第50回 オンブズ・カンテレ委員会 議事概要

2021年11月30日

日時

2021年11月30日(火) 午後1時30分

場所

役員会議室

出席者

難波功士 委員長、赤松純子 委員、丸山敦裕 委員、羽牟 代表取締役社長、宮川 専務取締役、喜多 常務取締役、伊東 取締役

委員会では冒頭、羽牟社長から「8月以降新体制となりましたが、これからは委員の皆さんと弊社出席メンバーで、活発な意見交換、議論を行い、実りあるオンブズカンテレ委員会を育てていただきたいと思っております」と挨拶がありました。

議事の概要は以下の通りです。

「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について

BPO青少年委員会で審議されている「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について、関西テレビから、社としての考え方をまとめる作業に入っていることが報告されました。その上で、関西テレビ制作の番組の中で視聴者からの反響が大きかった以下の3番組の事例を踏まえ、議論が行われました。

  • バラエティー番組で、お笑い芸人が低周波治療器(ビリビリ)を胸元に付けてカラオケの得点を競うゲームについて、危険だというクレームが複数あった。
  • バラエティー番組のロケで、女性芸人が一般人出演者の頭髪をいじったことに対して、「男性には『ルッキズム』『見た目いじり』は問題視されないのか」、という苦情があった。
  • 局アナウンサーが総出演するドッキリ番組で、クイズに答えられないと女子アナに電気を流すという企画に対して、「笑えない」「不快」などの苦情が複数寄せられた。

委員からは「人の感情を踏み台にした笑いは、相手の寛容さに頼っていて、笑いとしては邪道かもしれない。他の笑いの形を模索してもよいのではないか」という意見や、「テレビよりもYouTubeの方がアクセスしやすいメディアなので、テレビとYouTubeが同じことやっていたらYouTubeを見てしまう。YouTuberが手軽にやっているような事と違う事をテレビ局はやるべきではないか」という意見を述べました。
一方で、「人が痛がるのを見て笑うのは本能的な笑いであり、すぐにいじめを助長するとか、悪影響があるからダメだというのは考えすぎだ」という意見も述べました。
更に、「BPOがどんな見解を出すかは分からないが、関西テレビが独自で作ろうとしている基準には、あまり細かく盛り込まず、基本原則のみ決めて、時代に合わせてバージョンアップしながら運用するような形にするしかないのではないか」という提案を述べました。

これに対して関西テレビ側からは、「現在、社内で議論しているが、視聴者の感覚には幅があり一概には言えない。笑いを取る方法に制限を設けるというより、違う手法を探しながら、従来の手法の中でも許される範囲を見つけていこうとしている」と現状の説明がありました。そして、改めて、「テレビに求められている信頼性や影響の大きさを自覚し、視聴者の方々に配慮しながら、萎縮しないよう番組制作に取り組んでいきたい」という決意が示されました。

また、アナウンサーのドッキリ番組については、委員から「何か月もかけて大掛かりにやるなら仕掛けられた人も喜ぶかもしれないが、安易なドッキリは面白くない」「ドッキリやYouTubeの“検証”は身近なだけに身につまされやすい。いつ自分が被害者になるのかわからないと考えると単なる作り物として見られなくなる。また視聴者によって感受性が違うので、一層慎重な判断が必要かもしれない」「人が極限状況に置かれて泣いてしまうのを笑えない」などの意見を述べました。
関西テレビ側からは、「アナウンサーの好感度を上げるための番組でネガティブなイメージを与えたことを反省している」という考えが示されました。

各局の総選挙特番について

10月に実施された総選挙をめぐる各局の報道や特番について取り上げました。
関西テレビからは、選挙報道に際して「質的公平性」に留意し念入りにチェックしたこと、また開票特番での議席予想が実態と乖離した点を鑑み、今後出口調査の見直し等を検討する、との報告を受けました。

他局の開票特番でMCのタレントが「僕は立憲に入れた」と発言し非難を浴びた件に関しては、委員から「日本では政治色を出さないことが公平だとされるが、そうとは限らない。支持を明らかにせず支持政党寄りの発言をするほうが公平ではないだろう。アメリカやドイツの裁判官は政治的な立場を公表している。MCだけではなく出演者全員が投票先を言っていたら受け取り方は違ったかもしれない」という意見を述べました。

この他、委員から「8時時点での議席予想は必要なのか」という疑問も提示しました。
これに対して関西テレビ側からは、「8時時点の予測は、予測した流れで番組を制作できる利点がある。予想通りだと日本の政治はこう動くと示しながら番組を進めたいという意図がある」と説明がありました。

その他、報告

関西テレビから以下の報告を受けました。

  • 「eラーニング」の実施について

    関西テレビの社員及び常駐スタッフ、グループ会社社員を対象とした「eラーニング」によるコンプライアンス研修及び情報セキュリティ研修が12月上旬から1月にかけて実施されます。
    コンプライアンス研修の設問は下請法取引や著作権、セクハラパワハラ、個人情報、SNSに関する問題など。情報セキュリティ研修の設問は、サイバーセキュリティ、貸与パソコンやUSBメモリを紛失した際の対応などに関する問題です。

  • 人権研修の実施予定について

    日本テレビでアイヌ民族に対する差別的な表現があった問題を受け、関西テレビは、2022年2月3日にオンラインで人権研修を実施します。
    テーマはネット上の人権侵害などで、講師は、近畿大学人権問題研究所主任教授の北口末広氏です。

委員会直接通知について

この期間における社員等からの直接通知案件はありませんでした。

次回委員会日程について

○ 次回のオンブズカンテレ委員会は2022年2月に開催予定です。

以上