番組審議会 議事録概要

No.653 2024.4.11

カンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマ
「GTO リバイバル」(4/1放送分)について審議

放送日時
2024年4月1日(月)
21:00~22:48
視聴率
個人全体 関西地区7.8%(占拠率26.0%)関東地区6.0%(21.3%)
オブザーバー
制作局 東京制作部 プロデューサー
河西秀幸

参加者

委員

委員長

上村洋行(司馬遼太郎記念館 館長 司馬遼太郎記念財団 理事長)

委員長代行

難波功士(関西学院大学 社会学部 教授)

井上章一(国際日本文化研究センター 所長)
上野信子(ジャトー株式会社 顧問関西国際交流団体協議会 理事)
黒川博行(作家)
高江洲ひとみ(弁護士)
通崎睦美(木琴奏者)
中村 将(産経新聞社大阪本社 編集局長兼写真報道局長)
早嶋 茂 (株式会社旭屋書店 相談役)※

(敬称略50音順)※レポート出席

関西テレビ

羽牟正一 代表取締役社長
喜多 隆 専務取締役
和田由美 コーポレート局長
島本元信 コンテンツデザイン局長
小川悦司 制作局長
江口 茂 報道局長
西澤宏隆 スポーツ局長
横山和明 制作技術統括局長

議題

  • 2023年10月から2024年3月までの番組種別及び放送時間、CM総量、
    4月改編及び放送番組種別などの報告ほか
  • 局に寄せられた視聴者からの意見苦情等の概要(3月分)報告
  • 審議番組 カンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマ
    「GTO リバイバル」[4/1(月)21:00~22:48]
  • その他 番組全般、放送に対するご意見、質問等

第653回番組審議会では、2023年度下期の番組種別・放送時間、CM総量と、4月改編等について報告し、審議会から了承いただいた。ほか、3月分視聴者からの意見対応の報告と、ドラマ「GTOリバイバル」について審議され、委員からは「『ガキの頃についた傷はガキの頃に治してやらないと』という言葉に惹かれた」など、ドラマにちりばめられた言葉への評価があった半面、「26年前のオリジナルキャストを揃えることありきではないか」といった意見も出された。
また、審議会からの「ちまたのジョーシキちゃん」についての意見書に対して、番組審議会の意見を重く受け止め、改善策に取り組んでいる現況について報告した。

 ドラマ「GTOリバイバル」
番組概要

カンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマ「GTO リバイバル」(4/1放送)
1998年、 “ニューヒーローの誕生” と、テレビの話題を独占したドラマ「GTO」。平均視聴率は関東地区で28.5%、最終回は35.7%と高視聴率をマークした。
そして、26年後の2024年、令和のニューヒーロー、グレイト・ティーチャー・オニヅカとして鬼塚英吉が帰ってきた。
鬼塚は、臨時教員として私立相徳(あいとく)学院に赴任することになり、再び、生徒と向き合うことになるが…。

委員からのご意見

  • こんな先生が本当に多くいたら、子どもたちや社会は幸せだなと思う言葉がちりばめられていた。特に「ガキの頃についた傷はガキの頃に治してやらないと」という言葉は重い。実現するのは難しいが、この言葉に惹かれた。
  • 現実の学校社会は、かなり深刻な状況があるが、こんな先生がいたらという夢を見て現実を忘れさせるのか、それともあまりにも現実との乖離に絶望するのか、高校生や保護者の感想が気になった。
  • ドラマの本筋は、サイトの拡散で大きな話にどんどん広がっていくはずだったが、ドラマが進むに従ってどんどん小さくなっていき、結局ある一家の問題になってしまった。
  • 「GTO」というのは、そもそも鬼塚先生とか生徒たちの言葉が心に響くことから印象に残り、人気を博したという側面は今回も引き継がれていた。「夢はないのか」といった趣旨の問いに対して、生徒は「逆に夢のあるほうが珍しくない?」とか、「夢見てかなわないほうが嫌じゃない?」といったような厭世的な感情が若い世代にははびこっているのかなというようなことも感じた。
  • すごく懐かしい気持ちで視聴した。今回、ストーリーとして突っ込みどころが満載だが、昔のドラマファンにとってはキャストが再集結して、前作の最終回から、この後どうなったんだろうという気持ちに応えてくれたスペシャルドラマだった。
  • 鬼塚が体当たりで挑んでいきましたと言いたいのだろうが、盛り込み過ぎで中途半端、荒唐無稽な展開だった。26年前のオリジナルキャストを揃えることありき。が見終わった感想。

    上記のご意見への返答

    キャストをそろえることは非常に苦労しましたが、そのためにやったと言うより、今回、令和の世の中に子どもたちにどういうメッセージを残せるのか、子どもたちに夢を持ってもらいたいというメッセージ性を大事に作ったつもりではあります。

    プロデューサー 河西秀幸

  • 冒頭、鬼塚先生が格好いいオートバイで登場する。この冒頭のシーンだけで、これから昭和の名残のある、平成から時空を経て現在の全く感覚の違う若者のいる学園の中で何が起こるんだろうかと期待したが、その狙いがこの番組の中に明瞭に出てこなかったのが残念に思った。
  • 鬼塚は古さに価値観があるという設定になっている。パパ活の女の子からも、「古くてグッとくる」と言われていた。この古さに価値を見いだすこのドラマは、ネットやスマートフォンという新しい媒体への批判も秘めていたと思う。スマホへの「いいね」では語れない価値に光を当てようとしていたと受け止める。そこにスマホを持たない古い鬼塚の存在意義はあるのだと思う。
  • TikTokを撮っている女子高生と反町さんがワイワイ言っているところがすごく好きだった。今っぽいしかわいいし、映像もきれいで。何かそういう場面がもっと普通に出てきたらいいと思った。
  • 一女子高生が反グレ集団の悪事をスクープするとか、チャンネル登録者数200万人というのも、今の10代、20代にしてみれば、そんな簡単に200万いくはずないという突っ込みも入ると思って気になった。この26年間にあったことをいろいろ盛り込もうとしているのはわかるが、こなれていないなという印象。

委員のご意見を受けて

制作局 東京制作部
河西秀幸 プロデューサー
圧倒的な主人公が26年ぶりに復活し、たくさんの反響を頂きながらも、内容面では2時間の学園ドラマ制作に反省点もあり、委員の皆様からは厳しいご指摘も頂きました。企画の特性上、強引なストーリー推進力があり、飽きさせないためにエピソードを詰め込んだあまりに、何らかの違和感を持たれたかもしれません。大事なシーンを紡ぐには丁寧なシーンの積み重ねが必要。そんな基本を思い出し、今後の作品作りに生かしたいと思います。