番組審議会 議事録概要
『恋なんて、本気でやってどうするの?(第1回)』について審議
- 放送日時
- 2022年4月18日(火)22:00~23:09
- 視聴率
- 個人全体
関西5.5% 占拠率(20.0%)
関東3.8% 占拠率(16.6%) - オブザーバー
- 制作局 制作部
プロデューサー
米田 孝
参加者
委員 |
委員長上村洋行※(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長) 委員長代行難波功士(関西学院大学 社会学部 教授) (敬称略50音順) |
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関西テレビ |
羽牟正一※ 代表取締役社長 |
※印…対面による出席、他はオンライン(zoom)出席
議題
- 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(4月分)報告
- 審議番組
「恋なんて、本気でやってどうするの?」(第1回)
(4/18月 22:00~23:09放送) - その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等
第634回番組審議会は、新型コロナウイルス感染防止のため、引き続きオンラインと一部対面による開催とした。4月の視聴者対応状況報告のほか、ドラマ「恋なんて、本気でやってどうするの?」について審議された。
その他、芸能人の自殺報道のあり方について委員から質問が出された。
番組概要
『恋なんて、本気でやってどうするの?』
27歳恋愛不要女子・桜沢純(広瀬アリス)はじめ、本気の恋から逃げてきた6人の男女が、自分の殻を打ち破り、恋の沼へと飛び込んでいく。
恋愛すらデジタルで合理的な現代に、裸の心をぶつけ合う本気のラブストーリー。
「委員からのご意見」抜粋
「リアリティをどう考えるか」
- 趣味の高じたヒロインは、マンションの立派な部屋に器のコレクションを並べている。彼女の月収は30万円だと言っていたが、そんなOLに手が出る部屋だとは思えない。住まいとの整合性が取れていないことが気になった。
-
主人公がウェイターに打ち明けるところがあるが、男なんて要らんという女性が何でこんなことを打ち明けるのか。そこでウェイターが主人公を抱き締める。このドラマはコメディではない。今どきの女子の恋愛事情を取り扱った、普通のドラマなので、そこでリアリティを欠いてしまうと、視聴者が不自然に感じてしまう。
上記のご意見への返答
リアリティも意識しているつもりではありますが、当然ドラマである以上、日常生活を生きている自分たちと地続きのところにある人間をいかに描いていくか、どうドラマチックに見せるのかというはざまの中、悩みながらやっています。
理屈じゃない感情の動きで人物たちを見せていきたいということであのように描いているところで、リアリティを感じられない方もおられることをあらためて感じました。プロデューサー・米田 孝
- 言葉の言い回しやストーリーは、その時代に合わせてアップデートしないと、視聴者には気持ちが伝わらない。人間の感情は変わらないとしても、やはりセリフや立ち振る舞いはアップデートしないと、視聴者が受け入れることは難しいのではないか。
- 他局のドラマも含めて感じるのは、マスクの着用がニューノーマル(新常態)からノーマル(常態化)となりつつある中、マスクなしで会議が行われる、レストランの中でも誰もマスクを着用していないなど、マスクのない日常生活に違和感を覚えた。
「ドラマ全体について」
- 映像面で当作品は上質で、個人的には好みの画質、カメラワークだった。3人の女性キャストも旬な人たちで、10~30代の好感度が高い気がする。
- ドラマのオープニングもMV(ミュージックビデオ)みたいでセンスもよく、これから「恋愛ドラマが始まるんだ」という気持ちにさせてくれた。
- ドラマの第一話としてみれば、ユーモラスな全体像と、これからの展開に影響を与えるであろう影の部分がバランスよく盛り込まれ、悪くなかったのではないか。
- 主人公の感情の起伏が激し過ぎて、なかなかついていけない。気持ちの盛り上がりがいきなりなところがあり、もう少し丁寧に感情の揺れを示してほしかった。
- ドラマ全体として、何となく結末が見えていることと、多少の喜怒哀楽の展開があるのだろうが、着地点は無難なところに収まるんだろうと読めてしまう点が、続けて見ようと思わせない一因になっているという気がする。
-
初回は拡大版だということで1時間9分。これは何か意味があるのか。延長することによるメリットというのは一体何なのか。
上記のご意見への返答
第1話がドラマの命運を左右するところはあるので、物語のスケール感などをしっかりとしたものをつくるという意味で、15分拡大していくほうが、大きくいえばメリットがあるというのと、初回は人物の紹介などをある程度見せていくことが脚本上必須になってくるので、物語の構成上15分拡大でつくっているというのが現状です。
プロデューサー・米田 孝
- ヒロインは、初めのほうで泣く女は嫌いだと言っていた。多分、この後の伏線だと思っていたら、韓国映画を見ながら涙を流す場面があり、この程度の伏線だったのかと思った。しかし、ラストでヒロインが大泣きする場面には盲点を突かれた。伏線を張って、その伏線をそこそこ処理しておいて、その後で伏線に関するどんでん返しを持ってくるというドラマづくりもあるんだと感心した。
-
最近の若い人は、ドラマは収録して、早送りで見ている人がほとんどだと聞いた。もし早送りで見るというのが普通の状態なのであれば、ドラマづくりにはどういう影響があるのか、また今後のドラマづくりに何か変化があるということになるのか。
上記のご意見への返答
若い人が早送りでドラマを見るという現実に関しては、これが一つの時代の流れであるならば、早送りでも楽しめる形を模索するのもあると思いながら、一方で、役者は、いかにどれだけ行間のところで細かい芝居を積み上げて人物をつくっていくかという現場の感覚からすると、そこに合わせにいくという答えは今はありません。
プロデューサー・米田 孝
- 若い女性3人の恋愛模様、主人公の恋愛がどうなっていくのかという物語だと思うが、主人公も含めて登場人物の仕事や実生活というものが全く浮かんでこない。ただ恋愛に関する会話ばかりで、まるで恋愛のことだけしか頭にないような登場人物に見えて、少し興をそがれた。
- このドラマは根幹が細い。ストーリーの根幹が細いから、余計なエピソード、枝葉をつけようとして失敗している。ストーリーというのは根幹に起伏があって、ドラマはその根幹で引っ張らないといけない。
委員のご意見を受けて
- 制作局 制作部 プロデューサー
米田 孝 - 委員の皆様に貴重なご意見を多数いただき、大変感謝しております。中でも、物語というのは「根幹」の部分に起伏があることが何より重要で、そこで視聴者を惹きつけなければならないというご意見は、ハッとさせられました。頭では分かっていることながら、番組作りの様々な過程の中で本質がぼやけてしまわないようにしなければならないと改めて感じました。その他のご意見も肝に銘じ、今後の番組作りに活かしていきたいと思います。