第55回 オンブズ・カンテレ委員会 議事概要

2023年2月28日

日時

2023年2月28日(火) 15時

場所

関西テレビ放送

出席者

難波功士委員長、赤松純子委員、丸山敦裕委員、羽牟正一代表取締役社長、宮川慶一専務取締役、喜多隆常務取締役、伊東亮取締役

冒頭、羽牟社長から、昨年末に判明した記憶媒体の紛失について、「番組制作で使用する記憶媒体の数が増えており難しい問題だが、今後十分な対策を講じ注意していきたい」などと挨拶があった。
議題の内容と、それに対する委員と関西テレビの意見は以下の通り。

1.映像記憶媒体の紛失について

昨年12月、関西テレビの番組制作に関わる外部スタッフが番組関連の映像を記録した記憶媒体を紛失する事案が発生した。記億媒体は番組スタッフ個人所有でセキュリティ設定はされていなかった。これを受け、記憶媒体にはセキュリティ設定をすること、使用後は素材を消去することを全社員に周知し注意喚起している。クラウドサービスを併用したり、記億媒体の数自体を減らすこと等も検討している。

委員からの意見

  • テレビ局の場合はファイルサイズが大き過ぎてクラウドサービスは向かないのではないか。
  • クラウド使用のルールはあるのか。

関西テレビからの意見

  • 低画質でできるプレビュー等からクラウドの使用を検討している。
  • クラウドはアクセスログが残るので一定のセキュリティは維持できると聞くが、データや登録スタッフの整理が重要になる。
  • 現場の意識向上と合わせてパスワードの強化も図っていきたい。

2.視聴者からの意見と対応(12月~2月対応分)

(1)「報道ランナー」(10/20)殺人事件の加害者と被害者の2ショット写真

殺人事件の被害者がピースしながら加害者と映っている写真を使用したところ「被害者や遺族にとって不本意な写真をなぜ放送するのか」という視聴者からの苦情が複数あった。
報道センターは「ご遺族との信頼関係のもとで使用を許された。被害者と加害者との関係性や事件の経緯を正しく報道するために使用している」としている。

委員からの意見

  • 被害者に非があるという文脈ではないので問題は無い。
  • 遺族の承諾に関わらず使用しなければならない場合はあるし、今回は承諾があるのでなおさら問題は無い。
  • 無関係の人が「遺族は傷ついているかもしれない」と言ってくるが、架空の話で報道するかどうかを判断すべきではない。
(2)「報道ランナー」(11/25)赤木さん自死直前の動画使用

公文書改ざん訴訟のニュースで、赤木さんの自死直前の動画が放送されたことに対し、視聴者から「センシティブな内容なので希死念慮のある方々が見ないで済むよう配慮がほしい」という意見があった。報道センターでは、「ご遺族の意向を踏まえて出しており、放送することの意義を重視した」としている。事前に「お断り」を入れるのは、この種の報道では考えにくい、との考え。

委員からの意見

  • 希死念慮のある人が映像によって触発されるという医学的な知見があるなら配慮すべきかと思うが、今回の動画使用が不適切とは言えない。
  • 「この種のニュースでは事前にテロップを付けるのは難しい」という報道センターの見解はどういう意味なのか。
  • 希死念慮のある当事者が言うなら検討する価値はあるが、無関係な人が「可哀そう」と言ってくるのはどうかと思う。

関西テレビからの意見

  • 東日本大震災の津波の映像で事前に注意喚起のテロップを出す場合があるが、過去に起きた大事故等でも出したことは無い。心の傷への配慮だと思うが、表現上の制約になる恐れもあるので、今後も出さない方向で考えている。

委員からの意見

  • 新しい放送基準では自殺報道への配慮も入っており、転換期を迎えているのではないか。これまでは事前の注意喚起まで入れなかったとしても、今後検討する余地はあるのではないか。

関西テレビからの意見

  • 自殺をセンセーショナルに扱うことはしてはいけないが、今回のケースは、赤木さんがなぜ追い詰められたのかを伝えることがメインテーマであり、自殺がテーマのニュースではなかった。
(3)「報道ランナー」(2/6)首相秘書官のオフレコ発言

首相秘書官がオフレコ取材で同性婚について「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」と発言し更迭されたニュースに対し、視聴者から「オフレコなのに報道したのはよくない」という意見があった。
関西テレビは、一部の報道機関がオフレコ発言を報じた後、首相が秘書官を更迭した際に、スタジオ解説を付けて報じた。
報道各社でも、重大な問題だとしてオフレコ発言を報じた社と、オフレコ破りを批判する社など対応が分かれた。
放送倫理会議では、報道センターが「首相秘書官という立場にある人物の差別発言が問題視されている」と述べ、更に、その場で本人に真意を質すべきだった、という考えを示した。

委員からの意見

  • オフレコだから約束は守るべきという意見も正しいし、オフレコであろうが報道すべき価値があるときは報道すべきだというのも正しいのでケースバイケース。関西テレビが報道したのは、すでにオフレコ発言が広まっている段階で、扱いとしては正しかった。
  • 記者の中に異性愛者しかいない前提で話している秘書官が要職についていること自体も問題なので、報道する価値はあった。
  • オフレコを破れば自らの取材の自由を失うことに繋がるのでこのタイミングの報道は信義に反する。
  • オフレコ発言を報じると、本当のことを話さなくなる口実を与え、将来的に国民の知る権利が損なわれる。秘書官が差別論者で資質が無いことと、将来的な知る権利を天秤にかけると、失ったものの方が大きく、オフレコを破ってまで出すべき情報ではなかったのではないか。
  • 同性婚を認めないというのは一つの意見かもしれないが、秘書官の発言は明らかな差別に当たるので守られるべき多様性はない。
  • 個人的に差別思想を有することと、それを行動に移したり政策形成に影響を与えたりすることとは、区別されるべき。それゆえ、秘書官の差別思想が政策形成に影響を与えていたり、目の前に同性愛者がいるのにあえて自らの差別思想に基づく侮辱的発言をするといった人権侵害があった等の場合であれば、これを報道することにはオフレコの遵守(将来的な知る権利の保護)以上の価値が認められる。しかし、今回のオフレコでの発言では人権侵害は生じていない。個人が内心で差別思想を持つこと自体は違法行為ではないので、その限りで今回はオフレコの遵守を上回る報道価値はなかった。但し記者の中に同性愛者がいるかもしれないという視点に立つならば、人権侵害の可能性が認められることになるので、その意味では報じる価値はあったともいえる。

関西テレビからの意見

  • オフレコ取材といえ、秘書官という要職にある公人の取材の場での発言だった。明らかに差別的な考えの持ち主が官邸の中枢部にいて法案の肝を作ろうとしているということは、一般市民に知らせるべきことではないかと思う。

3.その他報告

(1)関西テレビ放送 放送基準改正について

民放連の放送基準と関西テレビの放送基準が4月に改正される。
社会の急速な変化、人権意識の高まり、価値観の多様化を受け、2014年以来の大幅な改正となっている。関西テレビでは、複数回開催する社内説明会に加え、「考査メルマガ」などで周知を図っている。

委員からの意見

  • 自律は、運用次第では、他律よりも萎縮しやすいので注意してもらいたい。また、ダメ出しが過度になると、忙しい中、微妙な表現や面倒事を避けるようになってしまいかねないので、これにも注意して欲しい。
  • 表現や報道が萎縮するのは本当に警戒しなければならない。考査メルマガは非常に良い取り組みだが、「べからず集」にならないよう、ここまではいけるという線引きを示せたらよいと思う。
(2)コンプライアンスライン説明会実施

公益通報者保護法改正を受け、2022年11月から12月にかけて、関西テレビの内部通報窓口利用者全員を対象とする「カンテレ・コンプライアンスラインと公益通報に関する説明会」を実施した。

(3)人権研修報告

「差別を自分ごととするために~マジョリティ特権とマイクロアグレッションを考える」と題したオンライン人権研修を2月16日に開催した。講師は上智大学外国語学部の出口真紀子教授。差別の問題はマイノリティ側ではなくマジョリティ側の問題であり、解決するにはマジョリティ側が自覚しなければならない、等の内容。

4.オンブズ・カンテレ委員会特選賞の実施予定について

オンブズ・カンテレ委員会特選賞の募集を1月から実施しており、全社員による第一次投票を経た上で、次回の委員会で、番組部門、活動部門の最優秀賞を決定する。

5.委員会直接通知について

この期間における社員等からの直接通知案件は無かった。

次回委員会日程について

2023年5月開催予定

以上