番組審議会 議事録概要

No.651 2024.2.8

「newsランナーSP 巨大災害そのとき何が」(1/15放送分)について審議

放送日時
2024年1月15日(月)
15:45~16:58(審議部分)
視聴率
個人全体
個人全体 関西地区1.4%(占拠率9.2%)
(*newsランナー全体の視聴率)
オブザーバー
報道局報道センター プロデューサー
繁田直紀
報道局報道センター ディレクター
川崎晋平

参加者

委員

委員長

上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長)

委員長代行

難波功士(関西学院大学 社会学部 教授)

井上章一※(国際日本文化研究センター 所長)
上野信子※(ジャトー株式会社 顧問関西国際交流団体協議会 理事)
黒川博行(作家)
高江洲ひとみ(弁護士)
通崎睦美(木琴奏者)
中村 将(産経新聞社大阪本社 編集局長兼写真報道局長)
早嶋 茂 (株式会社旭屋書店 相談役)

※レポート出席(敬称略50音順)

関西テレビ

羽牟正一 代表取締役社長
喜多 隆 専務取締役
島本元信 コンテンツデザイン局長
小川悦司 制作局長
江口 茂 報道局長
西澤宏隆 スポーツ局長
横山和明 制作技術統括局長
加藤雅也 コーポレート局法務・コンプライアンス部長

議題

  • 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(1月分)報告
  • 審議番組「newsランナーSP」
    [1/15(月)災害企画部分15:45~16:58]
  • その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等

第651回番組審議会では、1月の視聴者からの意見対応の報告と、番組審議は1/15放送「newsランナーSP」の前半防災企画部分。この防災企画は毎年継続して放送しており、今回も以下の通り委員から意見が出された。

 「newsランナーSP」
番組概要

「newsランナーSP」(災害企画部分・1/15放送)
今回の「newsランナーSP」は、毎年この時期に報道センターが実施している防災意識を高めるための特別企画として「南海トラフ巨大地震」をテーマに準備を進めていた中、元日に能登半島地震が発生。担当記者が1月2日から被災地で取材を行い、番組テーマを大きく転換して制作した。
能登半島の被災の現状を伝えながら、関西に住む我々にとってもひとごとではない地震・津波の災害について防災意識を高める放送をめざした。

委員からのご意見

  • よい番組だった。映像に迫真性があって訴求力もあった。どの場面でもそのリアリティに心を打たれたというか、焼け野原と化した街や避難所の映像を見るたびに改めて激甚災害であったなと実感した。
  • 南海トラフ対策について。和歌山の某小学校では、「てんでんこ」が合い言葉になっていた。津波の予報があれば、まず各自で高台へむかって、勝手ににげろ、と。いっぽう、梅田の地下街(ホワイティうめだ)では、「てんで」に逃げることが二次災害の元であるといましめられていた。どちらも、そのとおりだと思うが、「てんでんこ」が良しとされる範囲はどこまでなのか。スタジオで語りあう余地は、あったかと思う。
  • 「ホワイティうめだ」で避難誘導旗を使って従業員が誘導するというのはいいことだと思うが、酷な言い方をすると実際に地震があったときに、お店の従業員の人たちにそこまで求められるものなのか。我勝ちに逃げたとしてもそれを責められるのか。

    上記のご意見への返答

    説明が不足していたかもしれませんが、「ホワイティうめだ」の件は、津波に関していうと、店員さん自身も結局避難すべき方向に逃げるということになるので、そのときに旗を持っていくだけで済むというところがあります。店員の方が全員の脱出を待つということではなく、自分自身も逃げるんだけれども、そのときに旗を持つことで、お客さんたちがどっちに逃げたらいいかがわかる仕組みになっています。

    ディレクター 川崎晋平

  • 「届けたい人に届ける工夫」というのが大事。地震の映像を見るのがしんどい方も一定程度いるので、その人たちにも情報を伝えたいときに、もっと前向きなものなど、どうすれば情報を届けられるかということを考えてもらいたい。今回ようなの防災特集も必要ではあるが、リラックスした気分で見ることができる防災特集もあってもいいのではないか。
  • 「救助隊が見た救出現場」に心打たれた。大阪府の緊急消防援助隊の救助側から見た被災現場の実態の話は臨場感があった。生存の確率が一気に下がるとされる72時間の壁、ある意味生きているほうを優先しなくてはいけないという厳しい局面にもぶち当たっているというところが非常によく伝わった。

    上記のご意見への返答

    強い思い入れを持って作ったVTRで、取材に答えていただいた田中さん(大阪市消防局・消防指令)と大江さん(消防司令補)の「命を何とか一つでも多く救いたい」という強い思いを感じ、そんな彼らの視点を通してだからこそ、「それでもなかなか命が救えない」という現実が見えたのかなと思っています。

    ディレクター 川崎晋平

  • 奇跡的に助かった命が失われる災害関連死の多さ、水分不足、密の回避、運動不足、栄養のかたより、アレルギー対応、ペットのことなど、今すぐ、行政も個人も対策を進めることはできると思う。今度こそ本気になれるか、今回の地震で問われている。
  • ツイッター(X)で表示されると、拡散されるともうかる仕組みというのがぴんとこなかった。デマというのはみんな知っていることなので、そのデマが起こる原因としての、拡散されるほどもうかる仕組みというのが何なのかを知りたい。

    上記のご意見への返答

    Ⅹの収益化に関しては、Ⅹがイーロン・マスクによる仕様変更で閲覧数に応じて収益化。それを狙ったデマもはびこるという事象を捉えただけでそれ以上に掘り下げられなかったという思いがあります。

    プロデューサー 繁田直紀

  • 毎年この時期に防災・減災に関する意識を高めるような番組をずっと放送していることに対しては敬意を表したい。今回は能登半島地震のことをストレートに伝えるだけで人々の防災や減災に対する意識を喚起できるという意味で非常にいい番組だったし、災害関連死や津波のパワーというのも本当にタイムリーでよかった
  • 能登半島は、三、四年前から珠洲市を中心に群発地震に悩まされていて、昨年5月にかなり強い地震があった。このことが、今回の能登半島で被災された皆さんの根底にあって、それがそれぞれのつらさを増幅させたという感想を持った。
    今回の特集は、そういう被災地の状況を踏まえながら、今後起きるであろう南海トラフの大地震に対する我々の防災意識を促すような番組で、その狙いは大変よかった。

委員のご意見を受けて

報道局 報道センター
川崎晋平 ディレクター
毎年この時期に放送されている「防災SP」。委員の方から「こういった番組は重要だ」と言っていただけたのは、ありがたい反面、視聴者の命を守るための報道を今後も続けていかなければ、と襟を正す機会にもなりました。
「防災」をテーマにした取材は無限に視点があるようで、常に「既視感をどこまで脱せるか」を意識しています。その意味でも、委員の方から様々なご意見をいただけたことは今後の参考となりました。ありがとうございました。