大阪・関西万博まで、まもなく半年となりました。 会場は、今どうなっているのでしょうか?
現場から、関西テレビ・秦令欧奈アナウンサーがお伝えします。
【秦令欧奈アナウンサー】 万博のシンボル・大屋根『リング』の上からお伝えします。万博までまもなく半年です。特別ゲストの万博公式キャラクター「ミャクミャク」も一緒にお伝えします。
万博の準備は『順調だ』とミャクミャクが言っています。開催が楽しみになってきました。 万博会場の中はどうなっているのでしょうか。リングの内側を見てみましょう。 外観が見えてきたパビリオンもありますが、まだ骨組みの状態のパビリオンが非常に多い印象です。 関西テレビの調べでは、およそ40の「タイプA」パビリオンのうち、少なくとも半数が、10月中旬の外観完成に間に合わない見通しということです。
【秦令欧奈アナウンサー】もちろんでき上がりつつあるエリアもあり、まん中あたりに森のように見えるところが「静けさの森」エリアです。11日、メディアに初公開されたので、私も足を踏み入れることができました。
全体の広さは甲子園球場のおよそ半分ほどで、万博記念公園や鶴見緑地などで捨てられる予定だった間伐材などが植えられた森ということです。
開催期間の4月から10月は陽射しが強い時期ですが、日よけや休憩スペースとして有効活用ができそうです。 工事をしている中ではありますが、森の中には鳥や虫も多くみられて、森林の中にいるような感覚になりました。
さらに外観工事の完成第一号の「三菱未来館」も中に入らせていただきました。内装はまだまだ完成というわけではありませんでしたが、だんだんと形が見えてきまして、ワクワクするような空間が広がっていました。
一方で、各国が独自で作るパビリオンの完成が間に合うか、心配されている状況もあります。 交代制で24時間工事をしている国もあるそうです。 心待ちにしている人や遅れている工事を少しでも早めようとする海外パビリオンの現状を取材しました。
【石田龍生さん】「ミシン糸に色をつけて、貼っていったんです。1本ずつ」
奈良県橿原市に住む、石田龍生さん(60)。 作っているのは、1000分の1の大きさで再現した、万博会場の模型です。
【石田龍生さん】「リングは全部、牛乳パックなんですよ。牛乳パックを1ミリサイズにカットして、各サイズごとに切っていって。これを作るだけで、ひと月超えてました」
これまでにも、甲子園球場や、ドジャー・スタジアム…。
5年前から趣味で模型を作ってきました。 材料は牛乳パックや色画用紙など、身近なものばかり。 世界的なイベントの万博も気合が入ります。
【石田龍生さん】「一番難儀やったのは、西陣織のパビリオン。(柄は)実際のパビリオンの写真を、縮尺1000の1まで下げて付けています」
丸い形が特徴的なスイスや、筒形の塔が並ぶドイツのパビリオンなど、発表されているイメージ図を元に作りました。
【石田龍生さん】「海外の(パビリオン)も、ほとんどができてない状態ですから。まだこれからやと思います。あれ、これちょっと形が相当違うとなったら、もう一回やるわとなるかも分かりません」
石田さんの模型の完成にはまだまだ時間がかかりそうですが、実際の工事現場はいま、どんな状況なのでしょうか。
万博の「華」。各国が独自の建物を建てる「タイプA」は、44のパビリオンで工事が始まっていました。 一方で、まだ2つのパビリオンの施工業者が決まっていません。
そんな中、急ピッチで工事が進められているパビリオンの内部に、関西テレビ・吉原キャスターが潜入しました。
【吉原功兼キャスター】「うわー、迫力あるな。近くに行けばいくほど、迫力が増しますね」
この日、吉原キャスターが訪れたのは、会場の南側に位置する「チェコパビリオン」です。
中央ヨーロッパの国・チェコ。らせん構造の木造建築を伝統的なアートガラスで覆うパビリオンを計画しています。 中にはチェコの料理やビールを堪能できるレストランや、チェコの音楽が楽しめるコンサートホールができる予定です。
【大末建設 村尾和則社長】「一枚一枚のパネルになっていて、ガラスが。らせんに合わせて取り付けていく。ねじれながら上がっていく」
【吉原キャスター】「らせんが外側に広がりながら、逆三角形型になっていく」
【大末建設 村尾和則社長】「万博でないと、そんなデザインの建設はなかなか経験できない」
外観に使われるのは、繊細な装飾が施されたチェコのアートガラス。 建物の大部分を占める木材は、チェコで加工されたもので、ここでは組み立てるだけ。
チェコからも大勢の職人がやってきて、日本の職人との共同作業で、少しでも工期を短縮する作戦です。 【吉原キャスター】「日本とチェコのやり方で、建設の仕方に違いはありますか?」
【チェコの職人 パトリク・シュタンツルさん】「違いはありません。大末建設の職人との共同作業で、困難に感じたことはありません。唯一つらいのは、日本の暑い気候です」
【吉原キャスター】「こういう仕事は今までありませんでしたか?」
【大末建設の職人 谷口正悟さん】「初めてです。建設業に入って初めて、英語を使って仕事をしています。めちゃくちゃ楽しいです」
【吉原キャスター】「仕事が終わった後に、懇親会を開いたりすることもあるんですか?」
【谷口正悟さん】「一度食事に行って、おすしを一緒に食べて。めちゃよろこんでくれていました」
【吉原キャスター】「何が人気でした?」
【谷口正悟さん】「ガリとかが…案外、ガリがみんな好きでした」
既に大枠ができ上がっている地下にも、特別に入らせてもらうことに。
【吉原キャスター】「おー結構、高いですね、天井。この場所はどういう場所になるんですか?」
【大末建設の職人】「キッチン。材料を上げていく形になります」
万博が終わった後は、この建物を解体し別の場所に移築できるよう、くぎなどをほとんど使わずに建てています。
【大末建設 村尾和則社長】「思いのこもった、こういう建物ができるというのは、万博しか味わえない。だからどうしても携わりたかった」
【吉原キャスター】「万博の開幕まであと半年ですが、実際ここで目にして、どういう万博にしたいですか?」
【チェコ政府代表 オンドジェイ・ソシュカさん】「作業はまだまだ残っています。ですが万博は、色々な人が交流し、各国の文化を体験できる素晴らしいイベントになると思います。チェコのパビリオンにもご招待できることを楽しみにしています」
11月中には木材の組み立てを終え、ガラスをはめていく作業に移ります。 それでも完成は来年3月というギリギリのタイミング。油断はできない状況です。
神戸市に住む新藤さん一家は、万博の「超早割チケット」を購入。 先行販売されていたチケットで、パビリオンやイベントの予約の抽選に、通常のチケットより1回多い、合計3回応募することができます。
予約ができるパビリオンはまだ限られていますが、1回の予約で第5希望まで応募でき、どれか1つの予約ができます。
【はるとくん】「これ1日で周るのきついかな?大きさはユニバと同じぐらいらしいから、同じ理論で言ったら、頑張れば6(のパビリオン)は行ける」
【みずきくん】「私、食べられるやつがいい」
【母・さとえさん】「美味しいの食べたいよね」
【はるとくん】「スイスのこんな感じのめっちゃきれいな中で、ご飯食べるところもある」
【母・さとえさん】「いいね!幻想的」
【母・さとえさん】「お母さんこれ(ゴーグルをかけるポーズ)がしたいの」
【はるとくん】「VR?VRはここにあるみたい」
VRが体験できるのは、ガス協会が出展するガスパビリオン。 ゴーグルを着けて、お化けの世界に入り込むアトラクションです。
【はるとくん】「『大阪ヘルスケアパビリオン』っていうのも気になった」
「大阪ヘルスケアパビリオン」は、「未来の健康と食」がテーマ。培養肉やIPS細胞で作られた心臓などが目玉です。
【はるとくん】「未来のヘルスケアとか、未来のフード食べられる」
【こうたくん】「未来のご飯ってなんなの?」
【母・さとえさん】「未来のご飯見てみたいね」
【はるとくん】「全部液体なんじゃない?」
【こうたくん】「もしかしたら、テレビから取れるかもしれない。ドラえもんみたいに」
無事みんなの意見もまとまり、応募完了。早くも当日にどう回るか考え始めています。
【母・さとえさん】「楽しみだね。これ1日で周りきれるかな」
【はるとくん】「グッズは、1個はほしいな」
【こうたくん】「ガンダムの銅像がほしい。17メートルの銅像」
【母・さとえさん】「それは置けんやろ」
期待も芽生え始めた一方で、ギリギリの状況が続く準備作業。 万博開幕は、半年後に迫っています。
番組コメンテーターでジャーナリストの浜田敬子さんは「課題は工事の遅れだけではない」と指摘します。
【ジャーナリスト 浜田敬子さん】「どんどん遅れることで、運用、オペレーションのテストも遅れていくと思うので、そういうことの課題が残っています」 「さらに収支がどうなるかです。10日、経団連会長の戸倉さんが、『収支についてはギリギリ黒字確保できそうだ』と言っていましたが、個人用のチケットの販売がまだまだ伸びてないという問題もありますし、やっぱりまだまだ関心も低い。大阪の人たちはすごく盛り上がっているけど、関東全くやっぱり話題がないんですよね。なので、収支がどのような形で収まるのかというのも気になります」
他には、“iPS細胞で作られた心臓”や“火星の石”などの目玉が出てきて、気運が高まっていくのか注目されます。 楽しみにされている方もいらっしゃるので、裏切ることのないように進めてほしいと思います。
(関西テレビ「newsランナー」2024年10月11日放送)