円安でインバウンド再び…大阪ミナミは中古ブランド品買い物の激戦地に! “100万”円単位の予算でショップを巡る外国人たち 日本人に「思わぬ影響」も 2023年07月11日
一時期のコロナ対応が沈静化し、社会・経済が動き始めたことで、街には外国人観光客の姿が増えました。長期にわたって続く円安の効果もあって今、外国人観光客にとって日本は「買い物天国」になっています。
大阪・ミナミで旅行客に聞くと、皆さん、高額の買い物を楽しんでいます。
【中国からの旅行客】
「(買ったのは)SK-Ⅱとルイ・ヴィトンのサイフなど。全部でたぶん25万円」
【シンガポールからの旅行客】
「以前よりたくさん買えるようになりました。本、服、靴、電化製品・時計とか。1500~2000ドル(16〜21万円)くらいです」
多くの外国人観光客が行き交うミナミでは新店ラッシュです。コロナ禍の影響で2021年に閉店した大手免税店「ラオックス道頓堀店」が、今年4月に同じエリアで再び営業を始めました。
そんな中、外国人観光客の間で需要が高まっているのが、「日本の中古ブランド品」です。
【オーストラリアからの旅行客】
「友達に、『ここで買い物するといいよ』って勧められたの」
数々の世界的ブランドの店舗が出店している御堂筋。この通りから一本入ったエリアは、中古ブランド販売店の激戦区になっています。
そのうちの1店をのぞいてみると…来る人来る人、外国人。購入客の8割以上がインバウンドだということで買い物の様子をのぞかせてもらいました!
4年ぶりにイギリスから遊びにきたという家族、お買い物予算はなんと100万円だそうです。
【店長】「こちら20年物です」
【夫】「これいいじゃない、いいじゃない」
【妻】「これがいいわ」
【店長】「お買い上げに?」
【妻】「まだよ。ちょっと待って」
結局、ルイ・ヴィトン2点、およそ17万円分をパパっと購入、「安いですね」と笑顔で感想を語っていました。1ドル=110円ほどだったコロナ前より、円安の影響で5万円以上も安く買えたことになります。
インバウンドで再び日本経済に活気が戻ってきた!と、いい事ばかりのようにも思えますが、今、思わぬ影響が日本人にあるというのです。
その影響がよくわかる商品があるということで、中古ブランド品販売店の店長に話を聞くと…
【ブランドオフ心斎橋店 王鶯樺店長】
「売れてしまってここにはないんですけど、バーキンの495万円が直近で売れています。即買いでした」
世界中にファンが多い、エルメスの「バーキン」。新品定価だとおよそ160万円程度ですが、今は中古で300万円です。
【ブランドオフ心斎橋店 王鶯樺店長】
「倍まではいかないんですけど、状態にもよるんですが(中古品も)去年より価格が上がっております」
そもそも、ブランド品の新品定価が上昇している上に、人気商品は世界的に品薄。正規店でも購入できません。結果、中古品に需要が集まっています。
さらに、外国人観光客にとって魅力的な「円安」という状況が重なり、日本の中古ブランド品の価格が急上昇。日本人が買いたくても買えないような値段になっているんです。
【ブランドオフ心斎橋店 王鶯樺店長】
「観光客が来て、求める人が多くて、買う物が同じ物であれば、そのものに関して金額もアップしますね」
アメリカ・カリフォルニアから「バーキン」を探しに日本に来た女性が来店しました。予算はおよそ216万円と言います。
【アメリカ人女性】「これいつの?」
【店員】「2022年物です」
【アメリカ人女性】「おいくら?」
店員が値札を見せると、女性は「検討してみます。名刺をいただける?」と話し、女性はいったん購入を見送って、別のバーキンと比較するため違う店に向かいました。
女性は「円安こそ、私が日本でバーキンを探している理由の1つです。以前よりは高いと思うけど、米ドルでの買い物と比べると円安はかなり助かるの」と話していました。
戻ってきたインバウンドの影響で、日本人が買いにくくなるという皮肉な現象が現れました。街で日本人に話を聞くと「うらやましいと思いますね。うらやましいです。自分たちも買いたいなと思います」「賃金が上がってくれればと思います。」「俺も買ってみたい」といった声が聞かれました。
続く物価高に、円安とインバウンドが重なり、日本人が思わぬ影響を受けるご時世となっています。
(関西テレビ「newsランナー」2023年7月11日放送)