第60回 オンブズ・カンテレ委員会 議事概要
2024年8月20日
日時 |
2024年8月20日(火) 14時00分 |
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場所 |
関西テレビ放送 |
出席者 |
難波功士委員長、赤松純子委員、丸山敦裕委員 |
関西テレビ出席者 |
大多代表取締役社長、喜多専務取締役、岡取締役、小杉取締役、高島コンプライアンス推進局長、事務局 |
1.他社事例
(1)原作のあるドラマの制作について
ドラマの原作者が死亡した問題で、小学館と日本テレビが調査報告書を公表した。
上記について以下の意見交換が行われた。
委員からの意見・質問
- 脚本家側の意図が原作者の意向に反する形で強く出てくるというのは、よくあることなのか?
- 日本の連続ドラマの制作本数自体が増え、漫画原作のドラマも多くなっている。制作本数が増加すると作り方が荒っぽくなるのではないか。
- 非常に痛ましい事案であるが、原作者が亡くなったのは原作が改変されたからではなく、SNS上で起きた非難等に起因している部分が大きいと思われる。
- 原作者側とドラマ制作側とで意見が合わなかったときに、どのように制作を進めていくべきかという点に焦点を当てた議論が進めば良いと思う。
関西テレビからの意見・回答
- 完全に原作通りにはできないという前提を原作者側にも理解いただいた上で、ドラマ化の許可を取らねばならない。原作改変をどこまで許すかは、原作者によって千差万別で、非常に難しい問題だ。
- 全話の脚本が完成し関係者全員が納得してからクランクインすれば解決するが、日本のテレビドラマ制作の現状では難しい。今回の事案が起きたことにより制作方法が変わっていくかもしれない。
- 過去のドラマ制作では、視聴者の反応を見ながら、ライブ感覚で内容を変えて制作していくこともあった。
- オリジナルドラマを作れるプロデューサーを育てていくことも一つの策だ。
- ドラマ制作のスケジュールは慌ただしく、様々な問題に追われているが、原作者側には誠心誠意向き合い、議論を交わしながら丁寧に取り組まなければならない。
(2)取材先から虚偽の情報提供があった場合の対応について
遺品整理・中古品買い取り業者に密着した他局のバラエティ番組内で、事実と異なる内容が放送され、当該局はホームページと自社のニュースでお詫びをした。
問題の業者は、関西テレビの複数の番組でも取り上げていたため、各番組の担当者が聞き取り、確認を行ったところ、虚偽は見つからなかった。関西テレビでは、「虚偽は無い」と記載された出演承諾書の取得や、事前のロケハンにより、取材先からの虚偽の情報提供への対策を行っている。
上記について、以下の意見交換が行われた。
委員からの意見・質問
- バラエティの場合、どこまでを演出の範疇としているのか?
関西テレビからの意見・回答
- 事実ではない内容を事実かのように放送することは、演出の範疇ではない。信頼できる取材先、信頼できるスタッフと制作できるよう取り組んでいく。
- 視聴者が許容する演出の範囲は狭くなっている。演出と虚偽の間には、はっきりとした線引きが必要だ。
- 出演承諾書を取ることは保険的な意味合いで抑止力にはなるが、どんな番組であろうと取材を尽くすこと、しっかり準備することの方が大切だ。
- 放送日が迫っているのに素材が不足し、制作会社やADが追い詰められているようなときに問題が起きやすい。思うような内容にならなくても、放送ができなくても仕方がないという意識も持つよう、注意を促していきたい。
2.BPO関連
(1)テレビ東京“警察密着番組” BPO放送倫理検証委員会審議入り/BPO放送人権委員会審理入り
テレビ東京の“警察密着番組”が放送倫理検証委員会で審議入り、人権委員会で審理入りした事案について、事務局より報告があった。
(2)サンテレビ自治体元課長の不正報道がBPO放送人権委員会審理入り
サンテレビの報道番組で取り上げられた自治体の元課長が、BPO放送人権委員会に名誉棄損等を申し立て、審理入りした事案について事務局より報告があった。
3.その他報告
・「関西テレビ放送番組制作ガイドライン」改訂
番組制作ガイドラインが12年ぶりに改訂された。社会や環境の変化を踏まえ、SNSを使った取材やロケの注意点や、番組と広告の境目、ジェンダー表現等が盛り込まれた。
上記について、以下の通り意見交換が行われた。
委員からの意見・質問
- ガイドラインは、制作会社等にも配布するのか。
関西テレビからの意見・回答
- 改訂後の制作ガイドラインは冊子にはしていない。社内LANで閲覧する形式で、社員向けのもの。
- ガイドラインの内容を社内に周知することが大事である。特に注意するべき点は定期的にアナウンスする必要がある。
- 改訂に一番大きな影響を与えたのは、『ちまたのジョーシキちゃん』問題で、これを繰り返さないためにガイドラインを活用していきたい。
4.委員会直接通知について
この期間における社員等からの直接通知案件は無かった。
次回委員会日程について
2024年11月開催予定
以上