番組審議会 議事録概要
No.669 2025.11.13
「終幕のロンド ~もう二度と、会えないあなたに~」 (10/13放送)について審議
- 放送日時
- 2025年10月13日(月)
22:00~23:09 - 視聴率
- 個人全体 関西4.0%(占拠率16.7%) 関東3.1%(占拠率15.3%)
- オブザーバー
- 制作局 専門局長(ドラマ)
演出・プロデューサー
三宅喜重
参加者
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委員 |
委員長上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長)※ 委員長代行難波功士(関西学院大学 社会学部 教授) (敬称略50音順) ※リポート出席 |
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関西テレビ |
西澤宏隆 取締役 |
議題
- 局に寄せられた視聴者からのご意見・苦情等の概要(10月分)報告
- 審議番組「終幕のロンド~もう二度と、会えないあなたに~」
(10/13放送) - その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等
第669回番組審議会では、10月分の視聴者対応報告のあと、「終幕のロンド~もう二度と、会えないあなたに~」(10/13放送)について審議された。委員からの意見は下記に記載。
番組概要
「終幕のロンド~もう二度と、会えないあなたに~」第1話(10/13放送)
5年前に妻を亡くした鳥飼樹(草彅剛)は、男手一つで小1の息子を育てるシングルファーザー。磯部豊春(中村雅俊)が社長を務める『Heaven’s messenger』で、遺品整理人として遺品に残された故人の思いを遺族に伝える仕事をしている。
ある日、女性が孤独死した部屋の特殊清掃と遺品整理をすることになった樹は、新入社員の久米ゆずは(八木莉可子)を連れ、遺体痕が残る現場へ。依頼人で10歳のときに捨てられたという故人の息子(吉村界人)は、母親の孤独死を自業自得だと冷たく言い放ち、遺品はすべて処分してほしいと話すが、樹はその部屋で故人の思いが詰まったあるものを見つける。
同じ頃、絵本作家の御厨真琴(中村ゆり)は、大企業・御厨ホールディングスの後継者である夫の利人(要潤)を伴い、自身初となる絵本の出版記念パーティーに出席していた。一見、仲むつまじい夫婦に見える2人だが、多忙な利人は家庭を顧みず、妻がしゅうとめから子宝に恵まれないことで嫌味を言われても、我関せずと、愛のない結婚生活に真琴の心はすり減る一方だった。
そんななか、生前整理の見積もりのため、清掃会社に勤める鮎川こはる(風吹ジュン)の自宅を訪ねた樹。未婚で産んだ娘が10年前に結婚し、今なお清掃員として働いているこはるだが、最近、余命3カ月の宣告を受けたという。話を聞いた樹は早速部屋を見てまわるが、そこへ事情を知らない娘の真琴が帰ってきて…。
委員からのご意見
- 遺品整理会社に焦点をあて、その社員が主人公になったドラマは、これまで余り見たことがなかったので新鮮だった。
- 少子高齢化、血縁も地縁も希薄化している中、「遺品整理」は、中高年で関心がない人はいないのではないかと思う。時宜に合った設定だ。
- キャストの演技力と安定感が高く、往年の俳優と若手の共演で幅広い世代が楽しめる構成になっている。
- ディテールのリアリティ不足で現実感が乏しく、遺品整理現場や生活描写に不自然さが目立った。
- 遺品整理業の「寄り添う姿勢」を描こうとする制作意図が伝わり、テーマ性の深さが評価できる。
- タイトル「ロンド」の意味や音楽的イメージがドラマの内容と乖離しており、違和感を覚えた。
- 謎を提示しながら答えを示す展開で、視聴者に次回への期待感を持たせるストーリー構成が好印象である。
- 絵本や出版記念パーティーの描写が現代の実情とはそぐわず、取材不足や時代錯誤感が否めなかった。
- 主題歌や演出に独自性があり、作品全体の雰囲気と調和している点が新鮮で印象的だった。
- 詰め込み過ぎで枝葉は多いが、ストーリーの幹が見えず、どこでどう結末をつけるかが、難しいと感じた。
- 登場人物の説明テロップが複雑な関係性を理解しやすく、視聴者が物語に入り込みやすい工夫がある。
- 遺品整理業界の現状を知るきっかけとなり、視聴者に新しい職業観を提供する教育的価値もある。
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暗いテーマを扱いながらも、恋愛や家族愛を絡めることで重さを緩和し、見やすい作品に仕上げている。
上記のご意見への返答
●タイトルの意味ですが、「終幕」は人生における舞台の最後の幕、「ロンド」は音楽用語で輪舞曲なので、死に立ち会うことを繰り返す意味を込めました。
●監修には遺品整理人が参加し、資格名は協会独自のもので国の資格ではないため「遺品整理人」と表記しました。監修者の意見を重視し、故人や遺族に寄り添う姿勢を大切にした内容づくりを心掛けております。
●ドラマで遺品整理人が土足で入っているように見える点について、実際は防毒マスクを着用し、消毒を行った後、履物を履き替える設定になっています。消毒済みの場所では長靴を使用し、未消毒の場所とは区別して作業するという現場のルールを反映しており、ドラマでもその手順を踏まえて描写しております。制作局専門局長(ドラマ)
演出・プロデューサー 三宅喜重
委員のご意見を受けて
- 制作局専門局長(ドラマ)
演出・プロデューサー 三宅喜重 - リアリティ、ドラマ制作において欠かせない言葉です。しかしストーリーを優先するあまり、リアリティが欠如することがあります。また人によってリアリティが違うことがあります。今回の番組審議委員の皆様のご意見を聞き、改めてリアリティの大切さとドラマ制作の難しさを痛感しました。委員の皆様のご意見を受け止め、今後のより良いドラマを制作することに、生かしていきたいと思います。貴重なご意見ありがとうございました。

