第61回 オンブズ・カンテレ委員会 議事概要
2024年11月28日
日時 |
2024年11月28日(木) 11時 |
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場所 |
関西テレビ放送 |
出席者 |
難波功士委員長、丸山敦裕委員 |
関西テレビ出席者 |
大多代表取締役社長、喜多専務取締役、岡取締役、小杉取締役、事務局 |
1.兵庫県知事選挙について
失職した知事が再選された兵庫県知事選挙をめぐる報道に関して、視聴者から多数の苦情が寄せられたこと、更にSNSで真偽不明の情報が拡散し「テレビは真実を隠している」という論調が巻き起こったこと等について、以下の意見交換が行われた。
委員からの意見
- メディアの報道が、候補者の政策よりも資質面に偏っていた。政策を伝えるには勉強しなければならない。資質を取り上げるほうが楽だから、安直なほうに走ったのではないか。
- 再生回数を上げる目的でSNSにネタを上げている人もいるので、テレビ局は冷静に報道すべきことを伝えるしかない。
- 選挙期間中に十分報道ができなかったことについて、公職選挙法や放送法を言い訳にすべきではない。BPOは各局の判断で報道できるという見解を出しており、政治的に公平な選挙報道はやろうとすればできたはず。
- テレビも分かりやすさを追求してきたのは同じなのだから、ネットメディアと旧メディアを対立させて「ネットは単純で極論」などと叩く図式には乗らないほうが良い。
- テレビも視聴率を狙ってきたのだから、ネットメディアは「再生回数を稼ぐためのアテンションエコノミーでテレビとは違う」、とは言えない。
- 旧メディアは理性的で、ネットメディアは感情的でポピュリズムに流されている、という対比の仕方も、上から目線だと反発が起きるのでしないほうが良い。
- メディアは自ら、国民を代表して権力監視の役割を負っていると言うのではなく、その役割を粛々と果たすことで、視聴者からそう思われる存在であるべき。
- 批判に直接反論するより、きちんとした報道姿勢も保ちつつ、様々な形でコンテンツによってテレビの存在感を伝えていくしかない。
- 市民が知りたがっている情報が分かっているのにあえて報道しないのなら、その情報を扱わなかった理由を説明することが信頼を得るためには必要だろう。
- あらゆる見解には反論があるので、一方ではなく異なる考え方を示すことで、公平性は一定担保できるのではないか。
- ネットを駆使した選挙活動の手法自体を取り上げる機会はあったと思う。その中で、「事実関係の確認できない情報については扱うことができない」と説明する方法もあったのではないか。
- テレビへの批判が多かったとはいえ、必ずしも多数派ではないし、右往左往する必要はない。メディアが風向きを見て日和始めたら終わり。後から見れば事実ではなかったという事象はいくらでもあるので、それを持って「テレビは信用できない」と言う層は一旦横に置いてよい。
- 多数の市民はマスメディアを全て信用できるとは思っていないが、全く信用できないと軽々しくとらえているわけでもない。この層を意識して、テレビは事実を探求する困難さを肝に銘じつつ、信に足る存在であろうとし続けるしかない。
- 「信に足る」と「ウケる」ことの両立は難しい。今回反省すべき点があるとすれば、政策よりも、パワハラなど、面白いほう、俗な方に焦点を当て過ぎたことではないか。報道に「ウケ」が必要なのか疑問。こんな時期だからこそ、事実を淡々と伝える報道番組が見たい。
関西テレビからの意見
- 視聴者からの声の多くは、「テレビや新聞は嘘をついている、ネットに真実がある」という趣旨の内容だった。批判として重く受け止めている。報道センター内でも部員から意見を募っている。
- 政治的公平性を保とうと配慮した結果、選挙期間中に選挙報道が激減したのは事実。その中で、有権者が情報を求め、結果SNSの影響力が大きくなったと考えられる。
- 今後、ネットとテレビのどちらが正しいのかではなく、どうしたら有権者により正しい情報を伝えられるのかを考えていかなければならない。
- 有権者、視聴者の信頼を得るために、基本はまず、普段のニュースからきちんと評価してもらい、信頼を得られるようにしていきたい。
- 候補者の政策よりも資質に特化した報道が続いた面はある。しかし、当社は告示後に主要候補を招き、当選後の政策に焦点を当てた討論会を放送した。今後の選挙報道でもしっかり取り組むべき課題だ。
- 公益通報者保護法の観点など、様々な事情を勘案して扱うべきではないと判断した情報があった。扱わなかった理由や報道姿勢について、これまで発信したことは殆どなく、説明が非常に難しい。視聴者に伝えたほうがよかったのか、今後検討していきたい。
- テレビにもアテンションエコノミーの側面があり視聴率を取ろうとしているのはその通りだが、その上で、放送法や放送倫理に反しない正確な情報を伝えているという価値を、視聴者にどうやって受けとめてもらえるか考えなければならない。
- テレビで受動的に伝えられた情報よりも、自分から取りに行ったネットの情報の方が信じやすいというメディア特性はあると思う。であるならば、ネット配信と地上波の両方を持っているテレビ局のニュースの出し方もあるのかもしれない。
- 一連の疑惑問題で、第三者委員会が答申を出していない段階で県議会が知事に不信任を決議したのは正しかったのか、という見方も必要だったのではないかと思う。
2.大麻疑惑報道で肩書間違い
関西にある大学のアメリカンフットボール部の大麻使用疑惑報道の際、インタビューに応じた取材協力者の肩書を誤って紹介した。関係者からの指摘を受け、ニュース内での訂正とお詫びを行った。
上記について、以下の意見交換を行った。
委員からの意見
- インタビューに答えてくれた人物のその後のケアをしっかり行う必要がある。
- 取材から放送まで時間がなかったとはいえ、HPを確認する、周囲にいる関係者に確認するなど、何らかの対応はできなかったのか。
- 実名ではなく匿名で報道をする場合に、制作側の気が緩むような傾向はないのか。
関西テレビからの意見
- 放送まで時間がない中で、肩書の確認を行わなかった単純ミスが原因である。
- インタビューに協力してくれた人物については、その後のケアも行っている。
- 自分が扱っているニュースにどこまで関心を持って臨んでいたかが問われる事案であり、反省している。
- 実名報道が匿名報道になったからといって、制作側の気が緩むことはない。
3.BPO関連
・MBS「ゼニガメ」BPO放送倫理検証委員会審議入り
上記について事務局より報告があった。
4.委員会直接通知について
この期間における社員等からの直接通知案件は無かった。
次回委員会日程について
2025年2月開催予定
以上