番組審議会 議事録概要
『かまいたちの机上の空論城』について審議
- 放送日時
- 2021年4月17日(土)・5月8日(土)
17:00~17:30 - 視聴率
- 個人全体
[4/17放送]3.2% 占拠率(13.0%)
[5/8放送]2.4% 占拠率(10.5%) - オブザーバー
- 制作局制作部 プロデューサー
白坂 潤一
参加者
委員 |
委員長※上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長) 委員長代行※難波功士(関西学院大学 社会学部 教授) (敬称略50音順) |
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関西テレビ |
※羽牟正一 代表取締役社長 |
※印は対面出席
議題
- 決算及び役員人事、局長級人事について報告
- 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(5月分)報告
- 審議番組「かまいたちの机上の空論城」(4/17・5/8 土曜17:00 ~17:30 放送)
- その他 番組全般、放送に対するご意見、ご質問等
第625回番組審議会は、新型コロナウイルス感染予防のためオンラインと一部対面による開催とした。審議番組は、「かまいたちの机上の空論城」(4/17・5/8放送分)。
4/17放送『まだ未知の激うま餃子の食材がきっとある!…ハズ』について
- 「さや香」さんの評価コメントは、例えが秀逸。同じく焼き餃子の協会の方もセンスのある返しで、純粋に餃子の評価というのではなく、そこから派生するものがすごく面白くて笑えたところがたくさんあった。
- 26種類試しているということだが、誰がどういうふうに設定した26種類なのか。ホームページでは、「あなたの考えたアイデアを大募集」というのがあり、視聴者を巻き込んで番組をつくっていくのか、またはテレビ局独自で集めているのか、その辺が曖昧。
- 「ネタが小さい。ただ餃子に多くのいろんなものを入れてみて、それを食べてみてうまいかどうかということだけで30分をもたせるというのは、これはうまいといえばうまい。でも、まずいといえばまずいで、何とも評しようがなかった。
- この「さや香」とスタジオは、食べたサンプル数が違うだけでやっていることは同じ。例えば、前段は、科学的な分析、タンパク質が何グラムとか数字の客観の世界でこれがおいしい順番のはずとし、そのあと実際に食べるなど、要するに客観と主観で分けるとかでないと、構成上うまく機能していないのでは。
- 食レポには疑問を感じてきた。食べ手の感想が、信頼しきれないからだ。テレビは、色や形、音もとどけられるが、味覚をあらわすのは無理。そこに、欺瞞のはいる余地が生じる。でも、この番組は、「これは、まずい」、「これは、あかん」。そんなコメントもまじえることで、「うまい!」という評価に現実味をあたえている。テレビという枠のなかで、そのことには成功していた。そこには、拍手を送りたい。
5/8放送『30分世の中の不満を喋れば、牛丼1杯分くらいは稼げる!…ハズ』について
- 他番組で似たような企画があったと思いながら見たが、思いのほか楽しめた。この番組は複数人のさまざまな視点から不満を出すことでテンポよくVTRが進み、30分で牛丼1杯という指標も見せ方としてわかりやすかった。
- 30分の不満で牛丼1杯分、大体350円が稼げるかどうかで、確かに目標は達成したが、これは特例の高価買取キャンペーン価格という前提で、視聴者にこんなに簡単に稼げるんだと誤解を与えないかと気になった。
- 不満買取センターは面白いと思った。なので、逆に、この番組に対する視聴者の不満募りますというのを付け加えたらもっと面白くなったのでは。
- クレジットカードのサインは、裏にサインを書いてなかったらかえって危険ではないのか。
- フリーWi-Fiの問題はそのとおりだが、セキュリティの面でフリーWi-Fiというのは大変危険な部分があるので、そんなことも触れてもらえたら。
- (審議対象ではないが)6月5日の放送では、不満買取センターの第2弾で、5月8日放送より少し改善がされ、途中の成績発表や、どうしたら買取価格が上がるのかがレクチャーされていた。牛丼大盛り分の目標は達成できなかったが、達成できないことで、そんな甘くないということも示せて、これワンセットでようやく一つのものになるのかという気がした。
番組全体・バラエティ全般について
- バラエティ番組というと、一般的にあれこれ盛り込みがちだが、今回は30分ワンテーマで、シンプルな構成で見やすく、あっという間の30分だった。ただ、その分視聴者の興味をそそるようなテーマの選定がマストなので、ある意味非常にハードルの高いことにチャレンジしている。
- ネタ一つを掘り起こす番組なので、制作費がかかっていないというか、安く仕上げた感想だが、30分番組で夕方の番組でもあるのでそれは仕方ない。私のいう制作費云々はMCやゲストの数ではなく、取材の深さだ。
- 放送時間枠が深夜から夕方枠に移った。深夜枠と同じような過激なものでいきたいというふうな意気込みということだが、夕方枠になって影響はなかったのか、移動するメリットは何だったのか、実際に移動してみてどうだったのかという検証が今後なされるのか知りたい。
- 番組づくりは大変だと思うが、はしゃぐということを真剣に考えてほしい。単にはしゃいで不快感を与えるようなはしゃぎ方を避けたつくり方というのを検討してもらいたい。特にこの番組には何か新しい感覚の番組になりそうな気がし、大事に育ててほしいという思いからだ。
- 最も気になったのは、放送メディアが多様化し、テレビは見ず、ユーチューブやネットフリックスなどを見る若い世代が増える中、この作品はどのような思いや狙いを持ち、どのような層に向けて作っているのか、ということ。
- この10~20年は、どのバラエティ番組を見ても、既視感がつきまとい、根詰まりを起こしているようにみえる。一方で、今なお「主役」は、報道番組でも教育・教養番組でもなく、バラエティ番組。放送法にも放送倫理基本綱領にも「健全な娯楽番組を提供する」といったことが課せられている中で、どのような新しさを今回の作品に埋め込んだのかを教えてほしい。
- バラエティというのは「変化」「多様性」という意味を持っているものの、バラエティ番組は作り手が時代に合わせて変化させ、新しくしていかないとコンテンツとして成立しない。これからの生活を豊かにするための娯楽とは、一体どういうものか、どういう思いなのか。
- ほかのテレビ番組との比較よりは、ユーチューブに上がっているいろんな「やってみました」「試してみました」系の動画とどう闘うのか、という視点で考えていかないと。その辺危惧を感じた。
- テレビは、ユーチューバーたちがやらない領域で頑張るか、ユーチューバーたちが入ってこれないドラマとかスポーツ中継とか報道とか、そこが主戦場になっていくのではないか。大学生は、スマホでSNSとか動画共有サイトを見ることが中心で、テレビというデバイスはサブの存在だということなので、ユーチューブのコンテンツと張り合うテレビ番組はかなりしんどくなっているのではないか。
委員のご意見を受けて
- 制作局制作部 プロデューサー
白坂潤一 - 「1オンエア・1テーマだからこそのテーマ選びの重要性」を改めて考えさせられた審議会でした。視聴者に興味を持ってもらえるテーマなのか、そのテーマで制作する上で期待を超える演出になっているのか。そして、30分あっという間に過ぎた、気軽に観られた、シンプルに面白かった、などのご意見を頂く一方で、ユーチューブやかまいたちMCの他の番組との差別化も問われました。そういったご意見を番組への期待と受け止め、改めてこの番組の売りでもある、若手芸人×検証&スタジオMC×検証を追求した情報バラエティを制作していければと思っております。貴重な多数のご意見ありがとうございました。