第48回 オンブズ・カンテレ委員会 議事概要

2021年5月25日

日時

2021年5月25日(火) 午後2時

出席者

鈴木秀美 委員、難波功士 委員、羽牟正一 社長、谷口泰規 常務取締役、事務局

欠席者

蔵本一也 委員長(意見は後日、聴取)

委員会では冒頭、社長から「昨年の業績は、上期は赤字でしたが、下期に入って収入の大きな割合を占めるスポットがかなり巻き返し、通期で前年以上の営業利益を確保した状況です。また、2020年度の視聴率は少しずつ上昇基調で推移をしました。これは社を挙げて取り組んだターゲット戦略の結果が少しずつ出てきた結果だと思っています。これを一過性のものにしないように、今年度はさらに、強いタイムテーブルを作っていきたいと思っております」と挨拶がありました。

議事の概要は以下のとおりです。

2021年度リスクマネジメント基本方針について

2021年度に取り組むべきリスクメネジメント基本方針について事務局から説明を受けました。
2021年度は「倫理意識の徹底」、「放送コンテンツの適正な製作取引の周知・徹底」、「ハラスメントを許さない健全な職場環境の整備」、「新型コロナウィルス等の感染拡大時及び災害時のBCPについて」、「サイバー攻撃の被害を未然に防ぐための施策と、情報管理についての意識の向上」の5つを重要課題として取り組んでいくと説明を受けました。
これについて委員からは「ハラスメントに関しては、社会全体が今とても敏感になっているテーマなので、職場でのパワハラについて、さらに意識を高めていくことが大事」、「社内や取引先の従業員だけではなく、フリーランスで働いているスタッフや、出演者、アルバイト学生、就活生に対するハラスメントが最近よく問題になっているので、幅広く様々な人たちに対してハラスメントをする可能性があるということを認識いただきたい」といった意見や、「パンデミックは今後も5年に1度、10年に1度と発生する可能性があるので、新型コロナウィルスに対して今回どのような対応をとったのかきっちりと記録に残し、後世の社員に伝えていっていただきい」という意見を出しました。

「胸いっぱいサミット!」韓国をめぐる発言に関するBPO委員との研修会開催

昨年1月に「胸いっぱいサミット」での韓国をめぐる発言について、BPO放送倫理検証委員会から、放送倫理違反があったという意見が当社に通知、公表をされたのを受け、調査を担当されたBPO委員と社員及び番組制作に携わる外部スタッフが参加して意見交換を行う研修会を2月に実施し108名が参加したと報告を受けました。
この件について委員からは、研修後に社員の反応や感想はどのようなものがあったか質問しました。これに対して事務局からは「意見書の内容について全て腑に落ちた、納得したというところには至っていない。だからこそこうした問題について今後も継続して考えていかないといけない」、「制作現場のスタッフに意識や感覚の問題について、言葉で伝えて理解させるのは非常に難しい。どのように言ったら伝わるのか、どうしたら自分たちで考えるようになっていくのか、日々悩んでいる」といった意見があったと説明を受けました。
こうした意見について委員からは「マイノリティ、多様性の問題を考えるときに一斉に全員を同じ方向に向かせるのは無理なので、違う意見の人も入れながら、いかに議論をして融和させていくかが課題だと思う」といった意見を出しました。
また、研修会の中で、放送倫理違反かどうかの基準をBPOから示して欲しいという意見があったことについて、委員からは「放送倫理の問題は、ある基準があって、これを守っていればセーフで、守らなければアウトというものが明示的にあるようなものではない。起こってみて初めて議論をして考えていかなければいけない」といった意見や、「放送倫理上、良いか悪いかというのは簡単に線を引いたりできるものではないので、その基準を求めるというのは違うという認識の共有を図ることが大事」といった意見を出しました。

視聴者からよせられた番組への意見と対応について

番組で、親が操作するフォークリフトの荷台部分に息子を乗せて、リフトアップをするシーンがあり、これを見た視聴者から、荷台部分に人を乗せてはいけないはずという指摘があったと報告を受けました。事務局によると、労働省令の労働安全衛生規則に、フォークリフト等の車両に関しては、乗車席以外のところに労働者を乗せてはいけないということが明示されているが、当該のシーンが短かったので、事前のチェックで見落としてしまったということでした。
こうした問題事例を蓄積し、簡単に検索ができるシステムを現在構築中で、今後の再発防止に役立てたいと事務局から説明を受けました。
この件について、委員からは「こういう事例をきっちりと記録してみんなで情報共有することが大事。この点を今後に生かしていただきたい」、「他局で落とし穴を作ってタレントを落とすようなシーンを見たことがあり、ひとつまちがえると大けがをするようなことをしているケースもある。こうした危険と思われるシーンについては特に事前のチェックに力を入れる必要がある」といった意見を出しました。
プロ野球開幕戦の試合中継をニュースで中断中に、注目選手の第1打席が終わり、中継再開後すぐにライブ映像ではなく、その選手の第1打席を録画したものを放送したところ、「なぜ生中継できなかったのか」、「生放送であるかのようにVTRで放送したのは気持ちが悪い」等の苦情が視聴者から寄せられたと事務局から報告がありました。
この件について委員からは、「録画映像を流す際に、『先ほどの第一打席をご覧いただきます』という一言があればよかった。そのときそのときの咄嗟の判断かもしれないが、見ている人に違和感を与えない配慮が大事」といった意見を出しました。
番組で訪問看護をされている方に、「きれいだから、おじいちゃんが手に触れてくるとかあるんじゃないですか」という質問をタレントの方がしたところ、視聴者から「訪問看護や介護をされている方の中にはもっとひどい被害に遭われている人もいるのでジョークでは済まされない」といった意見や、「介護を受けている人に対する偏見で失礼ではないか」といった意見が寄せられたと報告を受けました。
この件について委員からは、「スタジオでアナウンサーが一言フォローを入れるとか、やんわりたしなめるとか、スタジオでバランスを取るようなことがあってもよかったのではないか」、「他局でタレントが若い女性がいいみたいな発言をしたことがありハラハラすることがあった。こういう発言に関しては、チェックの感度を上げる必要がある」、「軽い気持ちで言われたのだと思うが、コロナ禍の中、介護や看護をされている方は大変な思いをして仕事をされているので不適切だったと思う」といった意見を出しました。

オンブズ・カンテレ委員会特選賞の決定について

オンブズ・カンテレ委員会では、昨年1年間に放送または実施した番組、イベント、活動のうち、特に優秀と認めた作品や活動に対し、特選賞を贈っています。
委員の審査基準として、内容が関西テレビ独自である点や、関西地域に根差したもの、そして、光が当たりにくい作品・活動ではあるが関西テレビの発展に寄与しているものなどの点を重視しています。委員による最終審査によって、「オンブズ・カンテレ委員会特選賞」を次の通り決定しました。

番組部門

特選賞 スポーツ部「藤川球児 最後の勝負 密着15年引退直後に独占激白」

委員の講評

  • 阪神タイガースの藤川球児選手の引退をきっかけに制作された本作品は、スポーツ部の15年にわたる密着取材のたまものであり、藤川選手の引退後のインタヴューも含めて、藤川選手の野球に対する真摯な姿勢を余すことなく視聴者に伝えている。マウンドで投球しているときには1球ごとに変えるように心がけていたという藤川選手の言葉は、野球を愛する多くのファンの心を打つものであり、その発言を引き出し、番組で放送できたのは関西テレビスポーツ部が長年にわたる取材を通じて培った信頼関係があったからこそである。本作品は特選賞としての表彰に値する。
  • 丹念で継続的な取材の積み重ねにまず敬意を表したい。
    取材対象との強い信頼関係あってこその番組。
    淡々とした渡辺謙のナレーションも効果的だった。
  • タイガースファンにとって貴重な映像であり、藤川の生きざまをつづり、いつかこの日が来ることを予想し、企画されたことを、評価。

活動部門

特選賞 コンテンツ事業部 「関純子アナのゴーゴー体操」

委員の講評

  • コロナ禍の中、「”楽しく健康”を目指す体操番組」を関西テレビの顔である関純子アナウンサーが視聴者に送るという企画に感服した。コロナ禍のプラスの産物として、2020年の特選賞にふさわしいと思う。NHKにはラジオ体操以来、「みんなの体操」や「みんなで筋肉体操」という番組があるが、「関純子アナのゴーゴー体操」は、少なくとも関西テレビの放送エリアでは、それに勝るとも劣らない体操コンテンツとして関西の視聴者に受け入れられていくのではないか。この番組は「出張ゴーゴー体操」というイベントの取り組みとともに、関西テレビの存在を関西の視聴者に対して高めることに貢献したし、これからも長く貢献していくと期待できる。
  • コロナ禍にあってテレビ局に何ができるのか、真剣に考えている姿に好感がもてる。出張ゴーゴー体操も貴重な試み。今後とも継続的な取り組みと、動画の再生回数を増やす工夫を期待したい。
  • 介護現場及び高齢者に元気を与える企画である。

表彰について

新型コロナウィルスの緊急事態宣言が発令されている時期であったことから今回は、事務局から各部門の特選賞作品・活動の担当者に、賞状、副賞目録を授与しました。

社員から委員への直接通知について

この期間における社員等からの直接通知案件は、ありませんでした。

議事の後、ことし6月いっぱいで退任する藏本委員長と鈴木委員が挨拶をしました。

藏本委員長

長年に渡ってお世話になりました。その間に、様々な問題が起きたり、まだまだ体制が不備だと思うこともありましたけれども、微力ながらご協力させていただいたことは私自身の誇りと思っております。
この6月をもって退任をさせていただきますけれども、視聴者からの意見などをみますと、不適切な問題などが指摘をされており、コンプライアンス体制にまだまだ甘いところが残っていると思います。その辺は、今後、改善をしていただいて、より良い会社になって発展をしていただくことを祈念いたしております。

鈴木委員

大変長い間、皆様にお世話になりましてありがとうございました。
関西テレビのオンブズ・カンテレ委員会をはじめ、自主的にオンブズパーソン制度を置いている局があります。東京ではなく、名古屋とか大阪とか地方にあるテレビ局だからこそ、BPOとは別に自分の会社の判断でオンブズマンの意見を聞くというやり方をすることで、多層的に自主自律によるものと第三者的なチェックをしていくことが大事だと思っております。
ぜひ今後もこのオンブズ・カンテレ委員会を維持発展させて、関西テレビのためだけでなく、放送業界全体のためにプラスになるようにしていっていただけたらと思っています。

以上