第49回 オンブズ・カンテレ委員会 議事概要

2021年8月5日

日時

2021年8月5日(木) 午後2時

出席者

難波功士 委員長、赤松純子 委員(新)、丸山敦裕 委員(新)、羽牟 代表取締役社長、宮川 専務取締役、喜多 常務取締役、伊東 取締役

今回から弁護士の赤松委員、関西学院大学大学院司法研究科教授の丸山委員が加わり、互選で難波委員が委員長に選出されました。
冒頭、赤松委員が「消費者問題の実務家というのではなく普通のテレビ好きの50代というイメージで発言させていただけたらと思います」、丸山委員が「専門は憲法学ですが、メディア法関連についても仕事をしています。慣れないところもありますので、先生方の教示を頂きながら職を全うして参りたいと考えております」と抱負を述べました。
また、羽牟社長から「テレビを取り巻く環境が大きく変わっている中で、狭いテレビの世界では見えない部分について、委員の皆様から忌憚のない意見を頂き、指針としたい」と挨拶がありました。

議事の概要は以下のとおりです。

1.東京支社でコロナ感染

7月に東京支社で複数の社員の新型コロナ感染が確認された件と、現状の感染対策について報告を受けました。社員同士で会食しており、マスク着用・黙食が徹底されていませんでした。ワクチンの職域接種については、6月~8月までに1000人以上の社員スタッフへの接種が終了しました。
委員からは「黙食が徹底できていなかったのが本質的な問題だ。啓蒙する立場にある報道機関として一層の配慮が必要だった」という意見を述べました。

2.日テレアイヌ問題 不適切な差別的表現の放送を防ぐために

日本テレビの情報番組「スッキリ」(3/10放送)でアイヌ民族の差別表現が放送された件を受けて、関西テレビの取り組みが報告されました。
部長級が参加する放送倫理会議ではアイヌ問題について複数回議論しました。また制作現場の担当者等に、民放連が主催したアイヌ問題に関するオンライン研修会への参加を促したほか、当社独自でも今後、人権問題に関する研修を実施する予定です。
委員からは「知識不足が問題」「感度は知識の延長に出来上がるので継続的に知識を入れていくことが大切」等、意見を述べました。
更に、この問題で、総務省が民放連に配慮を要請したこと等に対しては、「差別解消は現政権の肝いり施策だが、総理には総務大臣時代に多数の行政指導の実績があるので、内容規制が強まらないよう警戒する必要がある」との指摘も加えました。

3.視聴者からの意見と対応 5月~7月放送分

視聴者からの以下の意見について取り上げました。

  • バラエティ番組で、タレントが丸太に掴まって運ばれるシーンに対して、大怪我をする危険があるという苦情がありました。事務局からは「タレントはヘルメットを着用しており、シミュレーションも行った上で制作していた」と説明がありました。
    委員からは「視聴者が出演者と同じ目線に立つような現状を認識しなければいけない」「テレビは影響力が大きいのでバランスを取るのが難しいが、真似をしても大丈夫なことだけやっていては面白くなくなる」との意見を述べました。
  • バラエティ番組で、出演者が「飲み物を購入してレジを通すとき飲み口を持たれると不衛生」と発言したこと対し、レジで働く方から「仕事がし辛くなった。カスタマーハラスメントを助長する」との苦情がありました。
    委員からは「他の出演者からレジで働く人の立場で一言フォローがあればよかった」「飲み口に触らないでほしいというのは差別にはあたらず、理解できる話ではあるが、一方的な押し付けになると望ましくない」という意見を述べました。
  • バラエティ番組で、暗闇で物を当てるクイズにウサギを使用したことに対して動物愛護の観点からの苦情がありました。事務局からは「ペットショップの監修を受け、業者の立ち合いの元で一定の配慮をしていた」と説明がありました。
    委員からは「動物の扱いは丁寧に」「バラエティにおける寛容さが失われている。コンテンツの面白さとのバランスのとり方が難しい」「寛容でない人の声が大きいが、寛容な人のほうが割合は多い。必要以上には萎縮しないでほしい」という意見を述べました。

4.情報セキュリティー関連

■USB端末の所在調査結果

会社から貸与しているUSBメモリ1件、USBハードディスク4件の紛失が判明したことについて報告を受けました。USBメモリ自体の紛失は減少していますが、番組素材や番組販売用に使用されるUSBハードディスクの紛失が増加しています。
委員からの「USB端末についてすべて会社で管理しているのか?」という質問に対して、事務局から「USBメモリは貸与しているが、ハードディスクは購入したものに許可を与えている」と説明がありました。

■SNS利用ガイドラインの改訂

関西テレビのSNS利用ガイドラインの一部改訂について報告を受けました。追記されたのは「解禁前の広報情報の掲載、内部関係者しか知りえない情報、ステルスマーケティングを疑われるような内容の投稿、会社公式発表と矛盾するような内容の投稿はしない」という部分です。
委員からは「視聴者を開拓する意味で社員からの個人的な発信はたくさんあっていいが、注意しながら適宜発信してほしい」「社員個人の発信でもメディア側として受け取られるので、ルール作りは非常に良い」という意見を述べました。

5.委員会直接通知について

この期間における社員等からの直接通知案件はありませんでした。

○ 次回のオンブズ・カンテレ委員会は11月30日(火)に開催予定です。

以上