平成28年 新春社長記者会見

2016年2月2日(火)

2016年1月22日(金)「新春社長記者会見」を行いました。
概要は以下の通りです。

年頭に当たって

昨年は視聴率で非常に苦しんだ年で、それが業績を直撃し、中間決算で営業損失となりました。今年はなんとか早い段階で視聴率を回復させたいと同時に、今の厳しい状況の中、作りあげてきた財務体質に更に手を加え、安定した経営基盤を築いていきたい。またそうする事で、激変するメディア環境の中、当社が様々なことに打って出ていくことができると考えています。
今年は、コンテンツメーカーとしての価値を厳しく問われる年になる事を覚悟し頑張っていきたいと思います。

編成状況

2015年の年間視聴率ですが、全時間帯とも在阪民放4社の中で4位という結果でした。これは4月に行った午後帯と火曜日のゴールデン・プライムタイム大改編の結果が今のところ芳しくないということです。しかしながら、反撃の兆しは随所に出てきています。例えば、昨年10月期の連続ドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』は、インターネット上も含めて非常に大きな反響をいただいたドラマでした。また火曜19時『ちゃちゃ入れマンデー』、ゴールデンタイムでのローカルバラエティ番組ですが、ようやくその時間帯で戦えるようになってきたと思っています。午前帯に関しても『よ~いドン!』がまだまだ絶好調です。『とくダネ!』も好調ですので、午前帯だけ取ってみますと在阪でトップを走っています。『さんまのまんま』もご好評をいただきながら30年目に入りました。また年末年始も、昨年よりは若干上向いています。4月改編に向けての課題は、午後帯の立て直し、火曜ゴールデンのバラエティの立て直しといったところが大きなテーマになってくると思います。
この1月からの火曜ドラマ枠では、『お義父さんと呼ばせて』がスタートしました。1回目の放送では良いスタートが切れたと思います。ご存じの通り、各局含めてたくさん新しいドラマが出ている中で、今回のドラマは結構異色なドラマになっている気がします。ある意味ホームドラマの快作ではないかと思っています。あの強面の遠藤憲一さんの可愛さ、お義父さん役の渡部篤郎さんとの激突も是非楽しみに観て頂きたいと思います。
そして現在4月改編の作業を進めています。そのテーマである「大阪での制作環境をもう少し強くしていこう」という事にも関連しているのですが、火曜深夜のローカルドラマ『大阪環状線 ひと駅ごとの愛物語』が完成致しました。30分・1話完結のドラマで、全てを4K収録致しました。全部で10本あるのですが、今回初めてドラマを撮る若いディレクター(監督)が4人、初めてドラマを書く脚本家が数人、技術からも初めてのドラマ現場となる若手スタッフが多数参加しました。過去、ドラマなどで数々賞をいただいてきた当社制作部の木村弥寿彦を中心としたベテランスタッフ達がそのノウハウを伝えながら、若いスタッフで撮った作品というのも1つの売りであり、大きな実績となりました。彼らが今後、ドラマ制作や4K技術を使いこなしていく人間になっていくことと期待しています。低予算内で撮るため、収録には2日間しか取れない、環状線を使って移動した、など様々な工夫を凝らして撮影した色んなエピソードを聞いていましたが、出来上がった作品は大変面白く仕上がっています。すでに第2話まで放送を終了していますが、4Kで撮影したものを2Kにダウンコンバートし、地上波で火曜深夜25:55から放送。その翌日に、ひかりTVさんのご協力を得て4Kで配信をしています。ぜひご覧になっていただければと思います。
その他、今年も『R-1ぐらんぷり2016』を3月6日(日)19時から全国放送します。2002年に関西テレビと吉本興業が組んで優良コンテンツを育てようという事で立ち上げた当番組も既に14回目になります。 こうした大阪発のコンテンツ発信を、これからもどんどん行っていきたいと思います。

業績について

2015年度の上期は(関西テレビ単体で)2,600万円程度の営業損失を計上する結果となりましたが、様々な費用構造の見直しやスポットシェアの下落を食い止める営業努力、また放送関連事業での収支改善などで挽回し、通期では14億円程度の営業利益を確保できる見込みとなっています。

※2016年3月期第3四半期(2015年4月~12月)業績

関西テレビ単体での放送事業収入は434億700万円(前年比△1.5%)、内放送収入は383億3,100万円(前年比△2.8%)。この内タイム収入は昨年4月から火曜21時枠でのネットセールスが加わった事や、ローカルタイムで年末などの単発番組のセールスが健闘したため、前年同期比+4.5%と前年を上回っています。

その他放送事業収入では、事業イベント、動画配信、グッズ販売などが売り上げを伸ばし、前年比+9.4%となりました。

その結果、営業利益10億7,500万円(前年比△54.5%)と「減収減益」ではありますが、上期での営業損失から黒字に転じています。経常利益は18億900万円(前年比△40.9%)となり、特別損失には退職年金制度変更に伴う会計処理の他、投資有価証券評価損などを計上しています。

連結売上高は475億9,900万円(前年比△1.4%)、営業利益14億2,000万円(前年比△46.9%)、経常利益20億2,800万円(前年比△38.4%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億2,400万円(前年比△89.3%)で、減収減益となりました。

2016年3月期第3四半期業績は、以下の通りです。
1. 連結 経営成績
(単位:百万円未満切捨)
  前期 当期 前期比増減
売上高 48,280 47,599 △680 △1.4%
(営業費用) (45,604) (46,178) (574) (1.3%)
営業利益 2,675 1,420 △1,254 △46.9%
経常利益 3,295 2,028 △1,266 △38.4%
税金等調整前四半期純利益 3,249 438 △2,811 △86.5%
四半期純利益 2,101 224 △1,877 △89.3%
親会社株主に帰属する四半期純利益 2,100 224 △1,876 △89.3%
※退職年金制度変更に伴う特別損失を計上
2. 単体 経営成績
(単位:百万円未満切捨)
  前期 当期 前期比増減
売上高 44,873 44,207 △665 △1.5%
(営業費用) (42,510) (43,132) (622) (1.5%)
営業利益 2,363 1,075 △1,287 △54.5%
経常利益 3,063 1,809 △1,254 △40.9%
特別利益 - 52 52 -
特別損失 44 1,643 1,598 -
税引前四半期純利益 3,019 219 △2,800 △92.7%
四半期純利益 1,981 111 △1,870 △94.4%
3. 単体 売上高内訳
(単位:百万円未満切捨)
  前期 当期
前期比増減
売上高 44,873 44,207 △665 △1.5%
  放送事業収入 44,074 43,407 △666 △1.5%
    放送収入 39,434 38,331 △1,102 △2.8%
      タイム収入 12,671 13,242 570 4.5%
      スポット放送料 26,763 25,089 △1,673 △6.3%
    その他放送事業収入 4,639 5,076 436 9.4%
  その他の事業収入 798 799 0 0.1%

報道・スポーツ・事業イベント・映画・動画配信等について

報道では昨年、ドキュメンタリー『軍神』が、文化庁が主催する芸術祭賞でテレビドキュメンタリー部門の優秀賞を受賞しました。昨年は戦後70年の年で、戦争をテーマにした数々のドキュメンタリーが放送された中で評価していただいた事を非常に嬉しく思っています。今後は、『ゆうがたLIVE ワンダー』の立て直しが一番大きな課題になりますが、私は当社報道局の取材力や企画力については、他社に引けを取っているとは思っておりません。ただ、皆さんにこの番組を見てもらう視聴習慣を作ってもらえるよう研究し、じっくり取り組んでいかなければと思っています。

スポーツ関連では、大阪国際女子マラソンを今月末に中継します。今年で35回目という歴史を重ねてまいりました。今回の大会では、リオデジャネイロ オリンピック・パラリンピックの選考レースとなっており、ワコールの福士加代子さんと天満屋の重友梨佐さんらに加え、ネクストヒロインと呼ばれる若い選手の方々とのレースは、大変熱い戦いになるだろうと楽しみにしています。

またプロ野球に関しては、昨年とほぼ同程度の試合数の中継を行えるよう現在調整しています。調べますと、監督になった最初の年に優勝する監督は過去16人と実に沢山いらっしゃいます。そういう意味でも、阪神の金本監督、オリックスの福良監督も(正式監督として)指揮を執られるのは今年からですので、非常に期待しています。

事業イベントに関しては、昨年、大阪城西の丸庭園内に特設劇場を建てて行いました『大坂の陣400年記念 大阪平成中村座』が、大変多くの方にご来場いただき、大成功の興業となりました。また現在開催中の『ダ・ヴィンチ!天才の遺産 レオナルドと歩む未来展』に加え、企画制作の舞台では中山美穂さん主演の『魔術』、鈴木おさむさん作・演出、大島優子さん・鈴木浩介さん主演の『美幸~アンコンディショナルラブ』や、中山優馬さん主演で、当社社員の木村淳演出2作目となる『それいゆ』、またショーでは、今年で9回目となる『バーン・ザ・フロア NEW HORIZON』の公演や、2年に1度やってきますシルク・ドゥ・ソレイユの公演、今回は『ダイハツ トーテム 大阪公演』が開催されます。その他、展示イベントでは、今年92歳を迎えられますが、益々お元気で現在も新作を創作中でいらっしゃる藤城清治さんの『愛と平和の祈り 藤城清治展』を奈良で開催する他、『デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~』、『恐竜博2016』など、様々な事業イベントを予定しています。

また映画におきましては、昨年、玉森裕太さん・西内まりやさん主演、当社社員監督の三宅喜重で『レインツリーの国』という映画を作りました。とてもほのぼのとした良い映画に仕上がったと思っています。また今年も三宅監督で、織田裕二さん主演の映画『僕の妻と結婚してください。』を秋に公開させていただきます。そのほか昨年は、連続ドラマから10年、映画「アンフェア」シリーズの第3弾『アンフェア the end』も大ヒットとなり、皆さんに愛され続けた作品を作れた結果だと嬉しく思っています。

2015年は動画配信の元年だと言われてきました通り、動画配信事業の環境が大きく動きました。TVer(ティーバー)がすでに100万件を超えたという事もあり、今年は更に加速しそうな勢いを感じています。当社のコンテンツ供給実績も、5年前から比べると約7倍、3年前から比べると約2.6倍の伸びとなっており、ドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』や、深夜のバラエティ『桃色つるべ~お次の方どうぞ~』の配信及びDVD販売も非常に好評です。また1月クールのドラマ『お義父さんと呼ばせて』で、初めての無料配信を実施することにしました。今後も、TVOD(※)、SVOD(※)に加え、動画配信の3つ目のサービスとしてADVOD(※)の可能性を探るトライアルと位置付け、再生データなどの検証を行っていくと共に、様々なプラットフォームにコンテンツを出していく展開を行っていきます。

また海外展開においては、ドラマシリーズ『素敵な選TAXI』が日本での放送 から1年以上経過していますが、非常に好調で、アジア各国・米国などへのセールスが成立しています。

TVOD(※)=「Transactional Video On Demand」(都度課金型動画配信)
SVOD(※)=「Subscription Video on Demand」(定額制動画配信)
ADVOD(※)=「Advertising Video On Demand 」 (広告付き無料動画配信)

次世代放送に向けた取り組み

4K/8K関連他、次世代放送に向けた新たな取り組みとしては、HDRでの制作に取り組んでいます。当社の社員カメラマンが企画を出し、2015年度総務省事業「8K等コンテンツの制作に必要な技術の検証」に選出されたHDR制作番組『世界基準!ヤマトナデシコの挑戦(仮)』では、3人の女性アスリートをオムニバスに4K映像で紹介する内容に加え、ドローン撮影・水中撮影の撮影検証も含めながら、女性アスリートの筋肉の動きや躍動感などを、かなり綺麗に映像化した作品が完成しました。<※今年2月以降でChannel 4Kでの放送、今年度内に地上波で放送予定。>
その他、当社の社員による技術開発においては、一昨年・昨年と民間放送連盟の最優秀賞・優秀賞を受賞するなど社外からも認めていただいています。
昨年末に発表させていただいた民生用ビデオファイル再生機「カメレオン」や、LEDマルチロケーションライト「エリオット」の開発においては、「こんなものが要るよね」という現場の発想から、非常に実用的ですぐ使えるシステムを開発したと聞いています。今年もそういった技術の開発能力にも更に磨きをかけ、励んでいって欲しいと思っています。

CSR活動報告

当社では、テレビ局ならではのメディアリテラシー活動を中心に、地域の皆様と連携した様々な社会貢献活動を行っています。小・中学校や高校に出向いての出前事業、高校生や大学生に向けた映像制作支援、系列局あげてのチャリティーキャンペーン、また当社独自の「児童虐待防止キャンペーン」などの活動にも力を入れています。当社の活動は、CSRレポートや企業情報を当社HPにて公開しています。