「ちまたのジョーシキちゃん」内ランキング情報(2023.11.3放送)についての
意見概要

2024年3月14日
関西テレビ番組審議会

2024年1月11日開催の番組審議会において、「ちまたのジョーシキちゃん」(11/3(金)放送)で、ランキング結果を操作して放送した事案について事業者側から報告を受け、各委員から意見を述べた。以下は、番組審議会としての意見概要。

ランキング結果を操作したこの事案には問題点が複合的に存在している。

“放送倫理意識の欠如”と“想像力の欠如”

関西テレビは、番組制作におけるガイドラインを定め、放送倫理を重く扱っている。しかし、今回のアンケート結果を改ざんすることに問題がないとした感覚、スタッフから異論が出なかったことは疑問である。
「A社をランキングから除外して放送することで何が起きるか」をスタッフ全員が顧慮しなかったという事実は、最も重く受けとめるべき点。
発掘あるある大事典のねつ造問題以降、意識が風化していくと考え、再発防止策の検討をすべきだった。

“演出の範囲”の拡大解釈

意識的、無意識のうちにせよ、番組をおもしろくするための工夫、番組を成立させるための工夫は、いろいろなされてしかるべきだが、アンケートの結果を改ざんするのは、演出の範囲、編集の自由を超えているのではないか。

優先するのは“視聴者の信頼”か“A社・B社への配慮”か

A社とB社への体面に配慮し、制作者が意図的に2位にランクインしたお店を排除するという手法は、視聴者のことを考えず、アンケートを無意味にしている。

11/24のお詫び放送について

放送から3週間後の11/24の放送の最後に、「ランキングの順位に誤りがありました」という形で、ランキング結果の正誤を見せていたが、『一部の結果を削除し誤った順位で番組を制作した』と、正確に言うべきであった。


番組審議会としては、大別して以上の問題点があったと捉えている。

懸念されるのは、番組スタッフ会議で課題とせず、その場で歯止めがかからなかったという「意識」の問題である。
今回、営業上の取り引きがあったわけではないが、意識の上で、やはり緩やかな忖度があり、そのことがちょっとしたときに出てくる、そういう危険性があることも認識してもらいたい。
また、今回の「2位の順位をなかったことにする」短絡思考というのは乱暴で、B社とA社に再度交渉するかランキングをやめるという判断が働けば防げただろうが、そもそも制作者がこのことに対して問題意識を持っていなかった。

視聴者に新鮮で上質な情報や娯楽を提供するためには、どうすればいいのか、そしてこの問題が起こる要因から、社内全体で体制を含めて議論し、場当たりの対応ではなく根本からの番組制作の在り様について、早急に改善に向けて動いてもらいたい。

若い世代は「YouTube」など新しい媒体に移っている。おもしろさでは負けるかもしれないが、テレビには無責任なつくり方をしていないだろうという信頼感がある。
その信頼を失ったら、「テレビは埋没してしまうかもしれない」、ということを考えるべきだ。

以上