関西テレビ放送株式会社

オンブズ・カンテレ委員会

第44回 概要

  

※2020年4月22日(水)に開催予定だった第44回オンブズ・カンテレ委員会は新型コロナウィルス感染症の拡大状況を考慮して、オンブズ・カンテレ委員の鈴木秀美委員と難波功士委員が書面で意見を提出する形式に変更になりました。

議事の概要は以下のとおりです。

<「2020年度リスクマネジメント基本方針」について>

2020年度は、「放送倫理意識の徹底」や「放送コンテンツの製作取引の周知・徹底」、「パワハラ等を許さない健全な職場環境の整備」、「新型コロナウィルス等の感染症対策及び災害時のBCPについて」、「サイバー攻撃の被害を未然に防ぐための施策と個人情報保護についての意識の向上」の5つのテーマを最重要課題として取り組むと説明を受けました。

この件について委員からは、以下のような意見を出しました。

・新型コロナウィルスの影響は、今後さまざまな側面に及んでいくと思われるが、景気全般の失速、そして民放各局の広告費収入の減少は当然予想されるところだろう。
そして、減収の結果、番組制作の現場にさまざまな意味での余裕がなくなり、「適正な製作取引」や「パワハラや過重労働を許さない健全な職場環境」などが維持されにくくなるような事態も危惧される。
厳しい状況下においても、なんとかこの基本方針が堅持されることを願う。

・今年度の最重要課題は、なんといっても新型コロナウィルス感染症対策である。テレビ局の現場では、狭いところで多くの人が働いており、いわゆる「3密」が発生しやすい。
すでにテレビ朝日ではアナウンサーが感染するなど、クラスターが発生している。何らかの自覚症状がある場合、無理をせず、同僚に遠慮しないで休める職場の雰囲気や勤務体制を整えることが重要ではないか。
すでに進めている感染防止対策に抜け穴がないか、繰り返しチェックを重ねてほしい。
また、新型コロナウィルス感染症が収束していないにもかかわらず、大雨が降ったり、地震が発生することも考えられる。感染防止対策をしながらの災害取材体制などについても検討しておくべきである。

<最近の発生事案について>

1.母乳パッドを使った改良マスクについての発言でお詫び

4月18日放送「胸いっぱいサミット!」で、司会者が「母乳パッドの中身を張り付けるとメイクで汚れずに便利」と発言し、視聴者から「本当に必要な人に届かなくなる」「不用意な発言」等の意見が多数寄せられたと、報告を受けました。

また翌週の当該番組の冒頭部分で、司会者が「本来の使い方ではない方法を紹介し、ご迷惑をおかけしました」と、お詫びのコメントを述べたと報告を受けました。

この件について委員からは以下のような意見を出しました。

・状況が刻々と変わるので、対応が難しい面も多々あるだろうが、マスクや消毒液など(さらにはそれらの代用品)の物不足に対して過敏となっている現状をふまえた、よりいっそうの配慮が求められている。本件に限ったことではないが、番組内の発言がどう受け止められ、どのような反響がありうるかへの想像力を、つねにフル回転させる必要がある。
本件への対応(お詫びなど)は、適切だったと考える。

・マスクどころか、十分足りているはずのトイレットペーパーが、ウワサがきっかけとなり、買い占めが生じ、本当に品薄になるということがあった。それだけに、新型コロナ感染拡大で緊急事態宣言が出ている時期に、テレビ番組で特定の商品を取り上げて視聴者に薦めることは、たとえ善意からであっても、放送された情報が消費者行動にどんな影響を与えるか、想像力をもっと働かせる必要があったと思う。

また、番組で薦めた商品がよりによって母乳パッドだったので、妊娠中や育児中の女性を不安にさせてしまったことも残念だった。マスク不足は深刻で、みんな困っているので、少しでも役に立つ情報を提供したいという気持ちは理解するが、「本来の使い方ではない方法」を視聴者に薦めても差し支えはないか、そこまで考える必要があることを今回のことを教訓にして、今後の放送に活かしてほしい。

なお、国や地方自治体が、新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため自粛を要請するなか、外出を自粛しない人たちや、営業を自粛しない店舗などを情報番組がことさらに取り上げることがみうけられる。感染防止対策を視聴者に呼びかけることは重要だ。ただし、コロナに対する不安から、自粛しない人を非難したり排斥したりする動きが出ており、テレビが、そうした風潮をあおるべきではないということも、この機会に指摘しておきたい。

2.ドラマ内のマンション名が実在のマンションブランド名と類似

火曜9時ドラマ「10の秘密」の第2話(1/21)、第3話(1/28)内で、工事現場として使用されたマンションの名称が実在するマンションブランドの名称と酷似しており、関係者の方々にご迷惑をおかけしたとして、放送やHP等でお詫びを行ったと報告を受けました。

この件について、委員からは以下のような意見を出しました。

・今回の問題は、放送倫理会議で出された意見の通り、早めに考査チェックを行っていれば対応できたと思う。完全一致ではなくてもマンションを販売している会社からすれば、ドラマとはいえ酷似したマンション名を用いられるのはとても迷惑なはずである。
なぜそのくらいのことに、準備段階で気づかなかったのか、その原因をあらためてチェックしてみるべきである。そうしないと、また類似の問題が発生しかねない。視聴者が、ドラマを見て、「これは実在のあの会社のことを暗に指しているのではないか」と受け取るような名前を、ネガティブな出来事との関係で用いないようもっと配慮が必要である。

・『胸いっぱいサミット』の件で、考査体制が強化され、考査の重要性が再確認されたはずなのに……という思いを禁じえない事例であった。
事前のシナリオチェックのあり方をふくめて、再検討されるべきだと思う。

<BPOから放送倫理違反があったとされた事案に関する対応>

「胸いっぱいサミット」での出演者の発言を編集せずにそのまま放送したことは「放送倫理に違反するもの」とBPO放送倫理検証委員会が判断。意見書が通知・公表された件について、4/19放送「カンテレ通信」で、再発防止に向けたこれまでの取り組みを検証し、これからの番組制作はどうあるべきかをテーマに放送したと報告を受けました。

番組ではパネラーから、「ゲストは限られた時間でいかに刺激的なことをいうかが求められている。それを流すかどうかを決めるのは制作者であって、吟味してあの発言を流したのはやはり問題だと感じる。」といった意見や、「社内での人権研修で、さまざまな分野の人を講師として呼び取り組んでいるが、そういう研修に参加できる人は、年配の社員が多い。一番聞いてもらいたい現場の制作者にうまく届いているのか今後工夫が必要だと思う」といった意見が出たということです。

同じような問題が再び起こらないようにするための再発防止策について、委員からは以下のような意見を出しました。

・この件に限ったことではないが、トラブルとなった事例の継承の必要性を強調しておきたいと思う。トラブルとなったような案件は、局としても番組製作当事者個々としてもできれば忘れてしまいたい、世間の記憶から早く消えてほしいと考えてしまいがちだが、局内において事例集としてまとめられ、適宜振り返られ続ける必要がある。
今回取り上げられた母乳パッドの件やマンションのネーミングの件なども、多くの社員(特に若い社員)に共有され、継承されていくべき事例だと感じた。

・バラエティ番組が面白さをいろいろな観点や手法で追求することは大事なことだと思う。ただし、複雑な関係にある隣国や日本社会で差別されている人たちをおとしめて留飲を下げるようなやり方は許されない。
関西テレビの番組制作ガイドラインには、「放送人として、その表現を、多くの視聴者の皆さん、あるいは特定の人々がどう感じるか、その表現で心を痛める人はいないのか、と思いやる気持ちをもつことが重要です。」とある。
関西テレビの番組制作に携わる社内・社外のスタッフは、番組制作にあたってこのような姿勢を実践するためにはどうしたらよいかという問題意識を忘れないようにしてほしい。
そのためには、定期的な研修の実施が必要だと思う。

<視聴者からの意見等について>

ことし1月から3月に放送した番組についての視聴者からの主な意見とその対応について確認しました。

(1)バラエティ番組で、大縄跳びを使った対決企画で、女性が乳児を抱いたまま縄跳びをしているのを見て、視聴者から、乳児期の子どもの頭に振動が加わることで亡くなる事例が実際にあり非常に危険、とてもヒヤヒヤしたという意見が寄せられたと報告を受けました。
VTRに「赤ちゃんを抱っこ」とわざわざテロップが入っていたことに関して、スタッフからは、「テロップで強調していることから、演出的に『抱っこジャンプ』を面白がっていたと取られても仕方がない。」という意見があったということです。

これについて委員からは、以下のような意見を出しました。

・「乳児を抱えながら大縄とびをしている親」という光景に、まず違和感をおぼえるべきだったと思う。
遠い過去には「電波は消えていくもの」であったかもしれないが、現在では一度オンエアされた映像は、いつまでも残り、どこまでも広がるものと考えざるをえない。それに耐えうる映像なのか否かは、つねに自問自答されるべき。

・社内からも、「テロップで強調していることから、演出的に『抱っこジャンプ』を面白がっていたと取られても仕方がない。」との指摘があったというが、その通りだと思う。たとえご本人が大丈夫だといっても、現場で説得して赤ちゃんを預かるか、あるいは赤ちゃんを抱っこしての参加はやめてもらうべきだった。

(2)情報番組の街頭で出会った人を日帰りツアーに連れて行くという企画で、フィットネススクールのインストラクターの女性が、生徒に電話をかけてその日のレッスンをキャンセルしてまでツアーに参加していたことに対して視聴者から、インストラクターの女性がツアーで美味しいものを食べて酒を飲んでいるのを見てレッスンを受ける予定だった生徒はどう思うのか?生徒に迷惑をかけてまでなぜ番組を成立させる必要があるのか、といった苦情があったと報告を受けました。

これについて委員からは、以下のような意見を出しました。

・番組のテイストとして、愉快な人たちが楽しく生活している姿を描いていきましょう、という大前提があるように思う。しかし、その前提が強すぎると、登場してくれた方々の行動に冷静な目線を注ぐことが難しくなることもあろうかと思う。
今回も、ありがたい協力者であったこともあり、ノリのよい方として好意的にとらえることに終始してしまったのでは。スタジオの誰かが、冗談っぽくでもいいので、生徒さんご迷惑おかけしましたと一声発すればよかったと思う。

・番組を見ていないので、インストラクターの人がレッスンをキャンセルしようとしたとき、たむけんさんやスタッフがそこまでしてもらうわけにはいかないと、キャンセルを止めることができたかどうかよくわからない。
とはいえ、関西テレビが、インストラクターの人の番組出演のため、仕事を当日ドタキャンさせた結果となっている。社会人としてはありえない振る舞いであり、視聴者がこのような番組に対して不快感をもつ可能性にスタッフは現場で気づくべきだった。

(3)バラエティ番組で、「タレント4名がパン屋さんの店内でパンを前にして大声で喋っているのを見てゾッとした。食べ物の前で唾を撒き散らして、なぜ大声でしゃべるのか。気分が悪いです。そんな店には行きたくありません。」という意見が視聴者から寄せられたと報告がありました。

この件について委員からは以下のような意見を出しました。

・私の知人の中に、レストランでメニューのことを詳しく説明されるのを嫌がる人がいる。その人は、「料理は美味しいかどうかが大事で、メニューの素材とか、料理方法の説明はどうでもいい。説明することで給仕する人の唾がお皿にかかるのがいやだ」といつもいっている。
そのように感じる人にとって、たとえコロナ感染がなかったとしても、お店に並んでいるパンの真上であれこれ話している映像をみたらとても不快だろう。通常から、出演者と、パンのように加工されていて、包装されておらず、そのまま食べる食品の距離には配慮が必要だと思う。
また、いまは普通の人でも食品の衛生にはとても敏感になっているので、コロナ感染が問題になる前に撮影したこのような映像には、撮影日を明示するなどの工夫が必要ではないかと思う。

・状況がこれだけめまぐるしく変化すると、1ヶ月前の常識が、現在の非常識となってしまう。
3月7日の時点では無理だったかもしれないが、ロケは2月上旬に行われましたとのテロップがあれば、受けとめられ方も変わったかと思う。オンエアされる時点での社会的常識に鑑み、その映像を視聴者がどうとらえるかをチェックすることが必要だろう。
会議・打合せや撮影等の現場においても、その場にいるスタッフの数を、この機会に極力絞ってみてはどうだろうか。「船頭多くして…」ということになっていないか、再検討してみるいい機会だと思う。

<「オンブズ・カンテレ委員会特選賞」の決定について>
オンブズ・カンテレ委員会では、昨年1年間に放送または実施した番組、イベント、活動のうち、特に優秀と認めた作品や活動に対し、特選賞を贈っています。
委員の審査基準として、内容が関西テレビ独自である点や、関西地域に根差したもの、そして、光が当たりにくい作品・活動ではあるが関西テレビの発展に寄与しているものなどの点を重視しています。
委員による最終審査によって、「オンブズ・カンテレ委員会特選賞」を次の通り決定しました。

<番 組・DVD部門>
特選賞 裁かれる正義 検証・揺さぶられっ子症候群

・この番組は、第1審で有罪判決を受けた女性の事件について、その根拠とされた「揺さぶられっこ症候群(SBS)」に診断ミスの可能性があるということを丁寧な取材を通じて明らかにした、優れたドキュメンタリーである。この裁判で裁かれたのは、実は、捜査当局、専門医やメディア、ひいては社会のあり方だったという最後の問題提起は、今後、同様の冤罪を生まないためにも大きな意義がある。番組が取り上げた事件では大阪高裁の無罪判決が確定したが、別の同種の事件では、今年2月の大阪高裁の無罪判決について大阪高検が最高裁に上告した。この番組はこれからも多くの人に視聴してもらうべきである。

・地道な取材を高く評価したい。報道機関としての関西テレビへの信頼感を高める番組であった。また、当初誤ったメディアスクラム的な取材・報道をしてしまったメディアに対する批判も貴重なものであった。今後は、なぜ、そうした初期報道をしてしまったのかの検証も期待したい。

<その他活動部門>
特選賞 番組連動イベント 「よ~いドン!歌謡祭」

・「よ~いドン!」という人気番組を手がかりに、関西テレビと視聴者が直接つながる機会を生み出した好企画である。
これからもこのような企画を通じて、視聴者と良好な関係を築いてますます信頼を得ていってほしい。

・単なるファンの集いと言うだけではなく、話題性豊かな出演者を集め、イベントとしても成功している。
またこのイベントと番組との連動も巧みであり地域に根ざしたこの番組の魅力をさらに高める結果となっている。

表彰について
新型コロナウィルスの感染拡大状況を考慮して今回は、表彰式を開催せず、事務局から、各部門の特選賞作品・活動の担当者に、賞状、副賞目録を授与しました。

<社員から委員への直接通知について>
この期間における社員等からの直接通知案件は、ありませんでした。

以 上

関西テレビ ページトップへ戻る