大阪市港区にある「天然温泉テルメ龍宮」。
昔ながらの町の銭湯ですが、大人490円の入浴料で内風呂にある「温泉」と「源泉かけ流しの天然温泉」の露天風呂に入ることができます。
ところで、街中にある施設ですがホンモノの「温泉」なのでしょうか…。
天然温泉 テルメ龍宮 宮下守人店主:
「ほんまです(笑)。分かると思いますよ、入られたら」
温泉に入った人は…。
男性:
「間違いない、体がホカホカするもん」
女性:
「(普通の風呂と)全然違う。ここのお風呂入ると、朝起きるまで変な話トイレも行かない」(※個人の感想です)
この銭湯は、れっきとした「温泉」。実はここを見ればホンモノと分かるポイントがあります。
宮下守人店主:
「一番簡単なのは、この『温泉分析書』を見ていただいたら。ここに泉温やphとかも全部出ているんです」
本物の証「温泉分析書」。温泉と名乗るためには、10年に1度、泉質などを細かく調べて都道府県に提出し許可が必要となっているのです。もちろん調査には、お金もかかります。
宮下店主:
「それが(調査に)30万円ほどかかるんです…」
このほか温泉の協会などが認めた認定書があることや、お湯に強いぬめりや匂いがあることも温泉のポイントだそうです。
宮下店主:
「ここに井戸がありまして1500m掘っている状態なんです」
温泉は35年ほど前に、宮下さんの父親が掘削し地下1500mからくみ上げていて、露天風呂はその源泉から直接かけ流し、100パーセントの天然温泉です。
しかし今、ここで異変が…。
宮下店主:
「東北の震災があった頃から泉質が変わりまして、温度も10度ほど落ちました」
自然現象で変化するので、温泉は維持するのも大変です。それでも…。
宮下店主:
「温泉は親父の念願であったこともあるし、そのまま続けたいです。ほんまの温泉ですから来てほしいですし、堪能してほしいです」
今回は「温泉」にまつわる法律について、菊地幸夫弁護士に伺います。
――そもそも温泉の定義というのは、法律上どのようになっているのでしょうか?
菊地弁護士:
「なんでもかんでも温泉になるわけではなく、温泉法という法律に規定されていて、温度が25度以上または指定された19種類の成分のうち1つ以上を一定量以上含む、という定義に当てはまれば温泉となります」
――ということは、成分要件に関係なく「温度が25度以上ある」ということだけでも温泉と名乗れるのでしょうか?
菊地弁護士:
「そうですね。また温泉施設などを営業するには掲示義務と言って、温度や成分以外にも、温度を上げているか、水を加えているか、循環させているか、消毒されているかなどや、なぜそうしているかの理由の掲示などが義務付けられています。
あるいは入浴の際や飲む際に気を付けること、また例えば肌が過敏な方や病気の方など入浴を控えるべき症状ですね、そうした注意点があれば掲示してくださいとなっています」
――例えば、加温されているのに「100%源泉」ですとか、効能として「神経痛に効く」などと表示されている場合は問題があるのでしょうか?
菊地弁護士:
「そうした表示や、温泉の定義に当てはまらないのに温泉と名乗る行為などは、要するに虚偽表示ですね。食品などでもよくある景品表示法違反となる場合がありますので、表示には注意していただきたいと思います。
あと、もちろん体のために…と思って温泉に入る人もいると思いますが、『〇〇の症状に効く』というのは厳密に判断されますので、そうでない場合は薬機法という法律に違反するということにもなりかねません。『効く』というのはなかなか難しい表現だと思います」
(関西テレビ1月25日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)