番組審議会 議事録概要
No.672 2026.3.12
「夫に間違いありません」 (1/5放送)について審議
- 放送日時
- 2026年1月5日(月)
22:00~23:09 - 視聴率
- 個人全体 関西4.3%(占拠率17.6%) 関東3.5%(占拠率16.2%)
- オブザーバー
- 東京制作部
プロデューサー
近藤 匡
参加者
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委員 |
委員長上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長) 委員長代行難波功士(関西学院大学 社会学部 教授) (敬称略50音順)*はオンライン出席 |
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関西テレビ |
岡 宏幸 代表取締役社長 |
議題
- 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(2月分)報告
- 審議番組「夫に間違いありません」(1/5初回放送分)
- その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等
第672回番組審議会では、2月分の視聴者対応報告のあと、「夫に間違いありません」(1/5初回放送分)について審議された。委員からの意見は下記に記載。
番組概要
「夫に間違いありません」(1/5初回放送分)
朝比聖子(松下奈緒)の目の前から夫・一樹(安田顕)が、ある日こつぜんと姿を消した。1カ月が経ったある日、聖子の元に警察から1本の電話がかかってくる。川の下流で水死体が発見され、所持品から一樹の免許証が見つかったという。事故による溺死だという遺体は、もはや顔が判別できる状態ではなかったものの、駆けつけた聖子は、ある身体的な特徴から遺体が一樹本人だと確信し「夫に間違いありません」と告げ、ショックのあまりその場で泣き崩れてしまう。
1年後、聖子は長男の栄大(山﨑真斗)と長女の亜季(吉本実由)を育て、同居する義母・いずみ(朝加真由美)の面倒を見ながら、先代から続くおでん屋『あさひおでん』の看板を守り続けていた。そんなある日、店の休憩時間に聖子が遅めの昼食を取ろうとしていると、自宅とつながった店の方から何やら物音が。様子を見に行くと、そこに立っていたのは、死んだはずの一樹だった。
よもや現実とは思えず呆然とする聖子に、一樹は家族を置いて出て行ったことを涙ながらに謝罪。そんな夫に呆れながらも、もう一度家族みんなで暮らせる喜びを噛みしめる聖子だったが、次の瞬間、自分が「遺体の誤認」という大きな間違いを犯したことに気づく。「今すぐ警察へ行こう」と告げた聖子だったが、保険金を受け取ったと知った一樹は…。
そんな中、聖子は同じように行方不明の夫を探す葛原紗春(桜井ユキ)と出会い…。
出演者
松下奈緒 桜井ユキ 宮沢氷魚 中村海人 松井玲奈 山﨑真斗 吉本実由
白宮みずほ 大朏岳優 二井景彪 磯村アメリ 前川泰之 朝加真由美 余 貴美子 安田顕 ほか
委員からのご意見
- 物語が途切れず進み、次々にテンポよく謎が提示される構成が良く、サスペンスとしての“続きが気になる力”が強いドラマである。
- 松下奈緒、子役らの演技が魅力的で、特に安田顕のダメ夫役のリアリティは強い印象を残し、物語の没入感に貢献している。
- 重い物語の中でも、母子のやりとりや日常描写にほっとできる要素があり、サスペンスとの緩急が効果的に機能している。
- 戸籍売買、遺体誤認、警察対応、保険金処理などが現実と乖離しすぎていて、視聴者の納得感を損ねている。
- 登場人物の関係や冒頭シーンの謎が物語全体で回収されていく構造が巧みで、視聴者の思考を刺激するドラマ性が高い。
- 主要人物の多くが不穏さをまとい、誰も信用できない空気感が作品独自の緊張感を生み、サスペンスとしての質を高めている。
- 誰にも感情移入できず、主人公夫婦にも共感が生まれないため、視聴のモチベーションが保ちにくい。
- 子どもが巻き込まれる不幸や、希望が見えない展開が重く、視聴がしんどくなることがあると感じた。
- 「救いがないドラマは月曜夜にリアルタイム視聴されにくい」という根本的な問題があり、内容の良さが数字に結びつかないのではないか。
- 急激に情勢が動く、視聴者を揺さぶる構成は刺激的で、これも作品の魅力である。
- 行動の動機が薄い、急に親密になる人間関係、夫婦の判断が不自然など、脚本の説得力に欠ける点があった。
- 現代ではありえない行動や、今ではほぼ無い電話ボックスの活用など、時代感覚に合わない描写が違和感を生んでいた。
- 物語を進めるための行動やほくろの一致など不自然な設定が随所にあり、結果としてリアリティが損なわれている。
- 偶然ではなく必然として人間関係が連鎖していく構造が緻密で、深い物語体験につながっている。
- 夫の生還時の反応が薄い、警察に行かない、犯罪に積極的に加担するなど、心理描写の説得力が不足している。
- 松下奈緒の人物像が地方のシングルマザー像と合わず、作品世界から浮いてしまっているという違和感があった。
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新たな謎や困難が終盤に向けて提示され、ラストをどう収束させるのか気になるつくりになっている。
上記のご意見への返答
●2018年江戸川で実際に起きた“遺体誤認事件”を出発点に、警察関係者への取材で「所持品・家族証言のみで鑑定に進まないケースが地方では起こり得る」と判断し、今回の設定を組み立てました。
●視聴者から「鑑定すれば一発では?」という指摘が多いことを認識していましたが、劇中で“鑑定しない理由”を説明できなかった点は反省点として残ります。今後の脚本・演出へ活かしていきます。
●松下奈緒の母親としての視線や子どもとのやり取りが“温度感のある救いのシーン”を生み、重いサスペンスの中で緩急をつくる要素として貢献していたと思います。
●当初は“憎めないダメ夫”像を想定していたが、安田顕本人が役を非常に楽しみ、強烈な“クズっぷり”を演じたことでキャラが想定以上に振れてしまいましたが、視聴者の反応も踏まえつつ肯定的に捉えています。
●ほくろの一致表現などフィクション部分の意図に関して、水死体の外形が崩れた状況で“本人認定”が必要なため、リアリティとの乖離は承知していましたが、物語構造上の入り口としてほくろの一致を採用しました。
●巻き込まれ型サスペンスでは主人公への共感が重要ですが、今回“聖子に応援ポイントを十分つくれなかった”ことが視聴の継続障壁になったのではと思っています。ドラマ後半では補強に努めます。東京制作部
プロデューサー 近藤 匡
委員のご意見を受けて
- 東京制作部
プロデューサー 近藤 匡 - この度は数々の貴重なご意見とご指摘を頂き、誠にありがとうございました。
今回、初めてサスペンスドラマを作りましたが、物語が重たい方向に進むにつれて、視聴者から「見続けるのがしんどい」と感想を寄せられることが多く、その解決方法として、いかに応援できる主人公を作り上げるかが最も大切であると強く感じました。その一方、いいテンポと先が気になる展開で惹きつけるドラマを作れているとも感じました。頂いたご指摘を今後のドラマ制作に活かして、よりよい物語を作っていきたいと思っています。

