オンブズ・カンテレ委員会 特選賞の決定について

2024年5月30日

「オンブズ・カンテレ委員会特選賞」2部門について以下の通り決定いたしました。
2024年5月30日表彰式が行われ、受賞した各部門の担当者に賞状と副賞目録が授与されました。

※ 番組部門
「高橋大輔37歳のラストダンス引退直後のアイスショー独占密着」

カンテレスポーツが、ディレクターを引き継ぎながら約20年間密着したフィギュアスケート・高橋大輔選手の現役引退特別ドキュメンタリー番組

委員の講評

  • 中学生時代の映像をおりこむなど、長きにわたって高橋選手を追い続けてきたスタッフの努力に敬意を表します。取材対象と確かな信頼関係が築けていたからこそ引き出せた発言や、撮影できたシーンも多々ありました。フィギアスケートに興味がなくとも、高橋選手のファンでなくとも楽しめる内容となっています。
  • トップアスリートの成功、挫折、再生に20年間密着して、その都度の表情、言葉、心の動きを映像化しているので、私のように特別に高橋選手のファンではない者にとっても、それ自体が美しく感動的なもので、素材として良すぎるため、それを点数にそのまま反映して満点にしてよいのかどうか悩んで点数をつけさせていただきました。
  • 高橋大輔さんという日本男子スケート界の誰もが知る先駆者に完全密着し、その素顔に迫ることに成功している本作品は、数多くの視聴者の関心に応えることができていました。また、人々の心を打つ感動的な演技の裏側には、たくさんの苦悩や困難があること、そして、それに懸命に立ち向かう高橋さん素の姿が画面に映し出されることにより、きっと多くの視聴者が、自らの困難にそれらを投影し、心の励みとすることができたように思います。
  • このような密着取材を可能とするには、高橋さんとの長年にわたる地道な信頼関係の構築が不可欠であることが、容易に推察されます。しかし、担当者の配置転換等もある中で、こうした関係性を維持することは、思いのほか困難なものです。本番組の成功の背後には、やはり常日頃からの適切な業務引継というものがあったのでしょう。その意味では、本番組に関しては、現在の担当者だけではなく、過去の担当者も含めて、賞賛に値するお仕事をなさったといえるのかもしれません。
※ 活動部門
「大阪国際女子マラソン×HOKA ~一般ランナーにもスポットライトを~」

ランニングシューズブランド「HOKA」とコラボし、一般枠で出場する選手の写真やプロフィールを紹介する広告を全国展開した取り組みで、広告業界では有名なACC賞(ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS)でも入賞した。(2023年「メディアクリエイティブ部門」‟エリア&コミュニティ賞”)

委員の講評

  • まだあまりなじみのないブランドHOKAを、より効果的に世に知らしめるとともに、市民ランナーを応援するという社会貢献の姿勢を示した点を高く評価したいと思います。単にスポーツイベントを主催するだけではなく、局としてさまざまな工夫をこらし、大会を盛り上げようと積極的に関与した事例と言えるでしょう。世の中のさまざまなクリエイティビティを表彰しようとするACCにて評価されたことも、関西テレビの存在をアピールするよい機会となったと思います。
  • 応募理由にも記載があるとおり、「地上波の中継ではスポットライトが当たらない一般競技者を応援したい」という想いに基づく活動であり、「テレビには映らないうえに、ランナーの人たちにしか届かない取り組み」が大半を占めるため、今この時点ですぐ目に見えて「関西の視聴者等に対して、存在意義を高めるか」には疑問はあるかもしれません。
    しかし、大会参加者の多くは一般競技者であり、これらの人達の参加も大会を支えています。このいわば「地味」な部分に光を当てて、選手の全員をリスペクトしようとした「想い」は、関西テレビの存在意義を高めることにつながるはずであり、この「想い」に高い点数をつけさせていただきました。
  • 本活動における、HOKAとの協賛は、従来型のマラソン協賛とは全く異なる形・コンセプトによるものであり、極めて意欲的な取組であったと評価できると思います。
    マラソン中継では、トップ争いをするエリートランナーばかりに焦点が当たりがちですが、一般競技者における各自の努力やその頑張りに光を当て、参加者全員を主役として取り上げようとする本活動の姿勢は、一人ひとりを個人として尊重し、その多様性を生かしていこうとする現代社会において、1つの模範を示すものといえるのではないでしょうか。
    本取組の「想い」をカタチにするには、関係各所の幅広い協力が不可欠だったはずです。それを実現させたことには、心より敬意を表したいと思います。

以上