番組審議会 議事録概要

No.655 2024.6.13

「クイズ!ドコノゴハン ~舌から学ぶニッポン~」(5/26放送)について審議

放送日時
2024年5月26日(日)
16:05~17:20
視聴率
個人全体関西地区2.7%(占拠率13.6%) 関東地区1.9%(10.5%)
オブザーバー
制作局 東京制作部 プロデューサー
片山健太

参加者

委員

委員長

上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長)

委員長代行

難波功士(関西学院大学 社会学部 教授)

井上章一(国際日本文化研究センター 所長)※
上野信子(ジャトー株式会社 顧問関西国際交流団体協議会 理事)
黒川博行(作家)
高江洲ひとみ(弁護士)
通崎睦美(木琴奏者)
中村 将(産経新聞社大阪本社 編集局長兼写真報道局長)
早嶋 茂 (株式会社旭屋書店 相談役)

(敬称略50音順)※…レポート出席

関西テレビ

羽牟正一 代表取締役社長
喜多 隆 専務取締役
和田由美 コーポレート局長
島本元信 コンテンツデザイン局長
小川悦司 制作局長
西澤宏隆 スポーツ局長
横山和明 制作技術統括局長
柴谷真理子 報道局報道番組部長(代理出席)

議題

  • 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(5月分)報告
  • 審議番組 「クイズ!ドコノゴハン ~舌から学ぶニッポン~」
    [5/26(日)16:05~17:20放送]
  • その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等

第655回番組審議会では、5月分視聴者からの意見対応の報告、また審議番組は、全国ネット単発・食育バラエティー第4弾の「クイズ!ドコノゴハン ~舌から学ぶニッポン~」について審議された。委員からは、「タイトルに『クイズ!』とあるが、実際はいわゆるクイズ番組とは違う」や、出演者が言っていた「“VTRを見てから食べると味が変わる”というのは的を射た言葉だ」などの意見が出された。

 クイズ!ドコノゴハン ~舌から学ぶニッポン~
番組概要

「クイズ!ドコノゴハン ~舌から学ぶニッポン~」(5/26放送)
“全ての味にはワケがある”をテーマに、MCのEXITとゲストパネラーたちが、ニッポン各地で食べられているゴハンに込められた知恵や工夫、人々の思いを学ぶ食育バラエティー第4弾。
・国民体育大会3年連続日本一を果たした兵庫県・日ノ本学園高校の新体操部。チームを変えたのは、公認スポーツ栄養士・小西さんの存在だった。小西さんが考えた必勝ゴハンとは。
・日本海最北端の島・礼文島から、2000年以上前から食べられていた貴重なたんぱく源“海のギャング”と呼ばれる伝統食材を紹介。
・千葉県にある町中華「東東」。幼なじみの女子大生2人が営む町中華であまりの人気ぶりに行列が絶えない。そこには亡き祖父の味を素人の孫娘が復活させた涙ぐましいエピソードがあった。

委員からのご意見

  • これはクイズ番組ではないのではないか。視聴者を引きつける目的を持つタイトルなので、十分に配慮する必要がある。そうはいうものの、食事の内容からどんな人が食べているのかということを推測するという発想は大変ユニークで、面白かった。
  • エピソードを知る前後で味が変わるというのはわかるが、出演者はコメントが難しいのではないか。わざとらしくすると何か演出的に言っていると思われかねない。
  • 『スポーツ』『地域』、『町中華』とあったが、地域の“トド漁”のVTRについては、地理の授業で見せてもいいのではと思うようなコンテンツ。スポーツも食事を切り口にしたスポーツドキュメンタリーで、町中華も含めて3つとも面白く見た。
  • いろんな見方があると思うが、テーマの「日ノ本学園」は、どちらかというと、選手、栄養士、監督も含めたヒューマンストーリーで、食育というより新体操の話。なので、食べたいか食べたくないかとか、おいしそうかおいしそうじゃないかという観点で見ると、これはちょっと毛色が違うのかと感じた。
  • 町中華「東東」、食レポの番組はユーチューブで山のようにあるが、再現ドラマを入れたりして、差別化はなされていた。最後にジェンジェンが穂乃花の母親の手紙を読むところだが、ジェンジェンのナレーションがとてもうまい。プロのアナウンサーでもこんなふうにうまいこと読めるかなと、違うところで感心した。
  • 全体的には面白く見たが、これまでのこの番組のシリーズでは、南極の観測隊や山岳救助隊が何を食べているか、富士山の山頂で何を食べているか、スポーツだったら、バレーとか相撲とか騎手にも関心が向くが、「町中華」の食の商売につながるものがひとつ入っていることで、何か安易な感じがした。
  • 中華料理「東東」は、「日ノ本学園高校」とか「礼文島」と違い、この取材の狙いがわからなかった。おじいちゃんが残した店を素人同然の女子大生の孫が苦労の末に立て直したという話にしか聞こえず、それであれば、勝つための食事だとか、あるいは極寒の地で生き残るために自然と闘い共生しようという食事とは明らかに視点が違う。
  • いろんな見方があると思うが、テーマの「日ノ本学園」は、食事がヘルシー過ぎて物足りない。どちらかというと、選手、栄養士、監督も含めたヒューマンストーリーで、食育というよりも新体操の話。なので、食べたいか食べたくないかとか、おいしそうかおいしそうじゃないかという観点で見ると、ちょっと毛色が違う。3つのテーマの順番あるいは組合せを変えることによって、また番組の見せ方、見え方が変わると感じた。

    上記のご意見への返答

    番組を「東東」から入るという話もありましたが、この3つはあまりにもバラバラで違うので、何から入るかで番組の見え方がすごく違うところがあります。「東東」を入れた理屈としては、おいしいものを出そうというのがあり、トド肉や新体操の食事は、視聴者が食べたいと思うものではない。まず「食」を扱うのなら食べたいということが前に立つべきだという論もあり、そういう意味で「町中華」を入れたところはあります。

    プロデューサー 片山健太

  • トド汁を漁師の家族がたのしんでいた。にぎやかな宴であった。ただ、ひとりの少女は、ずっとスマートホンをいじり、談話にはくわわっていなかった。そこを正直にとらえたカメラに、好感をもった。これは、こしらえものの画面じゃないと思えた。
  • スペシャルコンテンツやTVerの放送について、1週間で切れることが多いが、配信がどれぐらいまでやっているかをアナウンスしてもらいたい。
  • 「食」を中心にいろんなクイズを出して、みんなでワイワイ悩んでるとか、そういう番組もあってもいい。晩飯を家族で食べながらというシチュエーションが今あるかどうかわからないが、みんなで眺めてたり、深夜のいわゆる飯テロ番組みたいになってもいいような気がする。

委員のご意見を受けて

制作局 東京制作部
片山健太 プロデューサー
「全ての味にはワケがある」をテーマに、これまで4度に渡り制作してきました。今回、委員の皆様からいただいた意見の中で印象的だったのは、「番組コンセプト」を深く強く提示することの大切さです。
幅広い人々に見ていただくため、時に番組制作にあたって「広く」、「バラエティ豊か」を意識することがありますが、究極的に大切にすべき「番組の軸」を失ってはならないと改めて気づかされました。「クイズ!ドコノゴハン」というタイトルに関しても、本当に「クイズ」とつけるのが適切なのか、考えさせられました。この度は貴重な機会をありがとうございました。