番組審議会 議事録概要
『ミヤネのナンバーワン2020』について審議
- 放送日時
- 2020年12月29日(土)14:45~16:15
(関西ローカル放送) - 視聴率
- 個人全体
[関西]3.2% 占拠率(18.3%) - オブザーバー
- 報道局東京駐在 プロデューサー
松田 智
参加者
委員 |
委員長上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長) 委員長代行難波功士(関西学院大学 社会学部 教授) (敬称略50音順) |
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関西テレビ |
羽牟正一 代表取締役社長 |
議題
- 視聴率状況報告
局に寄せられた視聴者からの意見・苦情等の概要11・12月 - 審議番組「ミヤネのナンバーワン2020」
- その他 番組全般、放送に対するご意見、ご質問等
2021年1月14日に予定していた第620回番組審議会は、新型コロナウイルス感染防止として、委員からの書面による実施としました。また、年明け始めの審議会として、事業者側からは社長の年頭所感、昨年の視聴率状況を報告。番組審議については、委員からさまざまなご意見をいただきました。
番組概要
ミヤネのナンバーワン2020
今年はどんな年だったのか…?2020年を「ナンバーワン」というキーワードで切り出し、あらゆるジャンルのナンバーワンを知ることで一年を振り返る年末恒例番組。年末らしいざっくばらんな雰囲気のトークを展開!宮根誠司×ハイヒール・リンゴ×橋下徹という関西を代表するおしゃべり3人組が2020年をぶった斬る!
番組タイトルについて
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番組タイトルと内容との整合性。この番組が年末恒例のものであるため、タイトル自体が固定されたものになるのは仕方ないかと思うが、無理にナンバーワンという切り口にしなくてもよかったのでは。新型コロナ一色だった2020年だからこそ注目を浴びることになった事柄を振り返るというコンセプトだけでも1年の締めくくりとしては十分説得力あるものだったと思う。
ご意見への返答
これまでも「ナンバーワン」のタイトルで放送していましたが、順位をつけるというわけではなく、ニュースを入口にVTRを見てもらいトークをする、というスタイルで放送してきました。今回も「今年一番熱いトーク」を見せるという意味で「ナンバーワン」を踏襲しました。しかし「ナンバーワンの意味が分からない」というご意見を真摯に受け止め、タイトルと内容が乖離しているように見られないタイトルを模索していきます。
松田プロデューサー
番組のテーマ、ポイントは何だったか
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コロナ禍による価値観の変化がテーマかと見始めた。多くのことがリモートに移行したという話になり、「ネット中心のメディア環境への変化」が本筋なのかとも思い始めたが、サインを考える副業やフォトスタジオのM&A、山や島の購入やレンタルと話が進み、サインを考える副業が価値観の変化と何か関係しているんだろうかと疑問を覚え始めたところに、「テレビorネット」ないし「テレビvs.ネット」や、SNSの功罪といった話題に移り、やはりメディア環境の変化が番組のテーマだったのかと改めて感じた。
言いたいのは、口八丁の3名のクロストークがあればそれでよくて、番組全体を貫くテーマや統一性に拘泥しないというのも一つの立場でしょうが、やや散漫に過ぎる。
『今後主流になるのはネット?テレビ?』の議論
- テレビとネットの将来を語りあうところは、おもしろく拝見した。と、同時にくいたりなかった。橋下さんのおっしゃる放送と製作の分離にも、考えさせられたしだい。この番組では、バラエティーという枠もあり、つきつめることはむずかしかったでしょう。ですが、いつかは、この課題と正面からむきあう企画をこしらえてほしいなと、思う。
- 橋下さんのコメントで、日本のテレビ業界が「ハードソフト一体型」から今後は「分離型」となり、テレビ局はコンテンツを流すだけとあったが、まさにその通りになると私も予測している。
- 橋下氏の「ネットでもテレビでも、要はコンテンツ次第」というのは正論ではあるものの、非常にざっくりとしていて、もう少し掘り下げて議論してほしい発言。また、制作と放映は切り離すべきだというテレビ局の存在意義を揺るがすような発言もあり、宮根氏は「テレビであってほしい」と半ば降参気味の弱気な発言がとても気になった。
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「テレビvsネット」に関する議論は、床屋談義や井戸端会議の類いに思えた。レギュラーの番組ならば、固定客を守ればよいのかもしれない。この番組は特番なのだから、あえて手堅くまとめる必要もなかったのでは。こんな機会だからこそ、いつもながらの3人のトークではない何かを、私としては見たかった。
ご意見への返答
2020年は、コンテンツ配信やSNSでの動画発信など、様々なメディアがクローズアップされた1年でもありました。世間でも若い層を中心にテレビ離れが進んでいることは、認めたくない事実です。そうした中で、このトークテーマを用意し、出演者それぞれのお話から視聴者にも考えてもらえたらと考えました。今後も大きな議論テーマになり得るため、「深堀りした番組を期待」というご意見は、今後の番組制作のヒントをいただいたと受け止めたいと思います。
松田プロデューサー
内容及び番組全体について
- 番組の柱となるキーワードがわかりにくい。「オンライン飲み会」、「リモートサービス」「副業」「キャンプ」「田舎暮らし」というように、2020年に話題になったキーワードを柱にしているとは思うが、単語が次々に出てくるので、何が番組の軸となる「キーワード」として考えているのかがわからなかった。
- オンラインでかなりの事が出来るのが分かった事、さらに言えばオンラインが得意なものと不得意なものが分かった事は、社会を大きく変える原動力になると感じた1年だった。スマホ、マッチングサイトなどの新しい当たり前、無くなった当たり前を整理してくれたのは、1年を振り返るのには良かったと思う。
- リモート飲み会、リモート忘年会、リモート結婚式、リモート葬儀等にわたし自身は興味も必要性も感じず、オンライン海外旅行やリモート講演会、オンラインスナックに至っては理解の範疇を超えた。世の中に語りたいひと、承認欲求の強いひとがいかに多いかを改めて実感した。全体的にイマドキを切りとっていて、奇妙なものを多く見られたのがよかった。
- 全体的にお金の介する話が多かったので、オンラインスナック、リモート葬儀や、M&Aの話、山や島の購入(販売)、さらにはYoutubeについても、雑多に放り込むのではなく、「働き方改革・副業」に吸収する形で、<仕事>を意識してまとめれば、もう少し観やすくなったのではないだろうか。
- バラエティはこうあるべきというワクを外していくことも大事。コロナが流感のように沈静化したとき、テレビを落ち着いて見る時の番組のあり方を考える上で、このことも議論してもらえれば。ネット社会の中でわれわれが知らず知らずにバーチャル社会に入り込んでいく社会構造を、テレビ界としてはフォローして報道していくことが大事かと思う。
委員のご意見を受けて
- 報道局・東京駐在プロデューサー
松田 智 - 未曾有の出来事に見舞われた2020年。多くの人が体験したこと、感じたことに共感しつつ、まだ知らないであろう話題を取り上げてワイワイしゃべっていただき、年の瀬に一年を振り返りつつも気楽に見てもらおうという狙いで制作しました。そのため雑多に見えてしまったことは反省して、次の機会に生かしたいと思います。
- 報道局長
小杉太二 - この番組は今年で7回目を迎える定番の年末番組です。「ナンバーワン」というキーワードを入り口にして一年を振り返っていくのですが、扱うネタの多さが逆にやや番組自体を散漫な印象に落ち込んでいるとのご意見や、「井戸端会議」ではない新しいトーク展開の必要性のご指摘は改善の余地があると思います。今後の宿題とさせてください。
視聴者の興味に徹底的にこたえようと選んだネタを、生活者の実感を持った視点でトーク展開していく…情報バラエティ番組の腕の見せ所です。そういう意味で今回の番組は新型コロナ感染拡大に揺れた年ならではのネタ選びとスタジオ展開にトライしていたと思いますが、ご指摘いただいたご意見を参考にして次回以降の番組制作に生かしたいと思います。