兼好法師ゆかりの寺で、不正な土地取引や罪などに問われている元住職の男について、大阪地方裁判所は懲役2年6カ月の実刑判決を言い渡しました。
■被告は「平安時代創建・兼好法師ゆかりの寺」の「15代目住職」
これは去年10月、辻見被告が逮捕される4日前に、参拝客らとともに護摩行をする様子です。
辻見被告は逮捕前、平安時代に創建されたと伝えられ兼好法師ゆかりの古刹「正圓寺(しょうえんじ)」の15代目・住職でした。
■犯行につながったのは「特養」建設めぐる資金繰り悪化
去年、辻見被告は別の被告の男に、寺の土地を売買したと装う虚偽の登記をした疑いなどで4回にわたり逮捕・起訴されました。
辻見被告に事件を持ちかけたとして会社役員の男ら3人も逮捕・起訴されています。
起訴状などによると、辻見被告らは寺の敷地内に特別養護老人ホーム建設しようとした際に資金繰りが悪化。
建設会社から土地が差し押さえられるのを免れるため犯行に及んだということです。
■住職不在となった寺は赤字に苦しみ 寺を畳むことも視野に
この事件をめぐってはまた別の問題も。
辻見被告の逮捕によって住職不在となった正圓寺(しょうえんじ)は、寺の関係者によると、20近い檀家が事件の影響で寺から離れ、参拝客も大幅に減ってしまったことから、運営は赤字に。
現在は、僧侶4人のボランティアによって運営しているのが実情です。
【正圓寺 南奉秀文住職代行】「檀家や信者からは『(辻見被告には)戻ってきてほしくない』という声がかなり多くあります」(Q寺は今後、どうなると思うか?)「全くわからないですね、私たちが手を引けば、お寺は閉まることになると思います」
このまま、寺を畳むことも視野に入れているということです。
■「自分が一番寺のこと知っている」辻見被告は再建に意欲
一方、辻見被告は関西テレビの取材に対しこう語っていました。
【正圓寺・元住職 辻見覚彦被告】「批判とかは甘んじて受け入れますけど、お寺がちょっとずつでも良くなっていけるように、頑張っていきたいなと思っています」
(Q住職としてまた戻りたいか?)「それはあります。生まれ育ったお寺でもありますし、自分が一番お寺のことを知ってると今でも思います」
(Q再び住職として戻る時は頭は丸めるんですか?)「丸めます!」
自らの手で寺を再建すると主張していました。 そんな辻見被告は、ことし3月から始まった裁判で起訴内容を全面的に認め、検察側は懲役4年を求刑していました。
■「『寺を守りたい』動機でも正当化されない」懲役2年6カ月の実刑判決
そして、大阪地方裁判所は7日の判決で、「『寺を守りたい』という動機があったとしても、犯行が正当化されないのは当然」と指摘。
さらに、「資金繰りの目途も立たないまま、特別養護老人ホームの計画を安易に進めたのが大きな要因」などして、辻見被告に懲役2年6カ月の実刑判決を言い渡しました。
正圓寺の住職代行は「関係者と相談した上で、寺の今後について方針を定めたい」としています。