番組審議会 議事録概要
「トクメイ!警視庁特別会計係」(第1話・10/16放送分)について審議
- 放送日時
- 2023年10月16(月)
第1話 22:00~23:09(初回のみ枠拡大) - 視聴率
- 個人全体
第1話
関西地区 5.0%(占拠率20.4%)
関東地区 3.1%(占拠率14.7%) - オブザーバー
- 制作局 東京制作部 プロデューサー
近藤 匡
参加者
委員 |
委員長上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長) 委員長代行難波功士※(関西学院大学 社会学部 教授) ※レポート出席(敬称略50音順) |
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関西テレビ |
羽牟正一 代表取締役社長 |
議題
- 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(10月分)報告
- 審議番組 「トクメイ!警視庁特別会計係」10/16(月)放送分
第1話22:00~23:09(初回のみ枠拡大) - その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等
第649回番組審議会にて、10月分視聴者対応の報告と、10月スタートのドラマ「トクメイ!警視庁特別会計係」(第1話)について審議いただいた。
番組概要
「トクメイ!警視庁特別会計係 」(第1話)
お金にルーズな所轄署に経費削減の特別命令(トクメイ)!
ささいな数字のズレも見逃さない特別会計係の一円(はじめ・まどか/橋本環奈)が、捜査の「お金」を切り口に難事件に挑む新たな警察ドラマ。
一円(はじめ・まどか)(橋本環奈)は、警察庁長官官房長・榊山慎一郎(福井晶一)の肝いりで、本庁から特別会計係として万町署警務課に派遣された警察官。
懸念される警察の財政破綻を回避すべく、所轄署の経費削減の特命を背負い、刑事たちの捜査費を監督する任務を与えられる。 万町署で経費削減の対象となったのは、かねてから捜査費の使い方を問題視されていた刑事課。円の着任とともに捜査費20%カットを命じられるが、強行犯係係長の湯川哲郎(沢村一樹)はこれに猛反発。円は、湯川の言い分などお構いなしで、上司の須賀安吾(佐藤二朗)が用意していた刑事課の捜査雑費を今月から20%カットすると明言。当然、湯川は激怒し、シングルマザーの刑事・藤堂さゆり(松本まりか)らほかの刑事たちも大ブーイング。
そして、「現場を知りもしないくせに」と怒りの矛先が円に向かった直後、管内で変死体が発見されたとの通報が入る。 遺体で発見されたのは、近隣の大学で講師を務める男性。早速、湯川たちは捜査を始めるが、そこにはなぜか円の姿も…。
<出演者>
橋本環奈 沢村一樹 松本まりか JP 前田拳太郎 結城モエ 福井晶一 米本学仁 前野えま 安藤嗣海/徳重聡 鶴見辰吾・佐藤二朗
委員からのご意見
- ストーリーは、節約、経費の側面から見た刑事ドラマという今までになかった視点で、アイディアは面白い。主人公の一円(はじめ・まどか)は数字には強いが現場の苦労がわかっていない警察官で、湯川たちと接することで、刑事の仕事を理解していくという成長物語が見られるという点もこのドラマの醍醐味だと思う。
- 人口減少を踏まえると、今のままでは警察組織の維持ができなくなるから、経費削減だというのはなかなか面白い設定。細かいところでいろいろな伏線があったり、面白さがある。
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なぜ署長がいないのか。警察庁から官房長が所轄にやってきて特別会計のトライアルを実施するというふうに訓示するが、そこに署長がいないのは不自然だと思う。
上記のご意見への返答
最初は署長で本を作っていたのですが、取材で副署長が小さい所轄の金庫番として舵を取っているというお話を伺ったこともあり、今回は色々な役割を副署長というところに担保させて描いたというところです。ですので、ここはリアルよりはフィクションのところに起因しているかと思っております。
プロデューサー・近藤 匡
- 捜査とお金という観点で考えると、捜査雑費とか諸経費が削減されていくと捜査員の能力に影響を及ぼすのではないか。防犯カメラが設置されていることで、大抵の事件は犯人までたどり着く。非常に良いことだが、警察庁幹部に言わせると、捜査員は、結局自分の足で捜査をすることは減って、そういうことで能力が下がっていくことが心配だということだ。
- 「お金がないと捜査できない」とか、「一番の経費削減は早期解決」「刑事の動きは全部人件費」「我々は無償のボランティアではない」という言葉もあり、プロの集団で人件費が発生している公務員なんだという当たり前のことを、このドラマの中であらためて認識したところが多かった。
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オープニングの映像にほかの映画やテレビドラマのシーンが引用されていた。一番笑わせてもらったのはプロレスラーのオカダ・カズチカがレインメーカーポーズを取ってるところをもじった映像。オカダ・カズチカはあれで「このリングに金の雨を降らせる」という、これが決めぜりふになっている。つまりコストカットが主題となるテレビドラマで、銭の雨を降らすという無駄遣いの、大盤振る舞いの象徴のようなカットが使われてる。そこに興味を抱いた。なかなか奥深いつくりになってるかもしれないなと期待した。
上記のご意見への返答
最初そこは「ショーシャンクの空に」をオマージュをしたいと思い、入れたところです。ただ、いろんなところに1円玉がカットごとに出てくる中で、まさにオカダ・カズチカさんのポーズと似てるよねという話は現場でもなりまして、その結果「ショーシャンクの空に」で降っている雨をコインにして、何となく気づく人は気づいてもらえないかみたいなところで作りました。
プロデューサー・近藤 匡
- ストーリーはコメディで、警察捜査に関してはリアルということだが、そのリアルがない。コメディとして見ればこんなものかと思うが、捜査が絡んでくるとまずい。金から捜査に入っていくストーリーは新機軸でもあるが、どこまで本当かなと疑問を持ちながら見ていると大丈夫かなと思った。
- 経費を20%削減するというのは、20%にどういう正当性があるのかわからない、あと警察のこともよくわからないので、どこまでがつくり込んだコメディで、いい加減な部分がどこなのかも、普通の人には判断がつかないのではないか。
- 「経費節減の特命をうけて警察署に乗り込んできた若い警察官」という設定が、かなり荒唐無稽なものだけに、それ以外の部分は徹底的にリアリティが追及されてしかるべきだと思う。
- 何か無理やりにコメディ化した印象を受けた。表情やしぐさをオーバーにする、やかましくしゃべる、そういうことで笑いというものを捉えているように見えた。荒唐無稽であってもいいが、漫画チックにしか見えないので、オーバーなアクションは抑え気味にしたほうがいいのでは。
- ドラマの中で心に残るフレーズが結構あった。例えば「お金が足りないから捜査できませんなんて言えないだろ」とか、「タダでできる捜査なんてないんだよ」とか、「警察の経費は公にできない。捜査状況がわかってしまうから」「事件が起きてもそれを解決すべき警察はいない。そんな恐ろしい未来が来てもいいのですか」など。「警察とお金」についていろいろ考えさせられた。
委員のご意見を受けて
- 制作局 東京制作部
近藤 匡 プロデューサー - 貴重なご意見、ご感想有難うございました。
今作はコメディタッチなシーンや会話劇を重視したドラマです。ただ、そのコメディシーンは全体を通してシリアスな展開とのバランスがあってこそ生きるのだという事を、ご意見をいただく中で強く感じました。その他にも参考になる多くのご意見を頂き、より多くの人に「面白い!」と楽しんでもらえるようなドラマ制作に励みたいと思います。たくさんのご意見とご感想、本当に有難うございました。