寒いこの季節、恋しくなるのが「温泉」。しかし今、全国の温泉で異変が起きているのです。
(リポート)
「もうぬるいというより、水風呂に入っている感じがしますね…」
青森県弘前市の山間にある濁り湯が人気の「嶽温泉郷」。
田澤旅館 田澤範雄さん:
「40度だ…ぬるい」
今、源泉の温度が下がり、ほとんどの温泉施設が休業状態に陥っています。
街では4カ所の源泉から温泉を引いていますが、最も熱い80度の源泉が55度に。さらに、温泉の成分の割合も変わり、浴槽やタイルが赤茶色に変色する事態も…。
嶽温泉旅館組合 小嶋庸平さん:
「寒い時期に入ると湯冷めします。だからお客さんにはお勧めできない状況です」
詳しい原因は不明で、復旧のめどもたっていません。
異変は全国屈指の人気温泉街でも…。
(リポート)
「水色の水面に湯気がモクモクと立ち込めています」
源泉の数・湧出量ともに日本一を誇る大分県の「別府温泉」。
ただ、地元の人たちが利用する温泉では…。
天満温泉組合 阿佐幸治組合長:
「お湯が捨てるほどあったんですけど、ここ2、3年のうちに湯量が減りまして」
100度近い温泉が自然に湧き出ていた温泉ですが、2006年に止まってしまったそうです。
阿佐組合長:
「別府は昔から有名な温泉ですから(お湯が)なくなると困るんですけどね。困るんですけど、こればかりはもう自然の恵みですから、何とも言えませんね」
このほか、秋田県や北海道の温泉地でも湯の量が減ったり、温度が下がったりする現象が起きています。
日本人が大好きな温泉は、「法律」で守れるのでしょうか。温泉にまつわる法律について菊地幸夫弁護士に伺います。
――日本温泉科学会の益子保事務局長によりますと、古い源泉の湧出量が減る一方で、温泉の需要が増えて掘る人も増えているということで、需給のバランスが合わず、1つの温泉あたりの湯量も減っていくという悪循環となっているようですね。
菊地弁護士:
「温泉は法律で守るべし、と考えます。温泉法という法律がありまして、既に枯渇してきた温泉を法律で何とか…ということはなかなか難しいと思いますが、自治体は温泉源を守るために必要がある場合には、温泉を採取している事業者に対して、採取の制限を命じることができることになっています。
ただ、実際に営業しているお宿などに対して『お湯引くのをやめてください』と言うのは最終手段でしかないです。他には “新たな掘削”についてですね。これには許可が必要なんですけど、それをおさえることも自治体にはできるので、こうした方法でも対処していくことにもなろうかと思います」
――新しく温泉を掘りたいと思っても、都道府県からストップがかかるようなことも…。
菊地弁護士:
「あり得るかもしれませんね」
(関西テレビ1月25日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)