女性:
「店の中で触られました、お尻」
別の女性:
「流れるプールとかで、お尻“ギュッ”ってされたりとかはあります」
薄着になる今の時期、増えるのは痴漢による被害。各地で痴漢撲滅を訴えるキャンペーンが行われていますが、今や、5人に1人が被害に遭っている現状も(セコム調べ)。
女性:
「(電車で)こしょばいなーって思って起きたら、足をスリスリされてて。それ(痴漢)で訴えたとかいう話は聞いたことない、結局負けてしまうイメージや」
許されない卑劣な行為。痴漢の被害に遭ったらどうすべきなのか、また“触り方”で罪の重さは変わるのか、菊地幸夫弁護士に伺います。
菊地弁護士:
「痴漢や盗撮というのは、私たちの身近にある性犯罪ですよね。ところが非常に数が多いにもかかわらず、“痴漢罪”という犯罪はないんです。他の罪を使って検挙していて、刑の重さに結構幅があります。そういう対処の仕方が現状です。
まず迷惑防止条例違反。これは各自治体などが作っている法令で、もう一つは強制わいせつ罪。この2つは刑が違うんですね。条例は自治体によって異なりますが、例えば6カ月以下の懲役、または50万円以下の罰金という程度。それが強制わいせつ罪になると6カ月以上10年以下の懲役となります。
これをどう使い分けているかというと、条例のほうでは下着の上から例えばお尻を触る、強制わいせつでは下着の中に手を入れて直接触る。大雑把に言うとこういう使い分けがされています」
――被害の証明も難しそうですね。
菊地弁護士:
「これは被害者の供述が第一ですね。被害者はどういう風に触られているか分かりますから」
――福岡県警の調査では痴漢被害に遭った人の92.1%が警察に届け出ていないと回答しています。理由の多くは「犯人が捕まらないと思った」「恥ずかしい」ということでした。
菊地弁護士:
「証拠には色々ありますが、被害者の声が重要な証拠になる場合もあります。
基本的な証拠としましては、まず目撃者の証言が重要です。ですから痴漢被害に遭われた方は『すいません、今どなたか見ていた方はいらっしゃいませんか?』などと確認することが必要となります。
あるいは、痴漢の手を引っかいた、袖のセーターをむしったという場合は、爪の間の皮膚片でDNAを調べたり繊維片を調べたりということができます。また今は電車の中でも防犯カメラがついているものもありますので、その映像などの証拠を駆使して、あなたが犯人だと追い詰めるということになります。
それらの証拠がない場合には、『私が被害を受けました』という被害者の供述だけでも有罪にならないとは限りません。被害者の方はけっして諦めないでください。
一方、男性の方もそのような変な疑いを持たれないよう、両手でつり革をつかむとか、色々防止策はあると思いますので、気を付けて頂ければと思います」
(関西テレビ7月20日放送『報道ランナー』内「菊地弁護士のニュースジャッジ」より)