第56回 オンブズ・カンテレ委員会 議事概要

2023年5月31日

日時

2023年5月31日(水) 15時

場所

関西テレビ放送

出席者

難波功士委員長、赤松純子委員、丸山敦裕委員、羽牟正一代表取締役社長、宮川慶一専務取締役、喜多隆常務取締役、伊東亮取締役

冒頭、羽牟社長から「ジェンダー表現に関しては、4月に改正された放送基準でも価値観の多様化への配慮が求められており、メディアの責任として時代に合った表現方法を考えねばならない」と挨拶があった。議事の内容や、委員と関西テレビの意見は以下の通り。

1.ジェンダー表現について

社会的な関心の高まりと共に視聴者からの意見にもジェンダーに関するものが目立っている。主なものとしては「奥さん」「おばちゃん」等の言葉使いや男子児童には「君」で女子児童には「さん」という呼び方、男性メインの番組構成に違和感がある、異性のパートナーがいる前提での街頭インタビューの声掛けが不快、等の意見があった。
関西テレビ社内で行ったアンケートの結果は、当社の番組がジェンダー平等になっていると思う人は16%、平等になっていないと思う人は26%、どちらとも言えない人が58%だった。
社内のコンテンツ制作系の責任者らで構成する放送倫理会議では「どこまで配慮すればいいのか悩ましい」「これまで通りの企画立案が難しくなる」という声もあった。
報道センターでは昨年以降、ニュースで性別を表す際は、性別表記が必要かどうか、性別にまつわる固定観念が無いかを都度検討する等の対応を行っている。
この他、6月中に、ジェンダー表現に関する社内研修を開催予定である。
事務局から上記の報告があり、以下の通り意見交換を行った。

委員からの意見

  • 関西テレビの社内アンケートの回答で「育休は女性が取るもの」「この世には男と女しかいない」「ジェンダー平等を言い過ぎると違いが無くなる」等、認識が薄い人が散見されたのが気になった。
  • ジェンダー問題は今、なんでも平等でないとおかしいという極端な状況になっているが、いずれ中庸の着地点に辿り着くと思う。
  • 差別の問題というよりも、偏見とか先入観を押し付けられて閉塞感や居心地の悪さを感じている人がいるので配慮が必要だということだろう。気にしていなかった人が気付いていくことが大切だ。
  • 言葉だけ取り上げられて問題視されることがあるが、文脈を考えて必要なら信念を持って使ってほしい。
  • ジェンダーとセクシャリティとルッキズムの問題が混在しているが、ジェンダーに関しては、男女の2分法での仕分けや決め付けを止める。セクシャリティに関しては他人に危害を与えるもの以外どんなあり方もあり得る。ルッキズムに関しては、最低限の方針だけを持って臨機応変に対応していくしかないと思う。

関西テレビからの意見

  • 人事異動後の新体制に合わせ、制作現場でワンクール毎にジェンダー表現について検討する場を設けたいと考えている。

2.その他、放送倫理会議の主な事案

(1)総務省内部文書と政治的公平性

放送法における「政治的公平性」について、安倍政権下で「一つの番組のみでも極端な場合は公平であると認められない」とする政府統一見解が示されたが、今年3月に公表された内部文書により、総理補佐官から総務省への強い働きかけがあった経緯が明らかになった。
上記の事案について、委員から以下の意見があった。

委員からの意見

  • 政権側が当時、放送免許を盾に電波の停止まで持ち出し、メディアをコントロールしようとしたことが一番大きな問題だった。民放だけでなくNHKも含めた放送全体で、圧力に抵抗し、政権を監視するという役目を担ってほしい。
  • 「この番組は気にいらない」という発言が内部文書に出ているのがショックだったが、ときの政権に「気に入らない」と言われるくらいが丁度いいのではないか。
  • テレビ朝日の椿発言問題に対するアレルギーのようなものが政権側にもあるのだろうから、反政権ではなくあくまでも中立公平、客観報道というところに軸足を置いたほうが良いと思う。
(2)ChatGPT(生成AI)の業務利用

ChatGPTを含む生成AIの業務利用について、現在の関西テレビの使用状況と社内への注意喚起について事務局から報告があり、以下の通り意見交換を行った。

委員からの意見

  • AIで作成された文書には著作権は無いのか。

関西テレビからの意見

  • AIが作成した文書には基本的には著作権は無い。
  • 便利なツールではあるが情報漏洩、著作権、真実性等の問題もあり、慎重に対応していかねばならないと考えている。

3.オンブズ・カンテレ委員会特選賞の決定について

2022年度のオンブズ・カンテレ特選賞について以下の通り決定した。
■番組部門…ザ・ドキュメント 「カノジョと私の家族のカタチ」と「報道ランナー」におけるLGBTQ報道。
■活動部門…ドームシアターコンテンツ「かぐや姫は未来の月からやって来た」

4.委員会直接通知について

この期間における社員等からの直接通知案件は無かった。

次回委員会日程について

2023年8月開催予定

以上