今、炭酸飲料の売り上げが好調で、総務省の家計調査では、2人以上の世帯支出額が右肩上がり。
さらにコロナ禍でグンと伸び、特に女性のユーザーが増えているそうです。
中でも炭酸水が絶好調。
各社揃って新商品を発売しています。
売れている炭酸飲料の裏側にはどんなヒミツがあるのか、ヒットのワケを取材しました。
■プチ贅沢で沈んだ気持ちをリラックス
【薄田ジュリアキャスター】
「炭酸飲料を求めてやってきたのは、フレッシュマーケットアオイさんです。飲料コーナーには炭酸水が勢ぞろいですね。『強炭酸』の文字、最近よく見かけますよね。ほかにはストロング、さらにはフレーバーがはいってるものも。種類豊富です」
日本コカ・コーラ史上、最強の炭酸水という「アイシー・スパーク」。
発売から3週間で1600万本出荷の大ヒットに。
サントリーが6月に発売した炭酸水「THE STRONG 天然水スパークリング」も、史上最高レベルの強炭酸に加え、「バキバキ」に尖ったボトルで、視覚でも触覚でも刺激を感じられるとして人気だといいます。
おなじみの「ウィルキンソン」は1904年のブランド設立以来、過去最高売り上げを達成。
なぜ今炭酸飲料が人気なのでしょうか。
【アサヒ飲料 マーケティング一部 服部真也さん】
「昨今のコロナの流行があると、中々リフレッシュする機会がないと思います。そこで飲料でもリフレッシュを求めるようなことがあって、無糖炭酸の健康感みたいなところもセットで“刺激”と“健康”でまさに今のお客さんのニーズに合っているのかなと」
30年以上炭酸の研究をしている専門家に話を聞いてみると…。
【国際医療福祉大学 前田眞治教授】
「飲んだ時に口の中が刺激されて脳に刺激が伝わり、数秒後にはリラックスした脳波が増えてきます。(水より)それらがちょっと高いということで、今のコロナ禍の落ち込んだ気持ちをちょっと和らげて、ちょっと贅沢する『プチ贅沢』に惹かれると」
■SNS研究で変化した「盛り付け」
さらに今、注目されているというのが“映える「クリームソーダ」。
「#クリームソーダ」で検索すると、インスタグラムには約50万件投稿されていて、カラフルなものから海の世界観を表現しているものなど、進化系が盛りだくさん。
関西にも人気の店があるということで奈良県橿原市にやってきました。
【薄田キャスター】
「まん丸のアイスがのってかわいらしい!ブルーのグラデーションですごくきれいですね」
実は、この「うのまち珈琲店」では、これまでクリームソーダはあまり売れていなかったとのことで、ヒットに導いたヒミツを聞いてみると…。
【うのまち珈琲店 小田墾代表】
「盛り付けを変更しました。中身は一緒ですが、提供数が5倍に増えました」
容器を変えるだけでなく、SNSなどを見て改善を重ね、商品が可愛く撮れる盛り付けを研究したといいます。
【小田代表】
「半分飲食店ではない。例えばアパレルだったり物販だったり、飲食じゃない業界の価値観を持ってこないと勝ち残っていけない世界観に来てるなと思っています」
■薬の知識を活用…おいしく健康に
そして今人気急上昇中なのが「クラフトコーラ」。
スパイスや柑橘などが使われているのが特徴で、モスバーガーが期間限定で販売しているほか、成城石井では発売から2カ月半で約10万本売り上げ、ペットボトル飲料で売上金額第1位のヒットになっています。
さらに、自分で作りたいという人には、家で作れるキットまで登場しています。
クラフトコーラの販売に乗り出すのは、飲食業界だけではありません。
去年9月から販売されている「おにみみコーラ」。見た目は普通のコーラですが…。
【薄田キャスター】
「後味に残る色んなスパイスの複合的なこの味わい。飲み進めたい感じですね」
【端壮薬品工業 中村康之也 代表取締役】
「お客さんと対峙するのは20年以上職人やってる中で初めてで手探りでやってます」
実は「おにみみコーラ」を作っているのは、奈良で110年続く老舗の製薬会社。
【中村代表取締役】
「コーラって元々なんだったんだろうと調べたら、薬剤師さんがシロップとして売っていて、炭酸で割って薬局で提供したと。頭痛によかったり胃腸によかったりっていうような目的で、薬剤師が作ったっていうのを知りまして」
実際に薬作りとどのような関係があるのか、製造現場を見せてもらいました。
【中村代表取締役】
「コーラの原料は13種類あり、そのうち3種類で、季節によって味わいであったり、寄せるポイントであったりを変えていこうかと」
店主の中村さんのこだわりは、季節に合わせて効能を変化させることだそうです。
【中村代表取締役】
「読書の秋に、知力のレモンバーム。脳内の伝達物質の分解をする酵素を抑制する作用があるから知力が上がるかもというのを期待して」
ほかにも食欲の秋に向けて、胃腸を整えるスパイスなども入れています。
【中村代表取締役】
「なんでもかんでも入れていいわけじゃない。採って調べて比較的安全なものの組み合わせでいきたいなというのがありましたので、(薬づくりの)発想としては近かったのかなと」
奈良では他にもクラフトコーラ作りが広がっていて、「ポニーの里ファーム」のコーラには、キハダという植物が使われています。
調べてみると、奈良の特徴とクラフトコーラは相性がいいようで…。
昔から伝わる薬で、美味しいだけでなく、健康も意識できるのが人気のヒミツのようです。
【端壮薬品工業 中村代表取締役】
「製薬会社ではあったんですけど、体調を崩した方の商品でしたので、今は元気な方に楽しんでもらえる商品を手掛けさせてもらってありがたいです。日々暗いこともたくさんありますが、彩りじゃないですけど楽しんでもらって、みなさんの暮らしの歯車の中に入れたらいいなと思っています」
(カンテレ9月7日放送『報道ランナー』 「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)