【GWのおでかけに】あべのハルカス美術館で
「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」開催中!
2025/04/22

ここに、1枚の名刺があります。ベルギー出身のアーティスト、ジャン=ミッシェル・フォロン(1934-2005)が、実際に使用していたものです。そこには、FOLONの名前とともに、AGENCE DE VOYAGES IMAGINAIRES(空想旅行エージェンシー)と記されています。つまり、空想の旅への案内人を、自ら名乗っていたのです。
1970年、大阪万博の年に初来日したフォロン。その後、日本各地を巡回する個展が何度か開かれていますが、今回は30年ぶりの大回顧展、しかも再び大阪万博の年の開催です。雑誌やポスターなど、グラフィックアーティストとしてよく知られるフォロンですが、本展ではドローイング、水彩、版画、オブジェや彫刻、アニメーションにいたるまで、マルチアーティストとしてのフォロンの魅力を、約230点の作品によって余すところなく紹介します。詩的でユーモアに富み、やわらかな色彩と軽やかなタッチで表現されたフォロンの作品は、見る人を空想の旅へと連れ出してくれるとともに、この世界で起きているさまざまなことがらへの気づきをもたらす、豊かなメッセージ性をもそなえています。
そこに旅の道連れとして登場するのが、帽子にコート姿の「リトル・ハット・マン」。初期から晩年まで、フォロンの作品にしばしば登場する、謎の人物です。彼とともに、作品の中の世界を見回し、耳を澄ませてみましょう。
——シンプルだけど、豊か。
学生時代に受けた授業で、ドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエの“Less is more”(少ないほうがより豊かである)という格言に出会ったフォロン。この言葉は、彼の表現の根幹となっています。
墨や鉛筆のシンプルな線だけで描かれたフォロンのドローイングは、鋭い観察眼と、持ち前のユーモア、自由な想像力があいまって、みる人に新たな視点で世界と向き合うことを促してくれます。私たちはそのシンプルな線から、限りなく豊かなイメージを得ることができるでしょう。
——親しみやすいけれど、深い。
フォロンが描く人や風景などのモチーフは、私たちの日常の世界とつながっており、一見したところ親しみやすくわかりやすいのですが、実はそこに一筋縄ではいかない謎やメッセージが隠れていることが多いのです。気軽に入りこめる絵だけれど、実際に入ってみたらさまざまな気づきがあり、いつのまにか深く考えさせられる…。雑誌やポスターなどの仕事を通して、世界中の人々に、一瞬にして大切なことを伝えてきたフォロンならではの妙技といえるでしょう。
——詩的だけれど、現実から逃げない。
「フォロンは、頭は雲の中だけれど、足はしっかりと地に着いた詩人でした」。フォロン財団のアンゲルロット理事長はこう語ります。軽やかなタッチとやわらかな色彩でみる人を包み込むフォロンの作品は、私たちの想像力を解き放ち、思い思いの空想旅行へと誘います。しかしそこに表されているのは絵空事ではなく、世界の現実です。ときには悲しみや怒りすらおぼえずにいられないような…。でも、作品に込められたフォロンのメッセージは、あくまでポジティブな未来を切りひらくためのもの。世界の美しさに気づき、それを失うまいとする、希望のメッセージでもあるのです。
フォロンが生み出した作品世界をまるで空想旅行をするような気分で、世代を問わず楽しめる展覧会です。
【ジュニアガイドで楽しく鑑賞!】
中学生以下のお子さまには、鑑賞のヒントが書かれたジュニアガイドをプレゼント中!
(美術館入口にて先着順にお渡しします。なくなり次第終了)
過去最大級の回顧展「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」は6月22日(日)まであべのハルカス美術館にて開催中!ゴールデンウィークのお出かけに、“空想旅行”はいかがですか?想像力をカバンいっぱいに詰めこんだら、いざ、出発です!
作品はすべてフォロン財団蔵 ©Fondation Folon, ADAGP/Paris,2024-2025
イベントに関する詳細はこちら→https://www.ktv.jp/event/folon/
■「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」
会期/2025年4月5日(土)~6月22日(日)
休館日/2025年5月12日(月)
開館時間/火~金 10:00~20:00、月土日祝 10:00~18:00 ※入館は閉館30分前まで
会場/あべのハルカス美術館 <〒545-6016 大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F>
大阪展HP:https://www.ktv.jp/event/folon/
展覧会公式HP:https://ourfolon.jp/