第53回 オンブズ・カンテレ委員会 議事概要
2022年9月1日
日時 |
2022年9月1日(木) 15時 |
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出席者 |
難波功士委員長、赤松純子委員、丸山敦裕委員、羽牟正一代表取締役社長、宮川慶一専務取締役、喜多隆常務取締役、伊東亮取締役 |
冒頭、羽牟社長から「安倍元首相の銃撃という非常に衝撃的な事件の映像に視聴者の皆様から様々なご意見をいただいた。報道機関としてどう取り組んだかをお伝えし、委員の皆様からもご意見をうかがいたい」などと挨拶があった。概要は以下の通り。
1.安倍元首相銃撃事件報道の視聴者意見と対応について
銃撃事件のショッキングな映像が繰り返し放送されることに疑問を感じる、放送しないでほしい等の視聴者意見が複数あった。
関西テレビでは、事件発生時の現場の映像は、視聴者が撮影した映像を現場やSNS上で集め、許諾を取って真偽を確認した上で使用した。発生直後を除き、シャツの血痕には画像処理を施し、翌週以降は銃声音も消すなどの配慮を行った。
委員からの意見
- ネットと異なりテレビはいきなり映像が映るので、衝撃的な映像や音声が流れる際には、事前にテロップ等で知らせるべきだったのではないか。
- 自分は正確な情報を知りたいが、トラウマがありショッキングな映像を見たくない人もいるので、見るか見ないかを選択できるような態勢を整えることが重要なのではないか。
- 選挙前のタイミングで衝撃映像を放送して世の中の風潮に影響してはいけないという意味なら分かるが、視聴者のメンタルを守るということを過大に考えなくてもよいのではないか。事実は事実として受け止めるべきであり、誤魔化さずに事実を放送してほしい。
- ネットメディアでは、容疑者が逮捕された早い段階から「旧統一教会」の名称が出ていたが、テレビでは一定期間伏せられていたのはなぜなのか。
関西テレビの回答
- 発生当初は、銃撃の瞬間の映像を放送する際、事前に告知はしていなかった。時間的に間に合わなかったということもあるが、現場として事前告知にまで意識が至らなかった。ネット特番になり、関西テレビは制作協力という形だった。銃声に関しては、翌日から「これから銃声が流れる」というテロップを付けた。翌週以降は、銃声は基本使用せず検証が必要な場合のみ使用している。
- 「安倍元首相が旧統一教会とつながりがあった」という容疑者の動機について、真偽が分からない中で一方的に伝えると非常に影響が大きいため、本人の供述がある程度裏付けられる段階までは「旧統一教会」の表示を控えた。
委員からの意見
- 「旧統一教会」が途中まで報道されなかったわけがよく分かり納得した。視聴者が、何か忖度しているのではないかという疑念を抱き、メディア不信につながることもあるので、報道されるはずのものが報道されなかった理由についても丁寧に説明していくことが大事なのではないか。
2.「報道ランナー」でのキャスター発言とSNS対応について
安倍元首相銃撃事件に関連し、「報道ランナー」(7/12)でキャスターが「生きて歴史の審判を受けてほしかった」と発言し、視聴者から多数の意見が寄せられた。
放送後にキャスターがTwitterに反応したことで、発言の一部が切り取られて拡散し、書き込みが相次いだ。
委員からの意見
- 当該発言や番組進行に問題はなく、バランスを取りに行った発言だった。
- お悔やみだけで終われば無難だったが、報道機関として勇気を持って発言したことに意義がある。
- Twitterで発信する自由は尊重されるべきだが、論争は自重したほうが良い。
3.視聴者からの意見と対応(6月~8月放送分)
全国ネットドラマ「恋なんて、本気でやってどうするの?」(6/20)で使用された、登場人物の「アセクシャル」というセリフについて、言葉の使い方が間違っているという視聴者からの指摘が複数あった。
関西テレビでは、「表現が誤りであったわけではないが、昨今の情勢からして、より慎重に扱うべき題材であった」としている。性的マイノリティの表現に関しては、猛烈な速度で進化・深化しているため、常に情報の更新が必要となっている。
委員からの意見
- NHKでは性的マイノリティのドラマを放送する際にはホームページ上に解説をつけていた。関西テレビは準備せず突っ込んだ印象がある。
- 監修者を付けるということで対応できたのではないか。
4.BPO青少年委員会と放送局との意見交換会概要
6月に開催されたBPO青少年委員会と放送局との意見交換会の概要が報告された。
「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」に関する見解と審議に至った経緯について青少年委員会が説明し、放送局からの質問に答えた。
5.委員会直接通知について
この期間における社員等からの直接通知案件は無かった。
関西テレビでは、直接通知について全社員メールや社報で周知に努めている。
次回委員会日程について
2022年11月開催予定
以上