番組審議会 議事録概要
『土曜はナニする!?(10/17放送)』について審議
- 放送日時
- 2020年10月17日(土)8:30~9:55
(関西テレビ発全国ネット) - 視聴率
- 個人全体
[関西]2.8% 占拠率(11.5%)
[関東]2.7% 占拠率(11.0%) - オブザーバー
- 制作局制作部 プロデューサー
大西 文志郎
参加者
委員 |
委員長上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長) 委員長代行難波功士(関西学院大学 社会学部 教授) (敬称略50音順) |
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関西テレビ |
羽牟正一 代表取締役社長 |
議題
- 当社からの報告・10/24放送「胸いっぱいサミット!」について
- 局に寄せられた視聴者からの意見・苦情等の概要10月
- 審議 番組「土曜はナニする!?」(10/17放送)
- その他 番組全般、放送に対するご意見、ご質問等
(いわゆる大阪都構想・住民投票の報道について)
11月12日に開催された第619回番組審議会では、当社から「胸いっぱいサミット!」での出演者の問題発言事案について報告。番組審議は、「土曜はナニする!?」(10月17日放送)について審議され、委員からさまざまなご意見をいただきました。
番組全体に思うこと
- 1時間20分前後の番組で、メーンコンテンツが「クイズ王・伊沢」「10分ティーチャー」「日帰りぷらっとりっぷ」の3本というのは、やや大作りで冗長に感じた。
- 首都圏等で放送されていることもあり、関西に特化した情報番組に陥っていないのは好印象。関西の視聴者にとっては関東エリアの旬の情報を得られることができる内容は一定評価できる。
- こういう(放送時間の)長い番組のときに全体のラインナップがはっきり出ていると、見たいところだけ見られるのはよかった。
- いつも思うが、スタジオに何人か集まって、収録してきたものをみんなで見て、何らかのコメントを出すというパターン。もうそろそろ考える時期に来ているのではないか。
- 全体としてピンとこなかった、個々のネタに対する掘り下げ方が浅くて薄い。
- 山里さんは、場を調整する能力がありその番組自体のコンセプトを壊さず、うまく雰囲気づくりができる。山里さんを起用されたのはすごくいいと思う。
- VTRを流して淡々と進行する番組は、山里さんの良さがいかせていないのでは。もっと山里さんが主体的に行うコーナーや積極的に進行をするコーナーを多くいれてはどうか。
- ワイプの音声が気になった。VTR中の会話やナレーションにスタジオの音がかぶって、どちらを聞けばいいのかという感覚になった。
- 土曜日の朝に家事などをしながら流し見するにはちょうどよい緩さの番組。
- 全体を通して際立った面白さ、楽しさがあるわけでもなく、MC、ゲスト、内容など番組構成すべてが昔から存在していた「情報番組」と受け止めた。毎週必ず欠かさず見るというより、何気なく見てしまう、まさに土曜朝の情報番組だと思う。
- 肩の力を抜いて見ることができるが、漫然と作られた印象も拭えない。テレビ離れが進む中で、こうした内容の情報番組がいつまで受け入れられるのか。もう少し角度をつけても良いのでは。
各コーナーについて
- 水族館は、供え物のようなクイズで水族館の魅力が伝わってこない。この場合はクイズを抜いて、むしろクラゲやチンアナゴの生物の面白さなどを見せるほうが、土曜の行きたい場所の案内になりそうに思う。
- 水族館のコーナーでは、教養番組にしろとは言わないが、もう少し水族館の使命、繁殖、飼育、種の維持など、ある程度の基礎知識を紹介すべきでは。
- (「クイズ王・伊沢」で)すみだ水族館が出てきて、イケドラでサンシャイン水族館が出てきたが、わざとかぶらせているのか。週末に行くのは、どっちに行ったらいいのかと気になった。
- 日帰りぷらっとりっぷでは、出演者二人ともマスクをしていた。このご時世なのでやむを得ないが、女性タレントがマスク姿というのはかわいそうかと。ちょっと違和感を感じた。
- 日帰りぷらっとりっぷは、あまり心が動かされない不思議なコーナー。キャスティングというより情報の見せ方の問題か。
- 急上昇ワードTOP10については、情報が少なすぎる。もう少し深掘りしたほうがいい。
- ヤフー検索で急上昇中というワードのトップテンは、よく見かける企画。テレビがネットに追随しているふうにもうけとれた。もっと、はりあえる何かをうちだしてほしいところ。
- 料理レシピの情報は、多くの人はネットから仕入れていると聞く。ネットではなく、テレビでレシピを学ぼうというような仕掛けやテレビならではの工夫がほしい。
- イケドラの出演者は嫌味なくあっさりした若者像で気軽に見ることができた。逆にいうと、見終わってしまうと何の余韻も印象も残らないと感じた。
土曜朝の情報番組のあり方について
- 週末の過ごし方を提案していて、どの程度それが実際に利用されているのか、これまでのデータというのがあるのか。また、それを反映してどの程度番組づくりに活かしているのか。
- 土曜朝の情報番組は否定しないが、土曜朝を「休みの始まり」ととるのか、「1週間のまとめ」ととるのか、によって番組の作りは大きく変わるはず。また、当然のことですが、視聴者層をどこに定めるかによっても内容は異なるだろう。
- 土曜の朝の番組は、習慣視聴をしてもらえるかどうか。長く続けることで、習慣視聴につながると思うし、もっと面白さのある企画やコーナーづくりに挑戦して、MCと面白い朝の情報番組を作ってほしい。
- テレビの強みは何なのか、ほかのテレビ局、さらにいえばほかのメディアとどのように差別化をするのかを考えるのが先。その延長に土曜朝の情報番組の在り方とか求めるものがあるのではないか。
- テレビを見ている人すべてが政治や経済、社会など硬派的なニュースを求めているわけではないのは重々承知しているが、肩を張らずに見ることができ、そして賢くなれる情報番組があってもよいのでは。
- 土曜の朝、タブレットやスマホを見ることがプライマリーになっているときに、テレビをつけに行かせるというのは難しくなっているのではないだろうか。
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過去のバラエティ番組の「こうあるべきだ」と思ってつくっているようなところがある。今はネット動画など変化に富んでいる、バラエティのつくり方ももっと根本的に考えないといけない。過去を踏襲するのはいいが、何か新しいものを絡めていかないと視聴者としては退屈。
事業者側より
「土曜はナニする!?」に関しては、弊社の唯一の本社発、生放送のネット番組です。ちょうどコロナ禍の4月から始動ということで、まだまだフルスイングできていない部分もあり、これから今のご意見を参考に新しいコーナーを進めていきたいと思いますし、ネットですから、全国の皆さんに楽しんでいただけるような長寿番組を目指していきたいと思います。
制作局長 小寺健太
番組審議会に出席して
- 制作局制作部 プロデューサー
大西文志郎 - 4月の立ち上げ当初からコロナ禍の影響をモロに受けた「土曜はナニする!?」。当初は放送をするので精一杯の状態が続いていましたが、夏を過ぎて少しずつスタッフがやりたかった事が形になってきました。番組審議会に参加させて頂き、現在は番組が進化を求められている時だと感じました。様々なコンテンツとテレビが「視聴時間」を奪い合い、日々テレビを取り巻く状況が変わっていく中、「土曜はナニする!?」はどんな立ち位置で放送していくのか、これまでのテレビの作り方を踏襲するだけでなく、視聴者に新しいテレビの価値を提示するためにはどうしていったらいいのか。まだまだ答えは見つかりませんが、その試行錯誤を始めるスタートラインに立つ機会を頂けた事に心より感謝申し上げます。
「胸いっぱいサミット!」(10/24放送)
出演者の問題発言への提言
- この番組は不適切発言が連続している。それをどうするかの対策をまず打たないことには前へ進めない。そもそも生放送であるということで出演者が何をしゃべるかは事前に分からない。なぜ生放送にこだわるのか。
- こういう番組なので鮮度が大事というのは分かるが、生放送であるから問題発言があっても、対応が即座にはできないというデメリットがある。直前に収録するなどを考えるべき。ダイレクトに流すということ自体に非常に危険性がある。
- 生放送で、何が起こるか分からないハプニングを楽しむということがあるかもしれない。いいハプニングならいいが、今回も前回もそうだが、よくないハプニングが起こったときにどうするかというところもやはり考えていくべき。
- 出演者の発言はとんでもない。ただ、60年ぐらい前は乱暴な手術とか、感染症対策ができていなかったことがあったから、認識が時代遅れということではないか。男性にも原因があるとかに話をすり替えるのではなく、出演者の認識がどう間違っているのかを言うべきではないか。
- 出演者は、生放送で発言してもよいのか否かの判断がつく方、過激な発言だったとしても生放送に耐えられる表現ができる方を制作者側は取捨選択しながらキャスティングすべき。生放送は一度放送されてしまえば、取り返しがつかない。
- この出演者が「主義主張」をもった人物だからこそ、コメントすべきテーマについて細心の注意を払わなければならなかったと考える。
- これでお詫びしておしまいではなく、今回の件に関して、継続的に訂正情報を発信し続けるとか、不妊に関する調査報道みたいなことを続けるとかの取り組みをしてほしい。訂正を重ねていかないと、中には、不妊は本人の責任だという話になっていくこともある。
- 新聞を作る上で、最も気をつかい、慎重に扱っているテーマが「医療」と「教育」。これはテレビ局でも同じではないか。きわめて関心が高く、苦しんでいる人が多いから。今回、生放送で、しかも台本や事前打ち合わせに一切なかった突然の不適切発言だが、それでも生放送だからこそテーマ選びなどの慎重さは必要だった。
- 不規則発言がある番組に、どう番組の中で具体的に対応するのかということをきちんと決めておくべき。今回の番組は早く対応ができた点はよかったと思う。
- メディアはときに誤った報道をしてしまうことがあるが、そうした誤った情報は直ちに訂正され、直ちに謝罪すべき。その点でいえば、番組途中のCM明けすぐに出演者に訂正・謝罪させ、翌週に時間を割いて経緯を説明し、謝罪・お詫びしたことは、評価している。
- 今回の番組で、二度も起こっている。言っていいことと悪いことの境界線が極めて曖昧になっている。それは制作者側もしっかりとその認識を持ってあたるということが大事だ。
-
不快感や差別の問題、そういうものを具体的に、例えば物事を病気に例えて話をしないとか、あるいは性の問題であるとか職業の問題であるとか、そういうことをきちっと出演者に伝えて認識をしてもらったほうがいい。そういった共通認識を持つということを関西テレビとしてどう捉えていくのか考えていただきたい。
制作局からの返答
収録方法については、鮮度を放送に出そうということで、半分生という形で今やっています。どんなに打合せしても当然生放送の危険性というのはありますので、制作のほうでもう一度考えていきたいと思います。 それから、不妊について、当番組で特集などができないかということについては、宿題として前向きに検討していきたいと思っています。
いわゆる大阪都構想の住民投票の報道について
委員からの意見
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関西テレビの都構想報道を全て見ていたわけではないが、「報道ランナー」などを見る限りでは公平・公正にバランスのとれた報道をされていた印象が強い。都構想については、住民投票1週間前に、毎日新聞が「行政コスト218億円増」と報じ、国会で日本維新の会が「大誤報だ」と非難するなど混乱に陥った。
報道が結果を左右したとは思わないが、一定の影響を及ぼしたのは間違いない。あくまで推測だが、報道の背景には賛成派と反対派の暗闘があり、投票直前に試算を公表した大阪市が撤回し、それを報じた毎日が記事掲載の経緯を説明したが、しかるべきときに改めて検証が必要だと考える。 -
報道について分かりにくいという一つの理由には、大阪市の問題であって、大阪市の存続であるのは分かるが、今や大阪市はグローバルな大阪府下の一つの中核になっているわけで、大阪市民の人も大阪府下の人も双方共に大阪がどうなるか、それはやがて自分たちの住んでいるところはどうなるんだろうか、大阪全体がこれからどうなっていくのかという、行政の役割だけではなく、大阪がどんな都市を目指していくのかというのが知りたいが、それが何も分からない。
大阪の全体が、まだこれ都構想と言っているから大阪都になるように思っている人もいる。そんなところの全体の俯瞰的な説明があったら、大阪市の今後がもっと鮮明に分かってきたのではないかという気がしたので、全部は見ていないが一、二回「報道ランナー」を見ていてそう思った。共産党と自民の意見、あるいは維新と公明の意見だけを説明しているというだけではなくて、双方に取材をするとか、いろいろな仕方で、何かもう少し全体像を伝えてくれたら判断しやすかったのではないかという気がした。小杉報道局長
いわゆる都構想は、大阪市を廃止して特別区の設置の是非を問う住民投票のことですが、非常に難しい、分かりにくいという声がご存じのとおり寄せられています。
重々承知の上で、どうすれば、住民サービスや財政の見通しはどうなるか、制度の課題はどうであるとか、なるべく視聴者あるいは有権者の方々の身近にたぐり寄せるような努力はできないかということで、夕方の「報道ランナー」の中では『大阪のコレカラ』というコーナーを設けて大阪都構想を扱うコーナーをつくったり、生討論を今年の1月、9月、10月と3回に分けて実施しました。
やってみると、やればやるほどすごく専門的になる、掘れば掘るほど専門的になります。テレビでこういう難しいものをどうやって掘り下げていくかということは、本当にいろいろ手さぐりの中の番組づくりでした。その中で、何とかこのテーマを解読しようと、有権者に選択する選択肢を届けようという努力、あるいは熱意は、多少は伝わったのかなというふうに思っています。
結果は否決ということですが、ご存じのとおり1万票余りの差ということになっています。非常に有権者の方も迷われたんだろうと思いますが、結果からみると、賛成、反対の方のいろんな理由を拝見していると、多分これが一番強いなと思ったのは、大阪市をなくしたくないというのが岩盤理由だったというふうには見ています。
そこに至るまでに私たちの制作した番組がどのようにお手元に届いて、どう判断されたかは、有権者の方々の判断にお任せするということですけれども、今回のこういうテーマをやりながら、テレビ番組で、ネット環境が多くある中、番組を見て判断してもらうということに、どれだけ魅力ある番組をつくっていけるかということが本当に問われていると思います。