出前授業

出前授業@奈良県五條市立五條東中学校

2019年12月13日(金)

風光明媚な山間の景色が広がる五條東中学校は全国屈指の柔道の名門。出前授業はその生徒たちの汗が染み込んだ武道場で行われました。大学時代は塾の講師をしていたという根っから子ども好きな記者が、1年生36人に「テレビのニュース番組って、どうやって作るの?」と題して授業を行いました。

【学校からの要望】

新聞とテレビで取材手法や記事の書き方、どのような違いがあるのかを教えてほしい。また、物事を伝える際に留意していることなどを教えてほしい。

【講師】報道局報道センター 伊藤 翔太

2011年入社以来、報道センターに所属し、主に大阪や京都で行政・司法・経済などを取材してきた。

【授業内容】

入社以来、報道畑でニュースを伝え続ける伊藤にとって、視聴者がどのように受け取っているかは大いに気になるところ。最初に生徒たちに、ニュースは何で知るかを聞くと、ほとんど全員が「ネットとテレビ」と答えてくれました。

それを踏まえて、記者たちがどんな風にニュース番組をつくっているか動画を使って説明しました。カメラマンとペアになって現場で当事者にインタビューをしたり、情報やデータを聞き取ったり、リポートを撮ったり、原稿を書いたり…といった誰もが想像する記者の仕事をまず紹介。さらに、撮影した映像の編集や、グラフやテロップの作成など、放送するまでの全般に関わる姿が映し出されていました。

見終わったところで、伊藤から「これ、YouTuberみたいだと思いませんか?」という問いかけがありました。生徒が頷く中、「では、テレビのニュース番組とYouTubeで何が違うのでしょう」という説明に入りました。

ニュース番組とYouTubeの共通点は、“出来事を映像や音声を使って表現する”ということ。相違点は(1)ニュース番組で視聴者が見るニュースは、テレビ局側が選んでいるのに対し、YouTubeは視聴者が見たいものを選んで見ている。(2)ニュース番組は良いことも悪いことも含めて社会問題を取り上げる。権力を監視して公平に伝える義務があるが、YouTubeは「楽しい・面白いこと」がベースで、制作者の興味を取り上げることが多いなどと比較して説明。テレビのニュースは見ているだけで、今の世の中で何が起きているかがわかることを目的に、情報が正しいか、偏っていないか、誰かを不必要に傷つけないかなど、様々なチェックを経て放送されていると話しました。

続けて、伊藤は「では、新聞とテレビの違いを実際の記事とニュースで見てもらいましょう」。近鉄電車の新型車両を紹介する新聞の記事は外観の写真と文字、一方、テレビニュースでは、伊藤が優雅な座席に座り、車窓の景色を背景にワインを傾けながらリポートしています。2つを見比べて、生徒たちからは「違うニュースみたい」「新聞は色もついてない」という声があがりましたが、伊藤は、新聞は自分のペースで読めるので、難解な出来事は理解しやすいこともあるとその優位性について説明しました。

この後、ニュース原稿の不備を見つけるというグループワークをしました。選挙報道で公平さを欠くもの、原稿に不適切な修飾語や憶測が混じって書かれているものなどが用意されました。発表の場では、積極的な意見交換が行われました。

最後に伊藤は「ニュースの文言一つで、視聴者が感じる印象は180度変わることもある。私たちは細心の注意を払って情報をなるべく正しく届けようとしているが、物事の見方や切り取り方は誰もが同じではない。ニュースは沢山の記者が各々の見方で伝えてるんだと知った上で見てほしい」と結びました。

生徒からの質問
Q.印象深かった取材は何ですか。
A.京都支局にいた2014年に、連続青酸殺人事件の容疑者を逮捕前から取材した。逮捕前には「殺していない」と強弁していた容疑者はその後、逮捕され1審は死刑判決。その後、大阪の裁判所担当だった2019年、大阪高裁で2審が開かれることになり、先輩記者とともに拘置所にいる被告を何度も面会取材した。5年ぶりに会った被告は以前とは異なり「殺した」と語った。被告しか知らない真実に近づけたと思った。事件もそうだが、様々な社会問題を長期間継続して取材し、伝えることは報道機関の重要な役目だと思うし、これからも続けていきたいです。

【講師のコメント】

出前授業の経験者から「中学生の情報源はテレビではなくスマホ」という話ばかり聞いていたので、生徒さんの多くが「ネットニュースも見るけど、テレビのニュースを見る」と答えてくれたことに驚き、嬉しく感じました。新聞やネットメディアなど様々な媒体の特徴を比較して説明しましたが、生徒さんにとって「私の見方」=「答え」にならないように、神経をすり減らしました。「物事を伝えることは楽しい、怖い、でも面白い」これは私が大切にしている想いです。生徒さん達にこのことが少しでも伝わったのであれば、嬉しく思います。

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