番組審議会報告 議事録概要

No.640 2023.1.12

『よ~いドン!お正月スペシャル』について審議

放送日時
2023年1月1日(日)12:00~13:50
視聴率
個人全体
関西5.8% 占拠率(23.3%)
オブザーバー
クリエイティブ本部 制作局 制作部
チーフプロデューサー
米田 孝

参加者

委員

委員長

上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長)

委員長代行

難波功士※(関西学院大学 社会学部 教授)

井上章一(国際日本文化研究センター 所長)
上野信子(ジャトー株式会社 顧問 関西国際交流団体協議会 理事)
黒川博行(作家)
高江洲ひとみ(弁護士)
通崎睦美(木琴奏者)
早嶋 茂(株式会社旭屋書店 取締役会長)
堀 洋(産経新聞社大阪本社 大阪代表補佐兼編集局長兼写真報道局長)

※レポート出席(敬称略50音順)

関西テレビ

羽牟正一 代表取締役社長
宮川慶一 専務取締役
小杉太二 報道局長
小寺健太 制作局長
高島公美 コーポレート局長
西澤宏隆 スポーツ局長
横山和明 制作技術統括局長
乾 正志 コンテンツデザイン局総合編成部長(代理出席)

議題

  • 関西テレビ放送基準の改正について説明・諮問
    番組審議会からの答申
  • 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(11・12月分)報告
  • 審議番組「よ~いドン!お正月スペシャル」(12:00~13:50放送)
  • その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等

第640回番組審議会は全員対面にて開催。
(議題1について)
放送法第6条3項に基づき、関西テレビ放送基準の改正について、番組審議会に改正内容を説明・諮問し、「了承した」との答申をいただいた。
今回の改正は、放送業界や社会状況の急速な変化に対応するべく、主には、「人権意識」「性」「宗教」「児童」などの項目について、放送基準の152条文中45条文を改正する大きなものとなっている。
(議題3について)
審議番組は、月曜から金曜に放送中の「よ~いドン!」の正月スペシャル版。当番組は、今年7月で15年を迎える。

 よ~いドン!お正月スペシャル
番組概要

『よ~いドン!』恒例のお正月スペシャル。各曜日のレギュラーメンバーが、華やかな着物を身にまとい、スタジオに勢ぞろい。
関西で暮らす人々の魅力を紹介する「となりの人間国宝さん」は、お正月スペシャル版を放送。また、火曜日の人気コーナー「いきなり!日帰りツアー」では、渋谷凪咲がおばさまを探し、宮古島で「いきなり!一泊二日ツアー」を実施。
さらに、水曜日に放送中の「ロザンのうんちくん」は、ロザンと石原良純が対決する豪華版。

委員からのご意見

「となりの人間国宝さん」について

  • 定評のあるコーナーを集めた2時間スペシャルであり、出演者も豪華で素直に楽しめた。お正月にのんびり眺めるには最適な番組で、とりわけこの回の「となりの人間国宝さん」は秀逸だった。
  • あいみょんさんの、対応の一つ一つ、せりふの一つ一つで人柄がよくわかった。自然体なところに好感を持った。あいみょんさんを連れてきたのはこのコーナーの大正解であったと思う。
  • 「よ~いドン!」は、私がベタな関西人で、何回も見たことのある親しみ深い番組。
    今回はあいみょんさんみたいなスターが出てきて、驚いた。ただ、あいみょんさんが街ブラしていると、やはり、あいみょんさんしか入ってこない。通常の人間国宝さんは、実はこんな人が意外な人生を歩んでいたというのを掘り出すのが醍醐味だが、今回はそこまで行けなかった。少しがっかりした。
  • 人間国宝さんに行き着くまでの街ブラは、出演者のタレント力が問われるパートで、あいみょんさんにはバラエティ番組への高い対応力を感じた。ましてや生まれ育った地元を歩くわけで、道行く人との会話も弾むし、本当に楽しんで街ブラしていることが伝わってきた。
  • 西宮神社にあいみょんさんが交渉に行くくだりで、あいみょんさんとの交渉のプロセスを音声だけで出したというのは大変うまいやり方だった。つまり、円さんのいるところとあいみょんさんのいるところの遠近感というものが視聴者に何か伝わってきたような感じがした。

「いきなり!1泊2日“お正月スペシャルin宮古島ツアー”with渋谷凪咲」について

  • いきなり旅行に行くコーナーで、どういうシステムかを知らなかったので意味がわからず。最初にたむらけんじさんが来ないということもぴんと来なかった。初めてこの番組を見る人のために、もう少し説明をしてほしかった。

    上記のご意見への返答

    日帰り1泊2日ツアーのシステムがわからなかったという点は、我々としては定番で毎日やっている番組なので、多くの方が見て知ってくださっている想定でつくってしまっているところがあります。
    都度説明するのも煩わしく感じてしまうのではということなのですが、それは裏を返せば長く続けている番組のおごりにもつながることなのかもしれず、いきなりおばさまを誘って連れて行くのがこのコーナーの肝だとわからないと、たむらさんの遅刻も成立しないと思うと、もう少し丁寧にやればよかったかと思いました。

    チーフプロデューサー・米田 孝

  • たむけんさんは、本当に想定外のことが起こったのだろうが、うまく番組に活用されているのがプロだと思った。
  • 宮古島の「いきなり1泊2日ツアー」、レギュラーなら日帰りツアーなので正月SPで豪華版。いつもは、もう少し、たむけんさんが突っ込んで、えげつないことも言うが、今回は自分が寝坊して失敗したことがあるのかもしれないが、物足りない部分があった。

「ツウなら知っておきたい!~ロザンのうんちくん~」

  • クイズは賛否両論あると思う。東京を取り上げたというところなど、ちょっと浮いていたかなと思った。
  • クイズについて、ロザンも石原良純さんも別に嫌みもなく見ることができたが、もう少し工夫、もう少し数があってもいいのでは。クイズ番組というのは、視聴者としてそのクイズについて答えたり、これは難しいか易しいかというようなことを思ったりする。プロデューサーが言う(クイズが得意な芸人さんが何問正解できるのかというのを楽しむという演出について)、あまりそういう一方的な解釈でつくらないほうがいい。

「全般について」

  • 15年を迎えるということで、敬意を表したい。特に人間国宝さんのBGMはなじみが深く、関西にいる者としては愛すべき番組だ。街中でも、人間国宝のステッカーを見る機会が少なくない。
  • 最初に3つのコーナーがあるということが明示されていて、それがわかりやすくてよかった。
  • そもそも正月スペシャルというのは何なのか。放送されている中身は事前に収録されているわけで、正月スペシャルという名前にこういった制作方法が値するのかというのをあらためて疑問に思った。
  • 総体として、「よ~いドン!」の正月SPの豪華版として、レギュラーの番組の雰囲気も残しながら、ゆっくり見られる安心感があると評価したい。ただ、豪華にした分だけ本来のコーナーのよさが少しずつ失われていて、兼ね合いが難しい。
  • 正月だからといって新味を出すのは難しいと思った。
  • よくバラエティ番組でVTRをぶつ切りにして、その間にほかのVTRを入れてまた最後にという手法があるが、今回はまとめてVTR3本続けて、全部最後まで見ることができたので、その点はよかった。
  • 高度経済成長期以降、大阪にあった多くの企業は東京へ本社を移し、関西のテレビ局は有力スポンサーを1960年代以降どんどん失った。関西各局が見いだした活路の一つが路上を歩く一般人。制作費のあまり要らない、ギャラのかからないタレントとして、まちで出会う人の面白い反応を使い出す。
    テレビカメラとマイクを見たら何か愉快な反応をしなければならないという、そういう情操教育を関西各局は半世紀にわたってやってきたと思う。その必然的な結果として画面に出る路上の関西人は愉快な人になっていったわけだ。この頃は、東京制作の番組でもおもろいおっちゃん、おばちゃんを出すケースが増えている。この点で関西がアドバンテージを発揮できる時代はもう間もなく終わるんじゃないかと思う。
  • 通常運転のものも含めて、よくできた番組として「よ~いドン!」を高く評価している。人気番組として長く続いており、関西圏での番組の知名度は群を抜いている。ただし、長く続いているだけに、マンネリ化の危機はつねにある。固定ファン向けに安定した内容を保ちつつ、何か新しい要素を適宜投入し続ける必要があるだろう。

    上記のご意見への返答

    この「よ~いドン!」という番組が今年15年を迎えて、この先も5年、10年続けていきたい番組だと思っています。今の形とは変えるところは変えていかなければならないという議論は当然にあり、そういうことも視野に入れながらやっているつもりです。いろんなトライアルをしながら、常に何か新陳代謝をしていく必要はあると考えています。

    チーフプロデューサー・米田 孝

  • テレビを点けながら家事などをするというよりは、スマホやタブレットで映像などを流しつつ、用事を済ませるという方が、一般的になっている以上、TVer等への展開をはかる必要があるのでは。

委員のご意見を受けて

クリエイティブ本部 制作局制作部 チーフプロデューサー
米田 孝
今年15周年を迎える「よ~いドン!」のお正月スペシャル版。レギュラー放送を見て下さっている方も、あまり見たことがない方も、今は関西を離れていて久しぶりに見る方も、等しく楽しんでいただけるように、「定番感」を残しながらお正月らしく豪華にパワーアップしたものをお届けすることを最大の狙いとしました。
委員の皆様のご意見に、楽しんでいただけた部分と課題の両方がよく見え、大変勉強になりました。これからも長く愛していただける番組を目指して、より工夫を凝らしていきたいとあらためて感じております。ありがとうございました。