出前授業

出前授業@大阪市立大和川中学校

2018年1月12日(金)

「テレビ記者の仕事とは」

大阪市住吉区にある大阪市立大和川中学校に行ってきました。
学校のすぐ南には大阪市と堺市の境界になる大和川が流れています。3学期が始まって間もないこの日、1年生と2年生合わせて6組およそ200人が授業に参加してくれました。

【学校からの要望】

1月後半に実施される職業講話や職場体験学習をより効果的に行うための一歩目として、普段からなじみのあるテレビ、その中でも報道記者の仕事を通じて「職業とは何か」を考えるきっかけになればとの要望を受け、キャリア教育とメディアリテラシー教育の両面から授業を行いました。

< 今回は、授業を担当した報道局報道センターの鈴木祐輔記者のリポートです。>

【授業内容】

冒頭「将来記者になりたい人はいますか?」という質問をしてみました。結果は、なんと0人。今回の授業は、その人数が少しでも多くなることが目標です。

最初に自己紹介を兼ねて、私の「顔出しリポート」をまとめたVTRを見てもらいました。
内容は、(1)現場からの中継 (2)大阪府警記者クラブからの中継 (3)ヘリコプターからのリポート (4)企画VTRでの三文芝居(スマートフォンを持つと女性にモテる?という妄想シーン)で、記者リポートにも様々なバリエーションがあることを知ってもらいます。なぜか真面目なはずのリポート1本目から会場に大きな笑いが…私の何が笑われたのかは分かりませんが、ツカミにはなったようでした。

この後、生徒数人に「記者とはどういう仕事だと思う?」と質問をしてみました。
「テレビでリポートする人?」など、あまりよく分からない様子…アナウンサーと混同している生徒も多いようでした。そこで、以前『カンテレ通信』で放送した「年明けのUターンラッシュ」のニュースを題材に、出発前の情報収集、カメラマンとの打ち合わせ、駅での取材、本社に帰っての編集、そして放送と、一連の作業に密着し約7分にまとめたVTRを見てもらいました。VTRを見た生徒の皆さんは、画面には出てこない様々な仕事があることに驚きがあったようでした。

続いてVTRのおさらいとして、記者の仕事を下記のようにモニターにまとめて解説しました。

(1)情報を集める
→ VTR中、記者が外国人観光客数の動向や年末年始の帰省客数の動向を関係先のサイトなどを使って下調べする。
(2)取材をする
→ 実際に駅で乗客にインタビューをしたり、JRの担当者に質問したり、列車の混雑状況を自分の目で観察したりする。
(3)原稿を書く
→ 本社に帰って原稿を仕上げ、デスクのチェックを受けて直していく。
(4)編集をする
→ 編集マンとともに映像の選択や順序を打ち合わせながら編集を進め、同時にテロップ発注と確認作業を行う。
(5)放送をする
→ アナウンサーに下読みしてもらいながら原稿の最終確認を行ったり、実際の放送にあわせてテロップを出すタイミングをスイッチャーに伝えたりする。

そして、取材に行っていないときに普段からどういうことをしているのかを「番外」として隠し、生徒数人に尋ねてみましたが、さすがに皆さん分からない様子…下記のようにその部分をオープンして説明しました。

これについては、普段から自分の知らない分野について書籍や新聞などを読むなどして勉強をしていることや、情報が公表される前に先に知らせてもらえるよう、情報源になるかも知れない人と人間関係を作っておくことなどを説明しました。
そして、過去に同級生から事件関係者の写真提供を受けた自分の経験などを話し「友達を大切にすることが将来に何かの役に立つこともある」という話も聞いてもらいました。

その後、事前に生徒の皆さんからいただいていた質問についてお答えました。

Q.視聴率が高いとどんなメリットがある?なぜ高いといいのか?
[報道として]
私たちは「ここに注意してね」「ここは危険だよ」などという情報を皆さんに知らせる役目も持っています。その伝える相手が多い方が、より多くの人の役に立ちます。また、スクープなど「いい取材」をしたときも、伝える相手が多いほうが、うれしいのです。
[会社として]
視聴率が高い番組・つまり見てくれる人が多い番組は、それだけCMを見てくれる人が多い番組ともいえるので、CMとしての価値が高まります。
Q.ニュース番組の情報はどこから入手するのか?
たとえば、事件・事故だと、こんな感じです。
(1)警察・消防・役所からの「発表」(メールやFAX、無線などの一斉連絡)
(2)ツイッターなどのインターネットで、現場にいる人からの発信
(3)記者やスタッフ、または知人が「異変を感じる」(何台もパトカーを見た・警察署が騒がしいなど)
(4)記者やスタッフ、または知人が「現場に遭遇する」
(5)普段取材している人から「教えてもらう」(電話・FAX・メール・手紙など)
(6)視聴者の皆さんから「教えてもらう」(電話・FAX・メール・手紙など)
(7)新聞(ちょっと恥ずかしい)
(8)ほかのテレビ局のニュース(もっと恥ずかしい)

さてここで一旦休憩です。この休憩時間を利用して、取材で使っているENGカメラとモニターをつなげて、実際に生徒の皆さんにカメラを触ってもらいました。授業に協力してくれた報道映像部・工藤雄矢カメラマンが丁寧にレクチャーを行い、女子生徒が早速、遠いところにいる男子生徒の集団にズームして爆笑するなど、大盛り上がりでした。
生徒の皆さんからは「こんな重いのを担いで走り回ってるんだ」「操作するところがたくさんあって難しい」といった感想が聞かれました。

後半は、出前授業用に用意したダミー原稿を使って、記者がどんなことに気を付けて原稿を書いているのか、を考えてもらいました。生徒の皆さんを6つのグループに分けて、原稿の「おかしいところ」と「どう直したらいいか」を話し合い、発表してもらいました。

(1)精肉店の火事
記者が「ステーキを焼くようないい匂いがする」とリポートしたり、目撃者が「炎がきれいだった」と証言したり、原稿に「“幸い”ケガ人はいなかった」という表現があったりする原稿。
→ 実際に被災した人など、どんな人が聞いても不愉快にならない表現を心掛けること。
(2)選挙の告示
片方の候補は、長尺を割いて過去の実績を列挙し「素晴らしい仕事を成し遂げた」と紹介し、演説の音生かしも政策がよく分かる部分を使っているのに、もう片方の候補は「政治のヤミの部分を渡り歩いた」という表現で紹介し、演説も「どうか私に一票を」しか使わない…という不公平な原稿。
→ 原稿が選挙に影響を与えるかもしれないという怖さと、公平な表現の大切さ。
(3)交通事故
本当は路線バスの信号無視が原因なのに、原稿の途中までは、まるでトラックが暴走してきて突っ込んだかのような表現で書かれている原稿。
→ 言葉の選び方で印象がガラリと変わること。
(4)住吉大社が初詣でにぎわう
「ご利益がある」「運勢を確実に言い当てる」「病気が治る」「事故に絶対遭わない」など、実際どうなるか分からないものを言い切る原稿。
→ 「…と言い伝えられている」といった表現が必要なことや「神様」を信じていない人への配慮が必要。
(5)ゲームセンター詐欺
1文がひたすら長~い原稿。
→ 新聞と違って読み返すことができないので、耳で聞いて分かる長さ、流れなどに気をつけること。
(6)殺人未遂
「○○容疑者は…××さんの腹を刺しました」と、容疑者を犯人と決めつける原稿。
→ 裁判で有罪となるまでは言い切らず「疑いがもたれている」「罪に問われている」と表現していることや「推定無罪の原則」について基本のキを説明。

生徒の皆さんは「どう直したらいいか」については難しかったものの、違和感を抱くポイントはおおむね当たっていたようです。ニュース原稿は様々なことに気を遣って書かれているということを理解してくれたようでした。

最後に「将来記者になりたい人はいますか?」と改めて聞いてみました。すると、結果は1人。うーん、さすがにそう簡単には仕事の魅力は伝わらないか…予想に反して大変おとなしい生徒の皆さんだったので、恥ずかしがって手を挙げられなかっただけと信じることにします。
この先、進路の選択をするときに、この日の出前授業の一端を思い出してくれることを願ってやみません。

後日、代表の生徒さん2人と先生が関西テレビに来社して生徒の皆さんの感想を届けてくれました。そのいくつかを紹介します。

  • ・記者の人の仕事は現場に行って取材するだけだと思っていたので今回の授業を受けてびっくりしました。たくさんすることがあって仕事の難しさやその仕事にかける思いを学びました。
  • ・グループに分かれて意見を出し合ったり、実際に報道用のカメラを持たせていただいたり、とてもいい経験ができました。
  • ・これからニュースを見るときは記者の人たちがたくさんの時間をかけて作っているのだと意識しながら見ようと思った。
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