新たに開発された段ボールベッドその名も「ひらいてポン」!。
開発したのは神戸市長田区の靴メーカーの社長です。
最大の特徴は「組み立てやすさ」だそうで、実演して頂くと…
【山本社長】
「はい、これを倒すと出来上がりです」
1分かからずに完成しました。
しかしなぜ、靴メーカーが段ボールベッドを作ったのでしょうか?
【山本社長】
「靴屋なので会社には段ボールがたくさんあるので。それを切ったり貼ったりしながらやったら、開くと立体に何かできないかなということで、ピンと来たのが飛び出す絵本なんですよ」
従来品はパーツが多く組み立てるのが難しいと考え、山本さんは飛び出す絵本のように開くだけでほぼ形が出来る仕組みを追求。
説明書を読んでいない記者でも簡単に組み立てられました。
【記者】
「ちょっと寝てみてもいいですか。段ボール感はあまり感じないですね。適度に柔らかい、だけどもちゃんとしっかりしている」
山本さんが開発に乗り出したのにはあるきっかけがありました。
【山本社長】
「おととしの西日本豪雨のニュースの中で、体育館の映像が映ったときに、段ボールで囲いしているのを見て、神戸でもこんなことがあったなと…」
25年前に起きた阪神・淡路大震災。
東京でサラリーマンをしていた山本さんが実家のある長田区に駆け付けるとそこには変わり果てた故郷と寒さに凍える避難所がありました。
当時の避難所は、体育館などの床に布団を敷いただけで、仕切りもなく、体調を崩し、命を落とす人が相次ぎました。
このことから「災害関連死」という言葉が生まれ、その後の災害でも重大な課題となっています。
25年が経ち、段ボールベッドなどの登場で、プライバシーが守られ避難所の環境は少しずつ改善しています。
神戸市長田区のふたば学舎は廃校になった小学校を活用し震災学習の拠点などになっていて災害時の避難所にも指定されています。
施設を運営するNPO法人の山住勝利さんは山本さんの段ボールベッドを紹介する記事を見て、その日のうちに連絡し購入しました。
【山住さん】
「これまでの段ボールベッドはどうしても早くても5分から10分くらいかかる。1分ぐらいで作ることができるっていう、そこのところが一番大きくて、これはすごいと思いました」
全国的にみると自治体と段ボール製造業者が、協定を結び災害時に段ボールベッドを届けてもらうようにするケースが増えていますが、山住さんはあらかじめ用意しておくことが必要だと話します。
【山住さん】
「大規模な台風や地震が起きた時は、道路が寸断されて交通網とかマヒすることが考えられる。協定を結んでいても、段ボールベッドが工場から運んで来られないということが懸念される。(避難所に)ある程度の数は少なくとも置いといたほうがいい」
実際に最近の災害時も段ボールベッドが届かず避難所の床で寝るのを余儀なくされるケースは少なくありません。
【山本社長】
「熊本地震の時も実際に来たのは10日ぐらいかかったと聞いています。その間は地べたで寝ているので、お年寄りなんかは10日も地べたで寝るのは大変かなと思います」
『飛び出す絵本のように段ボールベッドが、長田の街を飛び出して災害関連死を防いでほしい』山本さんの願いです。