岩手県にある人口およそ3000人の田野畑村。NHK・朝の連続テレビ小説『あまちゃん』のロケ地にもなった村です。
そんな村に1月、“金の延べ棒120本”が寄付されました。
【田野畑村 佐々木靖村長】
「大きな大きなお年玉をいただいたと思ってますので、感謝したいと思っています」
なんともありがたい出来事は1月30日、寄付をしたいという申し出があり、村長と職員2人が訪ねると…。
【寄付した人】
「村のために使ってほしい」
受け取った風呂敷を開けてみると…。
【田野畑村 佐々木晴村長】
「初めて風呂敷を取った時、富士山のように金の延べ棒が重ねてありまして、いや~びっくりしまして…。まばゆい富士山でございました」
寄付した人は匿名のため誰なのかは明かされていませんが、村にゆかりのある人物とのことです。
村長たちは寄付した本人立ち会いのもと、東京の貴金属店で金を売却すると、総額なんと5億2824万円に。
村では今回の寄付を貯金にあたる基金として積み立て、子育てや産業支援に使いたいとしています。
【村の女性】
「びっくりして、こういう方がいらっしゃるんだと思って」
【村の男性】
「匿名だって聞いたので、すごくカッコいいことする人がいるなと」
こうした驚きの寄付は他の地域でも…。
2月16日、北海道・美唄市役所の窓口に60代とみられる女性が訪れ、匿名で現金2000万円を寄付。
また、兵庫県西宮市にも1月、「桜の名所の保全に活用してほしい」と市民から匿名で3000万円が寄付されました。市は桜の名所・夙川の土壌改良や桜の植え替えの費用に充てる方針です。
色んな寄付がありますが、実は寄付には“メリット”も…。寄付にまつわる法律について菊地幸夫弁護士に伺います。
【菊地弁護士】
「自治体への寄付は、お金やランドセルなどのモノ、今回のような金塊、あるいは土地・建物といった不動産でも可能です。ただし、自治体側が受け取るかどうかは別です。例えば物件によっては管理に費用がかかってしまって、『ちょっとこれは…』というケースもあるので気を付けて下さい。
そして『これのために使って下さい』というリクエストに自治体が拘束されるかというと、使い道の指定を守る義務はありません。契約で『このために』というような書面などを作れば別なんですけど、例えば予算をさらに継ぎ足さないとそれが出来ないとかになると、予算の都合もあるので寄付金の使い道は自治体の裁量となります。
また、全て寄付した人の言う通りとなると自治体はお金持ちの言いなりになってしまうということから自治体に一定の権限が与えられています。
一方、自治体などへの寄付は特定寄付金と言い、所得税や住民税の控除、いわゆる『所得控除』が受けられるメリットがあります。ただこれは基本的に国、自治体、特定の公益法人など、限られた寄付先でないとダメですよとなっています。しかもちゃんと領収書をもらって、確定申告で手続きが必要となりますので、ご注意いただければと思います」
――我々が寄付する際の注意点と言うと、どんなことでしょうか?
【菊地弁護士】
「中には善意を悪用するというケースもありまして、しっかり見極めをすることが必要な時代でございます。
実例として、ウクライナ情勢に便乗したニセの義援金サイトが作られ、騙されたケースがあると国民生活センターが発表しています。これは詐欺ということで、当然犯罪ですから警察へ届け出て、そして警察が捜査してくれてお金も返ってくる…かというと、そう簡単には行かないんですね。
仮に犯人が見つかったとしても、向こうにお金がなければ難しいです。ましてや相手が特定できないというケースもありますので、本当にそういう団体なのかよく見極めて慎重に寄付をしてください。例えば『電話だけでお願い!』というような怪しいところは慎重に構えた方がいいかもしれませんね。人を疑うのは悲しいですが、そういう時代だと思います」
(関西テレビ2月22日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)