番組審議会 議事録概要
『やすとも・友近のキメツケ!※あくまで個人の感想です』について審議
- 放送日時
- 2019年12月24日(火)20:00~20:59
- 視聴率
- 12月24日(火)
[関西]7.3% 占拠率(10.8%) - オブザーバー
- 制作局制作部 プロデューサー
田中 耕司
参加者
委員 |
委員長上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長) 委員長代行難波功士(関西学院大学 社会学部長 教授) |
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レポート参加 |
井上章一(国際日本文化研究センター 教授) |
関西テレビ |
羽牟正一 代表取締役社長 |
1月16日に開催された第611回番組審議会では、12月24日放送の『やすとも・友近のキメツケ!※あくまで個人の感想です』について審議されました。海原やすよ・ともこ&友近の3人がMCを務めるトークバラエティーで、「この音だけは耐えられへん!」「女はずぅーっとしゃべってる」などのテーマについて好き勝手に楽しくしゃべりまくる番組に委員の皆様から様々なご意見をいただきました。
番組の感想
- 番組のあること自体は知ってたんですが、見ようと思わなかったのは、タイトルが「あくまでも個人の感想です」だと、何かつくり手側の逃げの姿勢というか、タレントが何か変なこと言ってもタレントの責任だと言って自分たちは逃げようとしている印象を受けて見なかったんですが、今回見てみて、あの時間帯にだらだら見るにはいい番組だと思います。
- 「この音だけは耐えられへん!」という、何を考えてこんな企画を考えたのか。プロの方が集まって会議をして決めたと思いますが、もう少し冷静になって、本当にこれがおもしろいのかどうかというのは考えてほしい。せっかくの地上波を使いながら、こんな番組やルポをしていて本当にいいんですかと、ちょっと気分が悪くなりました。
- 往々にして女性のおしゃべりというのは、食べたり飲んだりしながら、中身はどうでもいいわけです。その雰囲気を楽しんでいる。まさにスタジオにいるメンバーはその雰囲気の中にいるだけであって、その側にいる視聴者はその楽しみの中に入り込めない。こんなものではつくる意味がない。もうちょっとそこのことを考えて構成を考えないといけない。
- スタジオでいろいろしゃべってるものは一向に響いてこないし、ただ素通りしていってるだけでおもしろくも何もない。しかし、伊丹空港のかばんの中身を見るロケで初めて自分と共感できました。その心理学者が「そんな人は詐欺に遭うんや」と言うから、自分もぎくっとしたんですね。そういう意味ではおもしろかった。
- 女はずっとしゃべってると。確かにそうやなと。そこはわかりましたけれども、この番組が誰を相手に何を見せようとしているのか、意図なり狙いは何なのかというのは、私は最後までわかりませんでした。
- 東京局とくらべれば、予算に限りがある。でも、自社制作番組は、一定程度こしらえたい。そんな在阪局は、ギャラのいらない一般人を、番組づくりにいかしてきました。市井の人びとをコミカルにうつすよう、今にいたるまでつとめています。
- 演出がいいとか悪いとか、役者の演技がいいとか悪いとか、歌がすばらしいとか、準備とか調査ができてるできてないなど、この番組審議会で取り上げられたりしたと記憶してるんですが、今回は、そういう問題以前に、この番組は一体何なんやろうというのが、申しわけないですが、私の率直な意見です。
- 関西人のおすすめの冬の楽しみ方というテーマです。私は個人的にはおもしろかったです。京都のこたつカフェや、トレイルラン、温泉旅館の話とかも、行くかどうか、やるかどうかおいておくにしても、気持ちの余裕があったらそういう選択肢も冬にあるんだなって感じることができました。
出演者について
- やすともさんは、関西ローカルで最近よく登場されていて、同世代の主婦とかには非常に受けがいいんだろうなと想像されます。一方で、非常にコスパの高い芸人さんなんだと思います。そういう意味では、この起用は成功したんではないかなと思いました。
- この番組を見て一番よかったなと思うのは、ゆりやんレトリィバァさんのナレーションが、これはすばらしいと思いました。
- やすともさんはおもしろいのでいいなと思うんですけれども、やっぱりその人を引き立てるというのではなくて、ちょっとやり合うぐらいの人がいないと、地味でも刺激のある人がいて、やすともさんがどうしようと思うぐらいのことをばっと言うような人がいたほうがおもしろいんじゃないかなと思う。
構成・演出について
- 「女はずぅーっとしゃべってる!」、これはまあそうですねというふうにしか思えないんですけれども、最終的に女の共感脳と男の解決脳との違い、そこら辺を脳科学者とかに出てもらって、少し説明を受けたかったなと思いました。
- 20時台というゴールデンの時間帯に放送するには内容が薄すぎる。ながら見対応の番組だとしても、もう少し実のある内容にしてほしい。
- スタジオで展開されてる会話は、ふだんの井戸端会議、コンパ、飲み会、昼休み、仲間内で交わされている会話と大して変わらない。誰かがツッコミを入れて、「そうそう」「そうやんな」と共感をして丸くおさめる。毒気がなくて安心して見られる番組だと思いました。お金もかけてないし、局にしてもコスパの高い番組で、そういう意味では局のミッションには十分応えていると思いました。
- 確かに、女性はずっとしゃべってると、そこはわかりましたけれども、この番組が誰を相手に何を見せようとしているのか、意図なり狙いは何なのかというのは、私は最後までわかりませんでした。
- 住民参加で、おもしろい番組をつくる。いかにも大阪らしいつくりになっているのかもしれません。しかし、東京制作の番組も、こちらの方向へ歩みよりだしています。大阪ならでは、というアドバンテージも、遠からずなくなるような気がします。
- MCのやすとも、友近、ゲストなどの出演者の持ち味の引き出し方が不十分だと思えた。もっと個性を引き出したトークや内容構成を期待したい。
- この番組の根底は極めてシンプルで、街頭インタビューをスタジオで受けるという構成です。この中にくだらないものを乗せてしまうと、全く光ってこないですよね、その題材が。それぞれのテーマは取り上げようによっては随分おもしろくなりそうなものもあるわけですから、どうも構成に問題があるんではないのかというふうに思いました。それに時間が長過ぎて切れがなく、だらだら続いていく。だから飽きてくるという感じです。
- 「あくまでも個人の感想です」というスーパーをずっと右上に流しているのは潔くない。番組タイトルというのはわかりますけれども、あれは要らないなと思います。
- 全体的に進行役がいないので、コーナーがすごく唐突に始まっている印象を受けるんです。うまく編集をしていて、あんまりぶつ切り感とか違和感を与えないようにつくられているのかなとは思いますが、進行役がいる番組と比べると、どうしてもトピックのぶつ切り感はあります。
番組に対する疑問点
- 細かいことを言うと、伊丹空港での荷物チェックの出口流の荷物の減らし方その1、その2、その3というのがありました。その1が「優先順位をつける」という、その2が「命にかかわるものかで順位を決める」と。この、その1とその2、おかしくないですか。論理が破綻している。
- 「奴隷の基本」というのが出たんですけれども、今、放送で「奴隷」ってあんな大きく言ってもいいんですか、私、マリンバという楽器をやっていて、それがアフリカから奴隷船に乗って中南米にやってきましたとは言わないでくださいと言われます。それで「三角貿易の時代に原住民の人たちが自分たちの楽器を持って中南米にやってきました」みたいな言い方にかえるんです。「奴隷の基本」ってわざわざでっかくスーパーが出たので、私はこんなに言っていいのかなというのをお尋ねしたいです。
番組への提言
- 伊丹空港で荷物の中身を見せてもらうコーナーも、テーブルを用意してあげられればよかったのではないですか?出口先生も、他の皆様もしゃがみ込んでいるVTRだと、視線が下になってしまい、荷物も見にくいですし、一つテーブルがあるだけでも、もうちょっと視点も上がるし、皆さんも話はしやすいのかなとも思いました。
- M-1グランプリのミルクボーイのネタでは、コーンフレークがパフェのかさ増しになるぐらいは誰でも思うかもしれないけれども、死ぬ前に最後に食べたいものではないとかという決めつけがあって、そう言われればそうやなと、何かそういうので、あの漫才は物すごくおもしろくてグランプリもとったんだと思いますから、何か言われてはっと、そんなことと一瞬思ってても、よく考えたらおもしろいとか、何かそういうものがこの番組にもちょっとでもあればと思いました。
- これはくだらないものを作ろうと思っているのかなということが伝わったのでよかったです。でも、この番組を火曜日の8時から9時に放送するということは、それ以外の関テレの番組がもっと素晴らしくないと、この時間にくだらないことをやるのが攻めに見えない。すごく大きな問題があるなというふうに思いました。
- これではつまらないなと思いました。やっぱり攻める番組を見せてほしい、関テレさんならでは、大阪の局ならではの番組をつくってほしいし、見せてほしいなというふうに思いました。
- テーマの選び方一つで、この番組がおもしろくなるとも、おもしろくならないとも思いますし、少しスタジオトークが長過ぎるような気がします。もっとルポをふやして、深いルポが入れば、もっと大人が見られる番組として成立するのではないかなと最後に思いました。
番組審議会に出席して
- 制作局 制作部 プロデューサー
田中耕司 - 番組が始まって2年弱経ちましたが、このような場でご意見をいただくのは初めての機会でした。様々な視点・角度からのご指摘をいただいて感謝しております。
「井戸端会議を見ているよう」という意見を多くいただきました。まさにそこを起点としてスタートした番組です。肩に力を入れず楽しめて、時々学べる…そんな番組になればと思って制作しております。今回の審議会では、その中でも「ふざける時ほど理論をキッチリする」など、バラエティ番組を制作する上で大切なことを改めて考えさせられました。突き進むのではなく、一歩立ち止まって脇をしめる。今後の番組制作につなげていければと思います。貴重な機会をありがとうございました。