出前授業

出前授業@大津市立逢坂小学校

2019年1月15日(木)

学校から応募のあった4月の段階では、2018年がこんなに災害の多い年になるとは思ってもみませんでした。学校の依頼にある災害は阪神淡路大震災や東日本大震災であったのでしょうが、当日は児童たちも直に経験した災害について話すことになりました。今回のテーマは「災害とテレビ報道」です。

【学校からの要望】

社会科の授業の発展として、災害を伝える放送局の取組み方や、被災者や被災地を実際どのように取材するか教えてほしい。

【講師】

報道センター 稲垣伸

入社4年目の記者。大阪府警担当1年半の中で、凶悪な殺人事件や事故を取材。九州豪雨や大阪北部地震、西日本豪雨の被災地取材では、現場で被災者の声を聞きながら、取材の難しさを経験した。

報道映像部 粟村文彦

入社10年目の報道カメラマン。事件事故の撮影をはじめ、ライフワークとしているマイナースポーツの取材に積極的に取り組んでいる。

【授業内容】

講師は記者とカメラマンの2人でしたが、カメラを持参したこともあって、カメラアシスタントも含めて、取材での1クルー(3人)で訪問しました。講師2人は、九州豪雨の被災地でクルーを組んだり、揃って宿直明けで大阪北部地震に遭遇したりと、災害報道の現場を共に経験してきました。

2018年6月18日の大阪北部地震では、滋賀県は大きな被害もなく、ニュースで取り上げられることもありませんでしたが、実は逢阪小学校のある大津市も震度4を計測していました。稲垣記者が発生時刻のことを問うと、児童たちは興奮して口々に「登校中やったから、みんなでしゃがんだ」「怖くてどうしたらいいかわからなかった」と話し、地震の体験がまだ生々しいことがわかりました。

宿直明けだった稲垣記者は、全く情報がないまま、被害を予想して、まず新大阪駅に向かいました。在来線や新幹線が運転を中止し、構内は大勢の人であふれかえっている状況を確認し、通勤時間に重なったためタクシーを待つ行列や道路の混雑を取材しました。稲垣記者は災害報道で大切なことのひとつめとして、人の命と生活に関わることなので、(1)早く正確に情報を伝えること だと話しました。

一方、粟村カメラマンは、被災現場を撮影するため出発しました。交通がマヒした道路を目的地に向かって歩く人たちを車の窓越しに撮ったり、本社から情報を受けて、被害の出ている場所を撮影して回りました。粟村カメラマンは、災害が発生すると、カメラマンは、どうしても危ないもの、危ない所を撮影したい衝動にかられるが、取材では「自分の身を守る」ことも重要だと話しました。危ない状況を視聴者に伝えることは必要だが、それによって取材者がケガをしたり、死亡してしまっては目的である「伝える」ことができなくなってしまうと語りました。

この日の夕方のニュースでは、取材をまとめる形で番組が進行しました。ニュースは、記者が書いた原稿をもとにカメラマンが撮影した映像を編集します。インタビューなどが聞き取りにくい場面では、話の内容を文字に書き起こしたり、CGを作ることもあります。稲垣記者は2つめに大切なことは、テレビの視聴者に、(2)わかりやすく伝えること だと話しました。

そして3つめ。大阪北部地震では、高槻市の小学4年生が倒れてきたブロック塀の下敷きになりました。どうして起こったのか、これからどうするべきなのか。連日、学校や高槻市の記者会見で発表される原因や今後の方針についてが放送されました。報道とは (3)次の行動へ向かうために伝えること であると、稲垣記者はまとめました。

2人への質疑応答では、「被災地での取材で大変なことはどんなことですか」という問いに、「被災者の多くはこれまでの生活が急に変わり困っていたり、中には家族を失った人もいる。そんな人たちに取材をするのだから、できる限り相手の気持ちを思いやることが大切。取材をしたいと思っても、嫌がられたら諦めることも、良い報道の在り方だと思う」と答えました。

また、「死にそうになったことはありますか」との問いには、粟村カメラマンが、「死にそうになったことはないが、災害取材などは、最前線に行って撮影するので、いわば常に死と隣り合わせ。常に二次災害にあうかもしれないと考える必要がある。」と語り、「取材の時、取材対象だけを見ていてはいけない。まわりへの気配りが必要」とつけ加えていました。

このあと、実際に取材で使われているカメラを児童たちが順に担いだり、ファインダーをのぞいたりカメラマン体験をしました。友達どうしを映し合って、「重—い」「へんな顔」と盛り上がっていました。

【講師のコメント】

稲垣伸

日頃、ニュース番組をみる機会はさほど多くない小学生を対象にした出前授業でした。特に大阪北部地震に関しては児童たちの地域も揺れていたため、地震を“自分ごと”として捉えていて、興味を持って話を聞いてくれました。一方で、デジタルネイティブな世代であることからネットやSNSの情報を信じてしまう世代だということも改めて認識しました。テレビ報道が信頼されるメディアになるべく、日々どう伝えていくか考えていかなければならないと感じました。

粟村文彦

「災害取材」という難しいテーマにもかかわらず、子どもたちが目をキラキラさせて、 真剣に話を聞いてくれたことが印象に残っています。取材の裏話をする度に、「すごい。」とか「そうなんだ。」とかリアクションしてくれて、とても話しやすかったです。(笑)カメラを実際に触ってもらうコーナーでは、子どもたちは超ハイテンション。キャーキャー喜びながら、カメラを回している姿にとても癒されました。また機会があれば、出前授業に行きたいと思います。

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