25キロ過ぎ…自分で仕掛ける「勇気」
【2018年・大阪国際女子マラソン】

アツい実況でレースに華を添えてきた関西テレビのアナウンサーたち。
心に残る思い出の実況や名シーンをお届けします。
前田穂南選手

25キロ過ぎ…自ら「仕掛けた」前田選手

関西テレビアナウンサーの石田一洋です。
私が振り返る「大阪国際女子マラソン 思い出のシーン」は、2018年、天満屋・前田穂南選手、25キロ過ぎでのスパートです。

この前田選手のスパートがなんで印象に残っているのかと言いますと、その大会の前までの日本女子マラソン界の一つの課題というのが、「自分で仕掛ける」というレースだったんですね。
前田穂南選手
自分でレースを動かせる日本の女子ランナーがなかなかいなかったんです。
ただ、途中で仕掛けるというのは中々勇気がいるし、自分の後半のスタミナを考えるとできないんですけれども、この大会で前田選手は見事にやってのけたんですね。

「前田さんの勇気が素晴らしい」

(実況)
『…お、そしてここで、前田選手がちょっと前に出てきましたね。』
前田穂南選手
(増田明美)
『いいですね~。』

(高橋尚子)
『きましたね。』

(増田明美)
『チャレンジするかな?』

(実況)
『そしてペースメーカーの前に出ました これを見て、ラーマスサが「いや、私が引っ張る」ということで、再び前に出てきていますが、増田さん、この動きどうみますか?』
前田穂南選手
(増田明美)
『いいですね、この前田穂南さんの勇気が素晴らしい。』

(実況)
『さぁペースメーカーをどんどん引き離していきます、高橋さん、これはペースメーカーが衰えたというよりも、前田が出てきてますよね!?』
前田穂南選手
(高橋)
『そうですね、これがチャレンジなんですね。先ほど増田さんもおっしゃられましたけれども、“意志”を持っている、だから怖いものなくチャレンジする…といった部分がこういった部分につながるんですよね。すごくいい姿だと思います。』

(増田)
『いいじゃない!』

(実況)
『21歳、天満屋の新エース候補、前田穂南がここで単独で前に出ました。』
前田穂南選手

監督も指示した「仕掛けるスパート」

実は、天満屋の武冨監督が前田選手に、ぜひ途中で仕掛けるというのをやってみろと指示を与えていたんですね。

そして25キロ過ぎに土佐堀通りに入ってくるんですけれども…入った瞬間にドン!といきなり前田選手が抜けてきたので『うぉ!ホントにスパートした!』と思って…。
前田穂南選手
いやこれはすごいと思い、鳥肌が立ったのを今でも覚えています。
監督の指示があったにせよ、それを見事にやってのけた前田穂南選手の、あの時の勇気っていうのは、ほんとにすごいなぁと思いました。
前田穂南選手
MGC(マラソン・グランドチャンピオンシップ)の時にも、ドン!と自分のペースで最初から引っ張って、飛び出していったじゃないですか。あの飛び出していく勇気っていうのは、2018年大会の大阪でチャレンジしたことによって前田選手に自信が生まれている、大きな経験になったんじゃないかなぁという風に推測しています。