番組審議会 議事録概要
『所JAPAN ニッポンのそんなトコロくらべちゃう!?』について審議
- 放送日時
- 2022年5月3日(火)21:00~21:54
- 視聴率
- 個人全体
関西3.7% 占拠率(11.3%)
関東2.9% 占拠率(9.3%) - オブザーバー
- 制作局 東京制作部
プロデューサー
脇田直樹
参加者
委員 |
委員長上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長) 委員長代行難波功士※(関西学院大学 社会学部 教授) (敬称略50音順) |
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関西テレビ |
羽牟正一 代表取締役社長 |
※印…オンライン(zoom)による出席 [ ]…リポートによる出席
議題
- 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(5月分)報告
- 審議番組
「所JAPAN ニッポンのそんなトコロくらべちゃう!?」
(5/3火 21:00~21:54放送) - その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等
第635回番組審議会は、新型コロナウイルス感染防止のため、引き続きオンラインと一部対面による開催とした。5月の視聴者対応状況報告、「所JAPAN ニッポンのそんなトコロくらべちゃう!?」(5/3放送分)について審議された。その他、コロナウィルス感染者数をいつまで報道するのかについて委員から質問が出された。
番組概要
『所JAPAN ニッポンのそんなトコロくらべちゃう!?』
日本全国のさまざまなモノ・グルメ・場所などなど、勝手に比較しながら楽しく調査する教養バラエティー。5/3放送分では、スーパーマーケット界の絶対王者・イオンと独自サービスが売りの関東ローカルスーパーを比較した。
安さ・鮮度・総菜など、高いレベルを誇るイオンに対し、「ここだけは負けない!」という個性的なサービスを武器に、ローカルスーパーが王者イオンに挑む。
委員からのご意見
「なぜ関東圏の情報なのか」
- 関東圏のスーパーばかりが取り上げられると、面白い取り組みをしているとは思いつつも、結局関西にいる自分には関係ないと興味の熱量は下がってしまう。
- 関西の人は、埼玉と群馬とかを言われてもピンとこない。もう少し地図的なものがあったほうがよかった。
- 関西の人間にとってなじみがないということについては、スーパーのこういう世界を伝えるということで、地域性を度外視してもいいのかと感じた。
-
ここ一月以上は関東圏が対象になっていた。ロケのしやすさや関東圏の人口が多さから視聴者数を稼げるというのもわかるが、どうなんだろうと思った。
上記のご意見への返答
全国各地の人からするとピンとこないお店もあったかとは思います、今後、展開を広げていければと思っております。一方で、今回でいうと、例えば「すーぱーこいけ」さんの店長さんの人柄や、「まるおか」さんの裏で働く料理人たちの意識とか、働く人たちの思いや、人物のキャラクターなども見て欲しいと思って制作しております。
プロデューサー・脇田直樹
「スタジオ展開について」
- コメンテーターが程よいコメントをしていた。わざとらしいボケもせず、でしゃばらず、はしゃぎもせず、そういう意味で見やすかった。ルポルタージュに対するコメントの分量もよかった。
- VTR中心になっていて、出演者のコメントにスポットがあてられる回数も必然的に少なくなるので出演メンバーが多いと感じ、せっかくの出演者がもったいない。
- メインMCの所さんは、安定した存在で、発言も嫌みがなく、いい雰囲気。しかし、そのほかのメンバーの立ち位置がよくわからない。誰がこの番組を仕切っているのか、毎回プレゼンターが変わるのは、何か意図があるのか。
「比較した構図はどうか」
- イオン対ローカルスーパーという構図がすごくシンプルでわかりやすかった。一回にワンテーマで構成されているので、視聴者としては安心して見られた。
- スーパーまるおかというのは高級スーパーの部類で、地域密着とはいえ、クオリティの高いものを売っている。これを一緒に比べるのはどうなのか。比較という点で雑多だった。
-
イオン対ローカルスーパーを比べるとかというよりは、ローカルスーパー同士が、仮想敵のイオンに対してこんなに頑張っているというほうがよかった。
ローカルスーパー同士、ローカルスーパーに完全に焦点を当てたほうが楽しかっただろうし、鮮魚の流通なんかは、その話だけで1時間見たいと思った。上記のご意見への返答
知らない情報を出してくれることに期待する一面と、自分が知っていることでチャンネルを止める行動と、その両面をテレビは提供していくべきだと思っています。イオンはやはり誰でも知っていて、チャンネルを止めてほしいという思いと、あまり知られていない地方のローカルスーパーが実はこんな企業努力をしているということを紹介するというこの二軸を比べるという構図で、その2つを両立させて、新しい情報を知りたい人、自分の知っていることを改めて確認しながら見たい人、どちらも楽しんでもらえるような番組になればと考えています。
プロデューサー・脇田直樹
- 面白く見た。スーパーの大手とローカルの対決、最も身近な食品という関心の高い商品を捉えて、鮮度、お惣菜、安さとか、いかに購買意欲を高めていくかというようなことで比較をしたこと、そしてその比較の仕方も、スーパーの大手とローカルそれぞれの背景みたいなものが、よかった。
「伝える情報について」
-
「楽しめた」という視聴者は多いのではないか。イオンをはじめ、地元スーパーもバラエティに富んだお店を複数取材しており、番組コンテンツとしては成立していた。
ただ、この番組は教養バラエティを標榜しており、それならば店の特徴のみを流すのではなく、付随する周辺情報や業界データをきちんと提示しないと「面白かった」のみで終わってしまう。 - ワンテーマを掘り下げるのであれば、イオンはなぜこの20年でこんなにすごいことになったんだというのを解説してもらえたら。この20年で何でこんなに日本の流通の在り方が変わったのかは興味があるし、海外からの店舗がすぐ撤退するところがあったりするのに対して、イオンが何でこんなに強いのか知りたかった。
- マルサン、フーコット、すーぱーこいけ、まるおかを、イオンと比べているなら、もう少し整理されていないと、関西人には聞き慣れない名前なので、わかりづらい。
- コロナ禍でテレワークが浸透し、東京一極集中の流れが変わる中、スーパー業界は今どのような状況なのか。店舗数は増えているのか、減っているのか。経営状態はいいのか、悪いのか。地方のスーパーは、コロナ禍で移住者が増えて業績が改善しているのではないのか。そうしたことを提示してもらえれば、視聴者の満足度は向上するのではないか。
「番組全体について」
- そのまま今の日本の縮図だと感じた。巨大スーパーのイオンに対抗するために、ローカルスーパーがどのように手を打っているか述べられ、平均点政策を取れる王者と、一か八かの勝負をかけないとしかたがないローカルスーパーというのが如実に現れていたと面白く見た。
- 日本経済が、スタグフレーションに陥りかけているなかで、この番組を見ると、「安いほうがいいじゃないか」と必ずなる。消費者の反応を受け、企業側が「少し無理しても価格を安くしないと」となってしまうと、またデフレに逆戻りとなる。モノには適正価格があり、それを日本全体で志向しないと、今の経済不況は克服できない。今回の番組で「安さだけは負けない」「安いのはいいことだ」と声高に発することには違和感を覚えた。
- 地方の商店にも“まるおか”のようなところは、あるようだ。腕におぼえのある調理師をあつめ、惣菜の味にこだわる。コストカットではなく、質の高さでイオンとはりあうところもあるようだ。だが、この番組は、その域にたっしているのか。大御所の芸人さんたちをならべただけで満足しているようにも感じた。
- バラエティというのはこういうふうに盛り上げていくものだという、何か定型のようなものが出た感じがした。むしろこれをもう少しトーンダウンしたら、もっとイオンのイメージも伝わっただろうと思う。
委員のご意見を受けて
- 制作局 東京制作部 プロデューサー
脇田直樹 - この度は、委員の皆様から貴重なご意見をいただき、感謝申し上げます。入社以来、20年近く番組制作だけを経験してきた者として、気づかされることも多かったです。「情報」と「バラエティー要素」のバランスの難しさは、番組を作る上で常に頭を悩ませる部分ではありますが、様々な声をお聞きする中で、演出面での細やかさも重要な要素であると改めて感じました。その他のご意見も肝に銘じ、引き続き精進したいと思います。