番組審議会 議事録概要
『このあるある、コントにしてください!』について審議
- 放送日時
- 2022年1月3日(月)14:30~16:00
(全国ネット) - 視聴率
- 個人全体
関西2.1% 占拠率(10.0%)
関東1.4% 占拠率(7.3%) - オブザーバー
- 制作局 東京制作部 総合演出
三方 祐人
参加者
委員 |
委員長上村洋行※(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長) 委員長代行難波功士※(関西学院大学 社会学部 教授) (敬称略50音順) |
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関西テレビ |
羽牟正一※ 代表取締役社長 |
※印…対面による出席、リポート出席以外はオンライン(zoom)出席
議題
- 当社からの報告
・年末年始番組視聴率概要報告
・局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(11・12月分)報告 - 審議番組 「このあるある、コントにしてください!」
(1/3月14:30~16:00全国ネット放送) - その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等
第630回番組審議会は、新型コロナウイルス感染防止のためオンラインと一部対面による開催。年初として社長から年頭所感を述べたほか、年末年始の視聴率概要と視聴者対応報告、審議は年始に放送した「このあるある、コントにしてください!」について意見が出された。
番組概要
『このあるある、コントにしてください!』
さまざまなテーマをもとにジャンル分けした誰もが共感できる“あるある”をアンケートで徹底調査。ランキングで1位になった“あるある”をもとに人気芸人がコントにする視聴者と人気芸人がコラボする究極のネタ番組。
番組の企画について
- 率直にいうと不思議な番組。コントがメインともいえず、ランキングVTRがメインともいえず、新しい切り口でのコント番組を作りたいという意欲は良いが中途半端。ただ、お正月に何も考えずに視聴できる、ほどよい番組だと思う。
- これをどう評価していいのかよくわからない。ドラマ仕立てのような進め方をして、さらにコントにするということに何ほどの意味があるのかというのが正直な感想。
- 「あるある」ランキングの1位をコントのお題にするという試みは楽しいものだった。お笑い系には食指が動かないのだが、お題が地味なものでも面白くみせる芸人さんがいて、思わず笑ってしまう場面もあった。
-
コントは、材料を日常性の中から拾い出すもの。日々の生活から発想を拾うからこそ面白い表現も実る。言わば日常の中からコントが成立する現場へ私たちを案内しようとする試みだったのだと受け止めた。でも、残念ながら楽しめず退屈だったのは、(芸人さんたちが)熟成させる時間がなかったのではないか。
上記のご意見への返答
今回はネタをきっちり芸人さんと向き合ってつくりたいという思いでやりました。特に、ちょっと趣向が変わったコントには毎日ご本人たちとのやり取りをしながら、きっちりと仕上げていただきました。ただ、やはり視聴者を笑わせるというのは、なかなかハードルが高くあらためて難しさを感じた次第です。
総合演出・三方
- こうした番組は必要である、というのは理解している。放送倫理基本綱領には、社会生活に役立つ情報と同時に健全な娯楽を提供する、また、放送法にも、放送局は報道番組や教育番組だけではなく、娯楽番組も相互の調和を保つように制作するよう定められている。関西テレビの番組種別では娯楽が4割近くあり、数字の取れる重要コンテンツで、社会から求められているコンテンツなのだろう。
- 各年代そろっているような状況でリアルタイム視聴したが、高齢者以外はみんな結構楽しんで見られた。20代、30代はマヂカルラブリーのファンであるとか、ダラダラ見ながらそれぞれ楽しい時間を過ごしたという意味ではものすごく機能する番組という印象はあった。
- これだけのコント師を集めてやると、見る側はコント師同士の競技として見てしまう。それなら条件をそろえて同じ状態で競わせてあげたほうがいいのでは。例えば、正月のあるあるでコントを競い合うぐらいのほうがいいと思った。
- この番組をレギュラー化に持っていくとするなら、何かもっと考えるべきことがあるのではないか。アンケート、ランキングに振るか、コントに振るか、どちらかにしたほうがいいように思う。
- 騒々しさを少し減らして、静と動、笑いと真面目、といった緩急をつける演出が必要かと。それに、コントやミニドラマをもっと練るというか、もう少し事前の準備が必要だったのではないだろうか。
あるあるネタの設定はどうだったか
-
アイデアありきの番組で、あるあるというものを設定し、そこにドラマとコントを加えた番組をつくろうとしたのはわかるが、あるあるに普遍性がなく面白くない。
あるあるの設定は、アンケートの結果にひきずられることなく、コントにできるかというところを精査したほうがよいのでは。 - 全体的に見て、あるあるが散漫だった。散漫であるだけに、ハッとするものがなく、これをドラマにするにもコントにするにもやっぱり難し過ぎると思う。
ランキングの根拠について
- ランキング発表時に「1億3000万人の」と煽り文句が入るが、言い過ぎでは。どれだけの人数、世代にアンケートをとったかもう少し詳しく説明してもよいのではないか。
-
ランキングに関して、47都道府県の1,000人以上に一斉アンケートということだが、どの年代層に何人ぐらいに、どんな形でアンケートを取ったのかが全くわからない。
上記のご意見への返答
47都道府県とした理由は、日本全国とするより具体的な数字を出した方が、アンケートをきっちり取っていることが伝わりやすいかと思いました。具体的には、東京を中心に街で聞いたのと、当社のファンクラブにもアンケートを取りました。
総合演出・三方
- ランキングのパーセントは、票数の順なのか、こういうことのあるのか無いのかのパーセントなのか、自由回答なのかなど、よくわからないランキングだった。
- 47都道府県で一斉にアンケートをしたということだが、47都道府県ごとの違いが示されていなかった。これなら、全国くまなく調査をしたということでよかったのではないか。47という自治体の数にこだわった意味がよくわからなかった。
- 根拠がはっきりしない。47都道府県の皆さんの一斉アンケートといっても、一体どんな人たちにどんな方法でやったのか。たくさん出す必要はないが、お笑いのバラエティーといえども、やっぱりその根拠は明示をするということが大事。
テロップもネタもジェンダーを意識する
- 男子の心情を示すテロップは薄い青色で、女子のそれはピンク色。ステレオタイプと言うしかないジェンダー処理が施されていた。
- 初デートネタについて、30歳以下がこれを見たら、デートイコール男性と女性ということを前提にしていること自体に反応しそうな気がする。異性愛が前提だということに対する反発や、好きになる主体は男性にあり、対等の立場になっているようで、最初に主体的に動くのは男性という前提が見え隠れしているということを、今の10代、20代だったら思いそうな気がする。
委員のご意見を受けて
- 制作局 東京制作部 総合演出
三方祐人 - 第七世代の台頭によりお笑いやネタ、そして芸人さんそのものが広く人気を集め、様々なネタ番組が林立する中、他のお笑いコンテンツにはないポップさで包み、ラフな装いでありながら「何気ない日常の一コマから超非日常のお笑いを創る芸人さんの凄み」をほんのり感じてもらえれば…と思い、制作して参りました。今回委員の皆様から頂いた貴重なご意見を基に、更にこの番組を磨き上げていければと思います。ありがとうございました。