人に優しく進化する「なんば」 戎橋筋と千日前通の交差点には大阪初「国産新型信号機」があった 【兵動大樹の今昔さんぽ 関西テレビ「newsランナー」】 2023年12月29日
1枚の写真から街を再発見!兵動大樹の今昔さんぽ
■“グリコの看板”や“飛び込み”で知られる大阪「戎橋」からスタート
【兵動さん】「道頓堀、戎(えびす)橋の上です。活気あふれる所からスタートです。こちらにはグリコの看板、皆さんが写真を撮りに来る名物ですね。そしてこの橋は、阪神優勝の時に『飛び込んだらダメ』ということで、警察官がずらっと並んだ橋でもあります」
どこで撮影されたか探し当てる今回の写真は、1939年(昭和14年)ごろ、大阪市内で撮影された写真です。実はこの写真に“大阪で初めてのモノ”が写っているんです。
【兵動さん】「何これ。“大阪で初めてのモノ”が写っている?路面電車の線路がある。それから、お店があって『ツルマル』さんとか『つたや』だって。レンタルのTSUTAYAさんの元祖じゃないよね。情報量が多すぎてよく分からん。この当時のこと知っている人、歩いているか?」
今回の写真が商店街だと目星をつけた兵動さん。戎橋筋商店街で聞き込みをします。
■写真にある“大阪で初めてのモノ”? 調査の前に「シューアイス」いただきます
戎橋筋商店街を南へ歩いていくと、
【兵動さん】「『ヒロタ』のシュークリームや。創業100周年やって。『newsランナー』という番組ですが、ちょっといいですか。(ショーケースを見て)懐かしいな、このシュークリーム。でも僕、初めてシューアイスを食べた時、衝撃受けたんですよ。シューアイスあります?」
【洋菓子のヒロタ 大阪・えびすばし店 店員】「こちらです」
【兵動さん】「うわ、シューアイスや。親戚のおばちゃんがよう買うてきてくれた。バニラいっとこう。(店員さんに)同世代って勝手に決めつけたらあかんけど、僕ら子供のころ、ヒロタのシューアイス、よく食べましたよね?」
【店員】「そうです。みんな知ってます。ヒロタは定番ですよね。(こんなおいしいもんが世の中にあるんか思った世代?)そうです」
【兵動さん】「コロナ禍でお店閉めてませんでした?」
【店員】「3年前(2020年8月)、コロナで撤退しまして。2023年10月1日に、この場所で再オープンしたんです。100周年になるんで」
【兵動さん】「かわいいグッズもある。そんで、今日は特別に許可してもらって、店内でシューアイスをいただきます。懐かしいわ。うまい。昔と何も変わってへん。変わったのは俺の歯がしみるってこと。子供の頃はしみなかった」
■聞き込みをしながら商店街を抜けると きれいになった「なんば広場」
聞き込みを続けていくと、写っている“大阪初のモノ”は、「つたや」「チンドン屋さん」「信号機」「街灯」ではないかと、いろいろな候補があがりました。
いったん商店街を抜けて、なんばの高島屋前までやってくると、以前は道路だったところが、「なんば広場」という、歩行者が楽しめる空間になっていました。
ここで兵動さん、昔からやっているお店で話を聞き逃している気がして、戎橋筋商店街に引き返します。
【兵動さん】「ここの服屋さん、ヤナギヤさんは古いよ。俺が若手のころからある。すみません、何年ぐらいやってはるんですか?」
【ヤナギヤ】「創業はうちの主人のお父さんやから、昭和元年なんです]
【ヤナギヤ】「お父さんが昭和9年に撮った8ミリがあるんですよ」
昭和9年、ヤナギヤさんのご家族が店先で撮った貴重なフィルム映像を見せてもらいました。商店街のにぎわいは、昔も今も変わらないようです。ここで昭和14年ごろ撮影の写真を見てもらいます。
【兵動さん】「この中に大阪で初めてのモノが写っているというんです」
【ヤナギヤ】「分かれへんわ」
【ヤナギヤ】「この商店街のことやったら、事務所があるんで、事務所の人が詳しいかもしれない」
■商店街のことに詳しい組合の方「大阪初の信号機があった」
ヤナギヤさんでも写真のことは分かりませんでしたが、商店街の組合に行けば分かるのではないかと教えてもらい、行ってみることに。
【戎橋筋商店街振興組合 事務局長 山本英夫さん】「看板とか写ってますね。うちの商店街であれば、地図で分かるかも。10年前に商店街でまとめた、昭和15年当時の商店街地図があるんです。(昔の地図と写真を見比べて)『つたや』、そして前が大きな通りになっている。ここにありますね」
【兵動さん】「『つたや傘店』。傘屋さんなんや。そんで大きな通り、千日前通に路面電車が走っていた」
【山本英夫さん】「そうです。『市電戎橋筋停留所』って書いてますね」
【兵動さん】「この写真の中に大阪で初めてのモノが写っているっていうんですけど」
【山本英夫さん】「私どもの知っている範囲では、『信号機』。大阪市内で、初めての、国産の、新式の信号機がついた場所がこの交差点だと聞いたことがあります」
■交通量増大に対応するため当時最新式の信号機が設置されたという
戎橋筋商店街と千日前通の交差点へ行ってみます。
【兵動さん】「写真の場所はたぶんここですが、何でここに信号機がついたんですか?」
【山本英夫さん】「戎橋筋という筋は、なんばと道頓堀を結んでいる。ここはその中間地点にありまして、ものすごい人でにぎわった所です。今も土日は約10万人が歩いています」
山本さんによると、ずっと昔、千日前通はそんなに広くなかったということで、明治時代に大火事があり、その後、延焼防止のため道路が拡幅されました。千日前通の拡幅によって、車や市電などで交通量が増え、人も多かったので、事故などがあったと思われるということです。
【山本英夫さん】「昔、信号機は交差点の真ん中に付いていたらしいです。でも真ん中に付いていると、車の通行に支障があって問題があったらしいです。当時最新の(側柱式)信号機は車に支障がない。それをここに付けてみたらうまくいったので、大阪市内の全部の信号機がこれに替わったということです」
【山本英夫さん】「今、地域の皆さんと大阪市などで、『なんば広場』や『御堂筋』とか、人の空間を広げています。戎橋筋と千日前通の交差点でも、歩道を広げる工事をしています。南北に人が渡りやすくなり、回遊しやすくなる。広げた歩道に観光案内サインも設置していただく」
【兵動さん】「来た人に優しい道になるってことですね」
【兵動さん】「では、はいチーズ。国産信号機の大阪第一号がここに立っていたというのが分かりました。商店街では、平日も、土日も、皆さんをお待ちしていますということです」
(関西テレビ「newsランナー」 2023年12月22日放送)