去年7月にレジ袋が有料化されましたが、これによって3月には3割程しかなかったレジ袋の辞退率が、11月には7割以上にアップしました(環境省調べ)。
今、環境に優しく、そしてお得に利用できる新たな買い物サービスが関西でも広がっています。
その最前線を取材しました。
■コストかけてでも必要なアクションを
レジ袋の有料化から1年あまり。大阪市内のスーパー『フレッシュマーケット アオイ 昭和町店』を覗いてみると…。
【薄田ジュリアキャスター】
「皆さん持参されたマイバッグを使われていますね。カバンの中に商品を詰めています」
すっかりお馴染みとなったエコバッグ。
この店では、レジ袋が有料化される前まで持参する人は1割にも満たなかったそうですが、今では8割以上になったといいます。
最近では、商品自体にも脱プラスチックの流れが加速しています。
これまで包装に使っていたプラスチックトレーを廃止して、9月にリニューアルした『日清のラーメン屋さんシリーズ』。
生麺の品質を保つ独自の技術を開発し、賞味期限を長くすることで食品ロス削減にもつながるエコをテーマにしたラーメンです。
また8月には、J-オイルミルズから、紙パックを採用した食用油も登場。
酸化を防ぐ独自の技術で賞味期限も1年から2年と倍に延びました。
世界的なコーヒーチェーン『スターバックス』では、冷たいドリンクなどの容器やストローを紙製に変更し、プラスチックの年間使用量をカップで約6700万杯分、ストローで約2億本分、削減するとしています。
【スターバックス サプライチェーン本部 普川玲さん】
「紙ストローにする決断は非常に勇気がいることだったんですが、環境への投資という気持ちでコストをかけてでも必要なアクションをやっていこうと進めています」
■エコな取り組みする店を“マップ化”
広がる脱プラの取り組み。
買い物のゴミを無理なく減らし、便利でお得に利用できるサービスが今次々と生まれています。
【薄田キャスター】
「スマホやパソコンがあれば誰でも使えるというこちらの地図。ここにはゴミを出さずに買い物ができるお店の情報などがまとめられているそうです」
環境団体のグリーンピースが今年5月から公開している「グッバイ・ウェイスト」。
エコな取り組みをしている店をマップ化し、現在、全国で約1200店舗が登録されています。
関西テレビから一番近い所にあったのが、大阪・中崎町にある「WHY KNOT」。
日本やオーストラリアの雑貨を販売しながら店内でコーヒーの提供もしています。
【WHY KNOT 店長 前川敦孝さん】
「僕自身がオーストラリアに住んでいて、ゴミとか環境問題を知ったことをきっかけに『ストージョ』という折りたためるタンブラーを作って、例えばこれを使って当店でコーヒーを飲んでもらうと毎回100円引きにするとかでゴミを減らす取り組みをしています。自分の持っているタンブラーを持ち込んでもらうことも多くて、(客の)半分くらいマイカップを使う方が増えています」
ほかにも、オリジナルのエコバッグや天然素材を使ったシャンプーやキャンドルなど環境を意識した商品を扱っていて、中には『天然のラップ』も。
天然のミツロウでオーガニックコットンに浸けて、洗って何度でも使えるラップ。
半年から1年使えるということです。
ふらっと立ち寄ったことで思わぬ発見も…。
店によっては容器の持参などで割引サービスもあり、気軽にエコな取り組みを知るきっかけになりそうです。
【グリーンピース・ジャパン 儀同千弥さん】
「関心を持つきっかけとかタイミングって人それぞれだと思うんですけど、なるべく楽しく簡単にというのをテーマに作ったマップなので、このマップでプラスチックごみを減らしていくことに参加してもらえたらとても嬉しいなと思います」
■容器のリユースから量り売りまで
また、ゴミを出さない新たなオンラインショッピングの実験が8月から始まっています。
アメリカのベンチャー企業が開発した「LOOP」という循環型の買い物サービスです。
【ループジャパン アジア太平洋統括責任者 エリック・カワバタさん】
「消費者に使い捨てだけではなくて、再利用のシステムという選択肢を提供したいんです」
サービスの仕組みは、普段プラスチックの容器に入っている調味料や日用品を専用のステンレスやガラスなどの容器で販売。
容器は回収して洗浄し、その後メーカーが中身を補充して再び販売するというものです。
サービスには国内の大手メーカーが続々と参加していて、実験的に関東圏のイオンの一部店舗での販売もスタート。
来年には関西にも展開できるよう進めているそうです。
【ループジャパン エリック・カワバタさん】
「日本は島国でもともと資源があまりない国なので、昔から物を無駄にすることを嫌います。リユース(再利用)のシステムは気に入っていただけるかなと思ってます」
一方、今年7月に京都市内にオープンしたのが、ゴミを出さない「ゼロウェイスト」を目指した量り売り専門のスーパー『斗々屋』。
新鮮な野菜をはじめ、乾物や調味料などの食料品のほか、化粧品などの日用品約700種類の商品を販売しています。
お店にはレジ袋が用意されておらず、個別包装もされていません。
そのため、利用者は自宅から入れ物を持参するか、返却すればお金が返ってくるデポジット式の容器を使います。
売り場では、自分が欲しい商品を欲しい分だけ容器に入れ、重さに応じた金額が印刷されたラベルを貼ってレジへ。
固形の食品から液体の調味料まで、20g以上なら好きな分だけ買うことができます。
さらに、この店ではゴミを出さないため、スーパーで売れ残った食材は惣菜にして販売するか、夜に営業するレストラン(緊急事態宣言により休業中)の料理として提供。
それでも余った場合は、真空の瓶詰めにして長期保存しています。
包装なしで商品を買うことでゴミを減らすことができるほか、生産者の作業の負担も減らせるといい、その結果、値段を安く抑えるというメリットにもつながっているそうです。
【斗々屋京都本店 店長 関つぐみさん】
「私たちが量り売りスーパーマーケットのモデルになれればいいなと思ってますし、簡単に難しくなく量り売りしていただいて、ゴミを出さない最初の生活のファーストステップを踏んでいただければと思っています」
(カンテレ9月21日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)