出前授業

出前授業@奈良県高等学校放送部・映像部・放送委員会 夏期合同研修会

2015年8月18日(火)

奈良県高等学校放送部・映像部・放送委員会(以下、奈高放)から夏期合同研修会アナウンス・朗読部門の研修の依頼を受け行ってきました。

【奈高放からの要望】

夏休みに奈良県下の高校の放送部部員や顧問の先生が集まって行う夏期合同研修会のアナウンス・朗読部門の研修をテレビ局のアナウンサーにお願いしたいという依頼があり、毛利八郎アナウンサーと中島めぐみアナウンサーが講師として参加しました。

研修内容に関する具体的な要望として、

(1)「アナウンサーについてのレクチャー」
・テレビ局のアナウンサーになろうと思った理由、就職ための訓練と努力、実際にアナウンサーになって…。
・人前で「読む」「話す」「気持ちを伝える」という難しさ、大切にしていること…。

(2)「アナウンス実習」
・テレビ局での「声を出す」実際の訓練(発声、発音、滑舌…など)。
・「原稿の読み」および「原稿のない喋り」の実際の訓練(コメント、リポート…など)があり、これらのレクチャー、実習を通して「生きた言葉」を習得したいとのことでした。

【研修内容】

参加者は1年生と2年生合わせて23名。その9割近くが女子生徒です。普段は校内放送や体育祭、文化祭での司会進行そして朗読コンテストなどが部活動の中心です。したがって台本や原稿を読む練習はよく積んでいるようで生徒のみなさんのスキルは高いものでした。

ただ、ある顧問の先生から体育祭や文化祭で台本や原稿のない緊急連絡などがあった場合、放送部員より演劇部員の方が相手に内容をうまく伝えるケースがよくあるという実例をだされ、今回朗読技術の上達だけではなくそこからもう一つレベルアップを目指し、「生きた言葉」で相手に「伝え」、そして「伝わる」ことの大切さと難しさをテーマにしたプログラムを共に考えました。

研修の様子1

さて、最初の授業は中島アナによるレクチャーです。人前で何かを発信すること、その発信することによる相手との一体感が好きだった中島アナ。研修を受けている生徒たちと同じ高校2年生の時にアナウンサーになりたい気持ちをもち、大学に入ってからますますアナウンサーになりたい気持ちを強く固め、目標に向かって進んでいった話に生徒たちは耳を傾けメモを取っています。将来アナウンサーになりたい生徒たちも何人かいるようで話を聞く顔は真剣そのものです。

話の中盤には「大学は自分の知的好奇心や探究心を満たせる場所だ!」というエール、アナウンサー面接の時パンダの物まねでスーツのまま床をごろごろ寝て回ったことなど、ちょっと面白い話に最初は少し押され気味だった生徒たちにも笑顔が見られるようになりました。

研修の様子2

後半のアナウンサーになってからの話では、日常の訓練と努力、仕事の楽しさ、難しさ、厳しさ、面白かったこと、失敗したことなどを自分の体験をもとに話を進めていきます。そして「何か失敗をしても発想の転換でプラス思考にしていく」、「なんといっても準備が大事、想定外のことに対しても何とか対処できるよういつも準備をしておく」などなど、いつも中島アナが心がけていることを熱く楽しく語りかけていきました。

生徒たちのなかには奈良県出身の中島アナの母校の後輩たちもいて、先輩の話に興味津々、最後には顧問の先生も含めみんなが中島ワールドに引き込まれていった感じでした。

研修の様子3

中島アナのレクチャーの後はアナウンス実習のプログラムに入ります。ここからは毛利アナも登場です。

最初に割箸を使った発声トレーニングから始めます。
割箸2本を奥歯で噛んで「あーあっ、あーあっ、あーあっ」と音程を下げて10回・上げて10回、声帯を開け閉じするトレーニング、割箸をタテに噛んだ状態で「オアオア・オエオエ・ウエウエ・ウイウイ」を3段階のスピードで行い、口輪筋を鍛えて明瞭な発声をするトレーニング、割箸2本をタテにし奥歯で噛んで発声する舌のトレーニング、割箸1本をタテにして太い方を前歯で噛んで発声する唇の運動トレーニングなど、今まで経験したことのないトレーニングに生徒たちはとまどい気味。割箸を落としてしまう生徒や咳き込む生徒もいて結構難しそうでした。

研修の様子4

次の実習は伝言ゲームです。
「500円持って5時にスーパーに行って、人参と大根、醤油とパンを買って来て。帰りにクリーニング屋に寄るのも忘れないで!」がお題。4、5人グループになりゲームをしますが、これが簡単なようでなかなか大変。スーパーが八百屋になったり、醤油がソースになったりと間違った内容を伝えるチームが続出。

なぜ「伝わらないか」、それは自分や相手の思い込みなどによる場合が多いこと、文章をそのまま覚えるのではなく、大事な要点だけは落とさずに相手に伝えることが一番大事など、いかに相手に「伝える」そして相手に「伝わる」ことが難しいかを学んだようでした。

研修の様子5

実習の最後は実際に放送された1分ニュースの映像を見てリポートをするプログラムです。
ニュースの項目は「奈良東大寺のお水取り籠たいまつ」。放送した実際の原稿は机に伏せたまま、生徒たちに映像は奈良東大寺「お水取り」の行事で最小限の情報だけを教えたあと映像を見ながら原稿を読むのではなく自分の言葉でリポートに挑戦です。

普段の部活動では映像に合わせて原稿を読む練習はしているようですが、いきなり原稿なしのリポートにはなかなか言葉が出ないうちに映像が終了したり、発声練習では大きな声でしっかりと話していた生徒も聞き取れないくらいの小さな声になったりとほぼ全員が悪戦苦闘。映像だけを見て原稿なし、自分の言葉でリポートし相手に伝えることがいかに難しいものかを実体験することになりました。

生徒たちのあと、最後は中島アナがお手本を見せることに。自分の言葉でよどみなくメリハリある気持ちのこもったリポートに驚き凄さを感じていました(あたりまえといえばそれまでですが…)。

研修の様子6

そして最後に毛利アナが、「誰にでもわかる言葉を使う、すぐにわかる言葉で速度を考えて話す、はっきりわかる言葉で話す、この3つに自分の気持ちを乗せ思いを込めて話すことで自分が"伝える"から相手に"伝わる"につながっていくこと」また「いい話し手はいい聞き手であること」をまとめの言葉として生徒たちに贈り長い研修は終わりました。

後日、奈高放の研修を担当された先生が生徒たちのアンケートを持って来社されました。
「あなたの期待にそうことができたか?」の問いには23名中21名が「期待通り」、「どちらかといえば期待通りの」の回答が、「明日からの放送部の活動で参考にできることや実行できることはあったか?」の問いには23名全員が「たくさんあった」、「いくらかあった」の回答が寄せられました。

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