
松林正和 制作技術統括局 制作技術センター長

※印…オンライン(zoom)出席

議題

  • 2022年度上期の番組種別・CM総量の結果報告、10月改編及び放送番組種別などの報告
  • 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(9月分)報告
  • 審議番組
    「かまいたちの100均物件」
    (9/25日 16:05~17:20放送)
  • その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等

第638回番組審議会は、新型コロナウイルス感染防止のため、オンラインと一部対面による開催とした。また、放送番組種別・CM総量について、また10月改編などの報告について委員から承認された。ほか、9月の視聴者対応状況の報告、番組審議は「かまいたちの100均物件」。

 「かまいたちの100均物件」
番組概要

『かまいたちの100均物件』
日本全国にある100均物件を芸能人が調査し、DIYでどこまでよみがえらせることができるのか!?かまいたちと一緒に見守る、空き家救済バラエティー。今回の第2弾は全国ネット放送。
今回は、千葉県いすみ市にある100均物件を、なんと丸1カ月かけてフルーツポンチがDIYする。ほか、Snow Manの向井康二・宮舘涼太、尼神インター渚が率いる最強女芸人・渚軍団、そしていすみ市の皆さまなど、たくさんの助っ人が登場。

委員からのご意見

「番組タイトルについて」

  • 「かまいたちの100均物件」の100均は、100均のものを使ったのをかけているのか。100円の物件として扱われて、どうしてこのタイトルなのか。
  • せっかく100均と言っているんだったら、100時間の100とか、100均にするんだったら100時間で、リノベの材料を買うのは100万円に限るとか、地域の人延べ100人に手伝ってもらうとか、何か100にひっかけて、この番組ならではの100というのを打ち出した上でリノベーションするとか、そういう魅力的な100というのが見たかった。

「リノベーションのあり方について」

  • 畳の上にボードを張って、その上にクッションフロアを張っていた、湿気が抜けない。そういう改装というのを、これでもありですよと示すのはいかがなものか。
  • これから同じような100均物件を扱っていくと思うが、ものすごくよい古民家、あるいは物件を対象としてリノベーションして、本当に値打ちが上がったというふうなところを見せてもらうと、この番組の本当の、価値、面白さというのが将来出てくると思った。
  • 一般的にテレビの美術はカメラ映りを整えることを主眼にする。あの物件の処理にもそれを感じた。安上がりのリフォームを否定するわけではない、100均でDIYというのもあり得ると思うが、この番組は、100均のリフォームにふさわしい場所を選んでいなかったと思う。

「全般について」

  • 負ける不動産と書いて負動産と読むという言葉があると聞いた。それほど空き家が増えているというのが社会的な問題になっているので、タイムリーな企画かと思った。
  • 建物にも土地にも全然値段がつかないようなものがたくさんあって、社会問題になっている中で、それをどうにかしていこうというその流れ自体や、企画として面白いし見応えがあるんじゃないかという期待を持って見た。
  • 不動産鑑定士が、100円で売り出されていたものが430万円になり「経済価値が回復しました」とのことだったが、不動産として経済価値がいくら回復したのだろうという疑問が残った。材料費や、芸人などが参加した労務費や工事作業費などは入っていないわけで、幾らの経済価値が創造されたのかが気になった。

    上記のご意見への返答

    430万円という金額に関しては、不動産鑑定士の方と建築士の方が、耐震の問題も含めてチェックをしていただいたというものです。住む上での経済価値は上がったという判断をそのお二人の言葉を使わせていただいて表現しました。

    プロデューサー・泉 雄介

  • オーナーの自己評価とはいえ、100円のものが、不動産鑑定士が評価したら430万円になった。100万円かけて430万円の評価になったのか、1,000万円かけたのに430万円にしかならなかったのかというのは大きな違いがあると思う。何らかの数字は示すべきだったのではないか。
  • 番組から芸人さんたちの出演料が出ているので、人件費はただとして、材料費。合板ボードとかクロスとかクッションフロアとか買っているが、総トータルは最後に説明してほしかった。430万と上がったんならそれなりの材料費を使ったんであろうという根拠を示してほしかった。

    上記のご意見への返答

    材料費を表記するかは非常に悩みましたが、今回はそれよりも地域との触れ合いだったりとかそういう温かさみたいなことをしっかりと描いて、金額的なことではなく、その問題点みたいなことを掘り下げたいという思いから、あえて省かせていただきました。

    プロデューサー・泉 雄介

  • 結果的に、よかったねというオチをつけるために、実際に借手さんが見つかりましたとかの方法もあったのかと思う。実際に何かしらの成果を示したいから価値が上がったという表示をしているが、もっと何かいい方法なかったのかと考えさせられた。
  • 社会的背景のあるものを番組で扱うのであれば、それなりの説明が要るだろう。今回の空き家問題は、地方の過疎や、日本社会の少子高齢化、東京の一極集中などが背景にあるということを含め、空き家問題の根幹は何だろう、と最終的には考えさせてほしい。楽しみながら、そういうことに自然に気持ちが向けば成功だろう。
  • 空き家問題の核心は、そこに住んでいた方が亡くなったり、住めなくなったりして、その後放置されてしまうこと。つまり、「家」ではなく、「人」の問題ということの説明は必要だった。いすみ市が関東圏の移住人気ナンバーワンという話だったが、自治体が対策をやり始めている。そういうところを、すっ飛ばしていないか、と感じた。
  • 番組の構成はテンポがよくて、視聴しやすさを考えた番組だった。VTRをメインのかまいたちに見せながら物件へ移動させるのも効率的で、物件を一つに絞ったのもよかった。物件が変わっていく様子や、いすみ市の魅力を伝える時間も十分あった。フルーツポンチを軸に、アイドルや女性芸人を投入しつつ、飽きさせない工夫はされている。
  • 100均の物件にどれだけ価値をつけられるか、そこだけに照準して番組をつくるというほうが面白かったじゃないか。いろんな芸人さんが出てくることやアイドルが出てくることによって早送りされなくなるかというと、そうでもないような気がする。
  • フルーツポンチの二人は、真面目に取り組んでいて好感を持った。特に大工経験がある亘さんは身のこなしも本格的で、黙々とやっている姿勢は大変よかった。応援の渚さんも、工具の使い方、のこぎりの切り方というのも見事で、スピーディー。
    町の人たち、子ども、大人たち、ペンキ職人の方が応援したという画面をつくったというのは、生活空間の中でこの空き家リフォームというものをやっている、ある種のリアリティみたいなものを感じた。

委員のご意見を受けて

クリエイティブ本部 制作局東京制作部 プロデューサー
泉 雄介
「かまいたちの100均物件」に関して貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。
今後の番組制作に生かしてまいりたいと思います!