番組審議会 議事録概要
『ナイナイDAYS 30年の節目に密着してたら岡村さん結婚しちゃったSP』について審議
- 放送日時
- 2021年1月3日(日)14:30~16:00
(全国ネット放送) - 視聴率
- 個人全体
[関西]3.7% 占拠率(15.7%)
[関東]2.9% 占拠率(13.4%) - オブザーバー
- 制作局東京制作部 ディレクター
泉 雄介
参加者
委員 |
委員長上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長) 委員長代行難波功士(関西学院大学 社会学部 教授) (敬称略50音順) |
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関西テレビ |
羽牟正一 代表取締役社長 |
議題
- 局に寄せられた視聴者からの意見・苦情等の概要1月
- 審議 番組「ナイナイDAYS 30年の節目に密着してたら岡村さん結婚しちゃったSP」(2021.1/3放送)
- その他 番組全般、放送に対するご意見、ご質問等
第621回番組審議会は、新型コロナウイルス感染防止として、一部来社によるオンライン(zoom)開催とした。番組審議は、結成30年のナインティナイン、30歳を迎えた浅田真央とゆりやんレトリィバァの密着ドキュメントバラエティに、委員からご意見をいただいた。また、2月9日に実施した「BPO研修会」についても報告した。
番組構成はどうだったか
- 散漫というか、二つの大きなテーマが混在していることによって、どこまでみんなが深く見てくれるのかというのがちょっと気になった。
- 浅田真央が一旦競技を引退して、そこからアイスショーへ移ったところはなかなかよかった。これだけでもたないので、新鍋理沙を出してきたが、この人が出てきて浅田真央と対談することによって散漫になった。どうもネタをとにかくたくさん詰め込まないといけないというのは、結局はそれが逆効果になったのではないか。
- バラエティ番組、ドキュメントバラエティで、いつも思うが、なぜ一つのコーナーだけで勝負しないのか。いろんなコーナーを組み込むことによる効果、また反対にどうデメリットになるのか。
ナイナイへの密着
- 初めに年表が出てきて、休養やら謹慎やらあるが、それが全く報道されていない。ナイナイを表に出す番組であれば、これは必ず取材をして放送すべき。休養、失言の内容がどうであったのかとか、なぜここをスルーしたのか。ナイナイの来し方を紹介する番組でありながら、取材が浅い。ナイナイに対する忖度が目立った。
- 岡村さんと矢部さんが久しぶりに二人だけで会話をするというシチュエーションで、お互いを探りながら話を進めている雰囲気が最後まで続いていた。二人の本音の部分というのがあまり深いところまでは入ってなかったと思えた。
- スタジオの中の岡村さんと矢部さんは、張りのある声でスタジオを仕切るわけで、その張りのある声は、車の中やキャンプ場で口から出てくるボソボソとした声とは発声が違った。あの二人がスタジオとキャンプ場でどれだけ離れているかということを見せることはできたと思う。
番組全体について
- 30という数字自体にこだわるんじゃなくて、30年というナイナイが活動した期間の年月を見せた方がよいのではないか。どういう年代にどういうことをしたという、数字そのものではなく、30年という歳月にこだわってやってくれたら、私も自分の人生に重ねて、感情移入して見られた。
- サブタイトルが「30年の節目に密着してたら岡村さん結婚しちゃったSP」とあり、ナインティナインを密着している最中に岡村さんが結婚しましたというようにとれるが、実際は岡村さんの結婚後に行われた二人旅に密着したものだったので、何か違うと感じた。
- 浅田真央さんのバク宙に挑戦するコーナーが一番見応えがあった。真央さんの本当の心というのが述べられており、バレーボールの新鍋さんの引退、対談があり、すごく内容が濃かった。起承転結がこのコーナーの中ではっきりしていて、見ているほうも納得できた。
- 浅田真央とゆりやんが30歳、コンビ結成30年。数字は同じ30ですが、意味合いは大分違うと思うので、それをひとくくりにして一つの番組に押し込めるというのは、無理があるのではないか。
- ナイナイの2人をテーマにした番組なのに、最も印象に残ったのは浅田真央さんが引退後の苦しさを吐露したシーンだった。番組として何であれ印象に残れば成功かもしれないが、ナイナイのことが心に残らなかったのは残念だった。
- おとそ気分でボーッと見るにはいい番組かもしれないし、散漫にするのも手なのかもしれないが、散漫にすると、自分の興味のないことになったとたんに、スマホのスクリーンとかに行き、テレビはついているが見ていないという状況になる。そのうち、個人視聴率どころか、同時並行で見ているかとか、どれだけ集中して見ているかとかまで追いかけ始められるということが技術的に可能になれば、テレビはついているだけだと否定的な評価になる。散漫につくって、いろんな人を広く網を張って取るというのもありかもしれないが、それが成り立つかどうか。これから次のビジネスモデルはどうなるのか。
- この番組が何を言わんとするのかというのは終始分からないまま、そして、見終わった後に大変惜しいなと思った。それは、ドキュメンタリー風のバラエティという新しい番組が誕生するんではないかなと、うまくいけば誕生するんではないかなと思ったが、そうはならなかったというのが残念だった。
委員のご意見を受けて
- 制作局 東京制作部
泉雄介 ディレクター - 昨今、テレビ業界全体で新たな視聴層取り込みのため、大きな変化を求められています。今回議題となった新春特番ナイナイDAYSにおいても、細かいものも含めて様々な変化を試みましたが、ご指摘あったように特に全体の構成面で、多くの課題が残る結果となりました。委員の皆様の意見をお聞きして改めて、テレビとはこうあるべき!という先入観や、好みだけの偏った固定観念をもつ事は、とても危険なことだなと気づけただけでも大変有意義な場を与えて頂けたと感謝しております。今後も、もがきながら、新たな番組制作に生かしていきたいです。
「胸いっぱいサミット!」(出演者の韓国をめぐる発言問題)について
BPO放送倫理検証委員会との研修会開催(2月9日実施)を報告
一昨年、(4/6・5/18放送)「胸いっぱいサミット!」にて、出演者の不適切な発言を放送した問題について、BPO放送倫理検証委員会は、昨年1月に「放送倫理違反があった」との判断を出した。その後、委員会との研修会を予定していたが、新型コロナウイルス発生により大幅に遅れたものの、2月9日(火)にオンラインにて開催し、番組審議会委員には以下の通り報告した。
コーポレート局・兼井担当局長
社内108人が参加。BPOから意見書についての説明のあと、事前に社内募集した質問についてBPO委員からお答えをいただいた。
社内からは、「放送倫理とは何か、倫理の基準は解釈に幅がある。人によって受け取り方が違う発言に明確なガイドラインがなくて不安だ」、「様々な捉え方をする視聴者への配慮、人間の尊厳、多様性への配慮というのは分かるが範囲がつかみ取れない」という質問があった。
BPO委員からは、「個々の事案を抽象的な放送倫理基準に当てはめて明確に結論が出るというものではない。その不安はどこまでも残る」「その時々のラインは時代のスピードある変化でどんどん変わっくる」「それを自分たちのなかでブラッシュアップしていかないと、ずれていく」「結局、現場、現場で一つずつ悩んでいくしかない。悩んで、悩んで、どうなのだと考えていく」「それによって放送倫理の感覚を磨き、議論を深めていくという営みをしていくものである」という返答をいただいた。