番組審議会 議事録概要
『こやぶるSPORTS超(5/10・6/14放送分)』について審議
- 放送日時
- 2021年5月10日(月)24:25~24:55
2021年6月14日(月)24:55~25:25
(関西ローカル放送) - 視聴率
- 個人全体
5月10日(月)[関西]1.5% 占拠率(14.2%)
6月14日(月)[関西]1.1% 占拠率(15.2%) - オブザーバー
- スポーツ局スポーツ部 プロデューサー
澤田 淳司
参加者
委員 |
委員長※上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長) 委員長代行※難波功士(関西学院大学 社会学部 教授) (敬称略50音順) |
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関西テレビ |
※羽牟正一 代表取締役社長 |
※印…対面による出席、他はオンライン(zoom)出席
議題
- 委員長、委員長代行互選について
- 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(6月分)報告
- 審議番組 「こやぶるSPORTS超(スーパー)」
(5/10月24:25~24:55、6/14月24:55~25:25放送分) - その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等
第626回番組審議会は、新型コロナウイルス感染予防のためオンラインと一部対面による開催とした。
今回が第63期の初回として、委員長と委員長代行の互選が行われ、前期に引き続き上村委員長、難波委員長代行の就任となった。
審議番組は、「こやぶるSPORTS超」(5/10・6/14放送分)。
番組概要
『こやぶるSPORTS超』
小籔があらゆる角度からスポーツの魅力を伝える。番組コンセプトは“学ぶ”。スーパーアスリートの「ぶるっとするウラ話」から学び、 新たな“発見”を生み出す。
【5/10放送の概要】
飛び込み界の超新星・玉井陸斗
超新星の大一番での危機とそれを乗り越えた裏側から学ぶ。
陸上界のレジェンド・福士加代子
39歳で五輪代表を目指した大一番に独占密着、勝負にこだわり続けた姿から学ぶ。
ゴルフ界のスーパースター・石川遼
松山英樹に負けじと東京五輪を目指す姿とあきらめない想いから学ぶ。
【6/14放送の概要】
球界の頭脳、ID野球の申し子として、ヤクルトで捕手での首位打者、2000本安打など栄光を極めた古田敦也。今だから話せる真実と裏話を告白。
5/10放送回について
- 福士選手について印象が随分変わった。以前は挑発的とも思えるような発言があったと記憶しているが、今回は一皮むけた、いい笑顔だなと思えた。多分いろんな葛藤を乗り越えたことだと思う。福士選手だけに絞ってもよかったのではないか。
- 福士加代子さんが試合後のインタビューで見せた、どことなく疲れた表情というか、年齢を重ねたというか、福士さんの素の部分がかいま見ることができ、映像でしかできないことで、とてもよかった。
- 2009年のダイヤモンド・カップで石川選手は窮地にたたされるが、奇蹟のようなリカバリーをやってのける。この石川選手のコーナーは(ダイヤモンドカップゴルフの)番宣だったのではないか。
- 14歳の飛び込みの玉井選手について、オリンピックが1年延びてコンディション維持が大変という発言がアシスタントの本田望結さんからあった。女子のフィギュアスケートは年齢とともに体重や体型が変わるので苦労すると聞いているので、もっと本田さんに掘り下げさせるということがあってもよかったのではないか。
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玉井陸斗選手、福士選手、石川遼、3人に分けて30分の番組にまとめるというのは少し無理があった。
上記のご意見に返答
5月10日のオンエア分は、全てタイムリー性を意識しました。1週間前の5月3日に玉井選手が飛び込みのワールドカップでオリンピック代表を決める、そして同じ5月3日に福士選手が最後のオリンピック挑戦を終えるという二つ。石川遼選手に関しては、最後のオリンピックの戦いがこの5月10日の月曜日の週末に行われるという三つがあり、どれをどれだけ見せていくのかで、詰め込んでしまった印象は拭えないかと思います。勇気を持って絞ってやるという選択もこの深夜番組に関しては必要だったかと思っております。
澤田プロデューサー
- 玉井さん、福士さん、石川さんは三人三様に、あきらめずに挑戦し続けるという姿勢のようなものを伝えた。こういう姿勢を画面で見せたことに好印象を持った。
6/14放送回について
- 古田敦也さんをゲストにしたスペシャルの第二弾だったが、今回の分だけでも十分違和感なく見られる内容に仕上がっていた。特に2004年のストライキの真相、選手会の会長として彼がどれだけ奮闘したかがよくわかり、非常に面白いと思った。
- 番組終盤に、「小籔の過激な発言に古田が猛抗議」というテロップが出たが、小籔さんが過激な発言をしたわけでもなく、古田さんも特に猛抗議していない。引き続いて見てもらおうという策かとも思うが、これはあおり過ぎではないか。
- 古田敦也は、ドラフト指名がなかったのは眼鏡をかけているのが理由だったという話だった。眼鏡をかけているのは初めからわかっているわけで、何かほかに理由があるのかという勘繰りをしてしまう。だから、オリンピックに行くためにいろんな努力をしたということも含めて、もっとこの部分を掘り下げれば面白い話になったのではないか。
- 古田敦也さんから、「ハンデは実力で補う」だとか、「ピンチを想定した準備は成長につながる」だとか、書き留めておきたい一言があった。番組コンセプトの「今日から役立つことを学ぶ」に沿っていて、気づきの多い回だったと評価している。
- 球団を減らすという日本野球界の危機があったことを思い出した。このときに古田が選手会長じゃなかったらどうなっていたのかということも考えた。そういう意味で、5/10の3人を扱った回よりも、この1人に絞った番組のほうが随分面白かった。
- 古田敦也さんの話は面白かった。眼鏡をかけてプレーができるんだということを、そういう境遇にある子どもたちに勇気を与えた意義ということを古田さんが話しておられたが、十分に視聴者に伝わったと思う。
- 古田敦也さんのようにレジェンド級のアスリートを呼ぶデメリットは、結構知っている話を放送せざるを得ないというところがある。もっと現役選手たちにスポットライトを当てる回を増やして、ほかでは聞けない話を聞き出すというところが小籔さんをはじめとするこの番組チームの腕の見せどころだと思う。
- 古田敦也は引き出しが多くおしゃべりもうまい。野村と古田の関係も面白かったし、小籔の反応もよかった。小籔は新喜劇の座長だから、自分が前面に出ていくより、相手のことを引き出して、引き立てるという芸風がある。スポーツ選手を呼んで、小籔と話をするというのが一番よいスタイルかと思う。
番組全般について
- この番組のコンセプトがアスリートからの学びであれば、深夜枠より、少年少女などが見る時間帯に持ってきたほうがよい内容ではないか。今現にスポーツをしている子どもたち、将来プロを考えている子どもたちも大勢いる。スーパーアスリートが、こういうふうに成長したんだというところを示せている内容で、気づきを与えるような仕掛けをされているのであれば、やはりそれを見たいと思う人たちに届けるような仕組みもしてほしい。
- 小籔さんがナビゲーターをしていることで、ともすれば学びという堅苦しい教科書的、教訓じみたことになるところを、小籔さんのキャラクターで堅苦しくならず、こういう気づきがあるということを提供できていると思う。
- アシスタントの本田さんが進行役として存在感を示せていた。以前は彼女が置き去りにされている感があったが、年数を経て、彼女も発言しやすくなっている環境ができたのかという気もした。
- 本田望結さんが17歳でフィギュアスケートや女優をされていて、頑張ってアシスタントを務めておられる姿そのものを応援したい、この方の成長も見ていきたいと思わされた。
- 5/10の福士さん、6/14は古田さん。この二人のスポーツ人として歩んできた人生がよく見せられていた。古田さんについてはトーク力が非常にあるので、最後まで飽きることなく見せる原動力になったのかなと思う。
- この番組だけではなく、特にドキュメンタリーでよく思うが、映像の見せ方が非常に秀逸というか、特に福士さんでいうと雨の中の京都の練習風景で、少しずつ遅れてきて歩みを止めてしまう映像であったり、代表選考会で周回遅れになったときの姿とか、うまく捉えていると思った。
- ゲストだが、以前に柔道経験者のジャングルポケットの方がゲストだった回のように、何らか関連づけた人を呼んだほうがゲストの意味があるし、何か取っかかりのようなものがあるのではないか。
- タイトルの「こやぶるSPORTS超」が読めない。ロゴの中でも親しまれるように言葉としてわかったほうがいい。
- 関西の局として関西のアスリートを取り上げていくというのは十分意義があることだと思うし、その取材の蓄積が関西テレビの財産になっていく番組だと思う。
-
オリンピックが前提になっているところがあると思うが、もうちょっとマイナーなスポーツをいろいろ取り上げていただければありがたい。
上記のご意見に返答
マイナースポーツに対しても選択肢は広げていきたい。スポーツ番組があることによって、長期的な取材や目先のものにとらわれないチャレンジができるのではないか、長期的なアスリートの信頼を得るための活動をこの先も続けられるように努力していきたいと思っています。そういう意味ではマイナースポーツに関しても、これを伝えたいと思えるものを、今すぐにはできなくても、この先いつかきっとと思いながら取材を続けていくことができると思いますので、そういった意識を強く持ってやっていきたいと思います。
澤田プロデューサー
- 前作(「こやぶるSPORTS」)からすると、今回は、小籔さんは学ぶという立場に徹するだとか、まなぶる芸人という人が一回ずつ入るとか、その仕組みはいいと思ったし、本田望結さんは上手になられたと思う。
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前回の番組(「こやぶるスポーツ」)と比較して、トーンが変わったという印象を持った。小籔さんの話し口調が変わったし、楽屋話のような悪ふざけがなくなった。ナレーションも普通の感じになり、何かあくが抜けたような印象を持った。
あくが抜けたために、スポーツを通じて何かを伝えようとするテーマが少し鮮明になったように感じた。 - 番組のスタイルが固まったように感じた。あとは取り上げる選手の人選と取材の深さの勝負になると思う。これからも頑張ってほしい。
- 前回(「こやぶるSPORTS」)への委員の発言を反省なさったのか、軌道修正がうまくいったのではないのかと思う。これからもスポーツを通じて視聴者を楽しませる、同時に勇気を与えるような番組ができたら、そういうことを意識してこの番組を育てて
委員のご意見を受けて
- スポーツ局 スポーツ部 プロデューサー
澤田淳司 - 制作者の都合ではなく、視聴者の心に届き、かみ砕く時間を与えるような構成力を高めていくことの必要性を感じました。スポーツ番組が減少している昨今、スポーツ番組しかできないもの、スポーツ番組だからこそできるもの、その「価値」をスポーツ部員一丸となってさらに追求していきたいと思います。また、現役選手やマイナースポーツの選手にももっと間口を開き、視聴者に「勇気」を与えるような番組にしていきたいと改めて強く感じました。審議委員の方から頂いた貴重な意見を必ずや次に生かしていきたいと思います。