今年1月、北海道・札幌市で資源ごみの中からあるものが見つかりました。それは…現金1000万円。
持ち主が見つからなければ警察に届け出た札幌市のものとなりますが、今この1000万円をめぐって「自分が持ち主だ」という警察への問い合わせが続出しているのです。その数なんと12件(2月28日時点)。
<申し出の例>
「北海道旅行中に1000万円をなくした」
「ポケットから現金をなくした」
「家のクローゼットに現金1000万円をしまっていたけど見当たらない。ゴミとして捨ててしまったかも」
勘違いなのか、それともウソをついているのか…。真偽はわかりませんが、警察によると現時点で持ち主の特定につながる情報はないということです。
北海道では、2022年1年間で計約7億円の現金が拾われていますが、なぜか「なくした」という申し出はそれ以上にあったということです。
「1000万円は自分のもの」というウソはさすがに罪になるのでしょうか。“ウソ”にまつわる法律について、菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「だましてやろう現金を得よう…という場合には、動くだけで罪になってしまう可能性があります。相手をだまして金品を奪うというのは詐欺罪です。実はこの詐欺罪というのは実際に金品をとらなくても、そのだまし始めた段階で詐欺未遂罪、まだ完成していない段階でも罪として処罰されます。
ですから今回の落とし物の件も、本当になくされた方もいると思いますが、なくしていないのに『よし、これを何とか自分のものにしてやろう』ということでウソをつくと、今の段階で詐欺未遂罪となる可能性があります」
――今回で言いますと、「自分が持ち主だ」という申し出が現時点で12件あるものの、警察が「持ち主の特定につながる情報はない」としているということは、それらはウソということになるのでしょうか?
菊地弁護士:
「本当になくされて今回の遺失物とは場所が違うとか、状況が異なるとか。正直な人もいるとは思いますが、もしかすると…ということも考えられますね」
――ウソに関しては、私たちも注意しなければならないことがあるということですが…?
菊地弁護士:
「“バレなきゃOK”が、取り返しのつかない事態になってしまうこともあります。
例えば、SNSで『あの店は犯罪者だらけ』などとウソの口コミをした場合は、店の経済的な信用にも関わってくるということで信用毀損罪などに問われかねません。
次に、ある男性が配偶者には『友達と会う』と言って不倫相手と会い、またその不倫相手には『独身だ』と伝えているという場合を考えてみます。まず奥さんに対してウソをついてバレてしまったら慰謝料請求の対象になり得ます。また不倫相手もだましていますが、少しのウソならば『それくらい気付いて下さいよ』ということになるかもしれませんが、男性が巧妙にだまして精神的な苦痛を加えたとなると、不倫相手からも慰謝料ということでW慰謝料となってしまうことも考えられます。
最後に、お店などでお釣りを多くもらってしまった場合ですが、これは店の人が勘違いしているわけです。その勘違いを知っていながら黙っているということは、勘違いを維持・促進させるという意味で、『それは詐欺と同じだ』という評価になるかもしれませんのでご注意ください」
(関西テレビ3月1日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)