神戸の街中で「おいらん道中」今も昔も“客集め”の工夫はいろいろ「せいもん払」今でいうバーゲンで盛り上げ【兵動大樹の今昔さんぽ 関西テレビ「newsランナー」】 2024年05月24日
【兵動さん】「神戸市の三宮からスタートです。三宮には番組でけっこうお世話になっています。さあ今日の写真、これ古いな」
1952年(昭和27年)に神戸市で撮影された写真です。どこの風景でしょうか?
■にぎやかに「おいらん道中」が練り歩く古い写真
【兵動さん】「情報量はすごいね。『おいらん(花魁)道中』。よう時代劇とか出てくるよね。気になるのは右側のちょんまげの人、おまえは誰やねんみたいな。おいらん道中と関係あるのか」
【兵動さん】「(幕に書かれた)『せいもん払』ってなんや。そして『三宮センター街商店会』。今もあるセンター街と一緒なら、JRの線路の南側ですけど、なんかのパレードかなあ。神戸まつりのパレードか、センター街の出し物か」
三宮の駅前では、いまから競馬場に行くという男性2人組や、泊まりがけで同窓会を楽しむ女性3人組、いろんな方に話を聞いてみましたが、写真に関する有力な情報は得られません。やはり「三宮センター街」に向かうことにしました。
【兵動さん】「(三宮センター街のアーケードを歩いて)新しい店がめちゃくちゃ多いな。今風のお店ばっかりやわ」
【兵動さん】「(「あかつき書房」を見つけて)こちらは歴史あるやろ。古本屋さんやね。すみません、お話よろしいですか。歴史ある本屋さんですね」
【あかつき書房 店主】「ここで開業してから75年になります。そのとき私の父なんですけど、2階で生活をして、下で本屋をしている。ほとんどのセンター街の人が2階に住まいを構えて、子どもはここから学校行っていた」
【兵動さん】「センター街はそういうお店の集まりやったんですか。へえ。遊び場と言ったらどこだったんですか」
【あかつき書房 店主】「それはこの周りどこでも。(この前の商店街で野球したり?)そうです」
【兵動さん】「今、想像つかない。商売するところでもあったけど、生活の場でもあった」
【あかつき書房 店主】「60~70年前はね」
写真について聞いてみると…
【あかつき書房 店主】「ほとんど忘れてるんですけど、確かにアーケードはなかったな。『せいもん払(誓文払い)』というのは、今でいうバーゲンというか」
【兵動さん】「バーゲンやセールみたいなもんで、お客さん集めみたいなことですかね」
【あかつき書房 店主】「活気をつけるために、こういう風にやったんかな。センター街の歴史なら、事務局がありますので、そこで聞いてもらったら詳しいことが分かります。淳久堂書店の上ですわ」
■今も昔もセンター街では街を盛り上げるイベントがいろいろ
【兵動さん】「関西テレビの『newsランナー』という番組で回らせてもらっているんですが…」
教えてもらった事務所は会議中だったのですが、事情を話したところ少しならお話ができるということで、写真について教えてもらいました。
【三宮センター街1丁目商店街振興組合 事務局長 桂隆さん】「(おいらん道中?)聞いたことあります。(場所はセンター街?)だと思います。『三宮センター街商店会』と書いてあって、当時そういう組織ができたと聞いています。戦後、闇市とかの店舗がいっぱいあった中で、この辺におられた方が、それ(闇市)じゃアカンということで、集まって会を作ったという話を聞いたことがあります」
【兵動さん】「それがセンター街の始まりなんですね」
写真はそのセンター街を盛り上げるイベントの一つではないかとのこと。時代に合わせさまざまなイベントを行ってきたそうです。
【兵動さん】「今もここで何かやられているんですか?」
【桂隆さん】「もともとセンター街はアパレル中心のファッション街でしたので、年2回、3月と9月にファッションショーを大々的にやっていますね。この通りでモデルさんが歩くんです。けっこう有名なんですけど」
【兵動さん】「ごめんなさい。僕の勉強不足で、すみません」
【桂隆さん】「『知らんのかい』っていう感じ」
【桂隆さん】「そのほかに、夜バルという形で、飲食を楽しめるイベントを年数回やっています」
また“夏の名物”となっているアトラクションもあるそうで…
【桂隆さん】「氷の中に子どもが喜ぶおもちゃを閉じ込めて、溶かしておもちゃが出てきたら持って帰れる」
【兵動さん】「子どもはずっと待ってるの?」
【桂隆さん】「いえいえ。一生懸命手で触って溶かしたり。ときどきお父さんが車のキーで削ったり…」
【兵動さん】「いろんな取り組みをされていて、この写真と精神は同じで、商店街にお客さんがいっぱい来てほしいということですね」
写真が商店街のどこで撮影されたのか、写っているお店の看板を見ても心当たりはないとのこと。古いお店で聞くのがいいだろうということで、100年以上続く「毛利マーク」へ行ってみることになりました。
「毛利マーク」はセンター街を西へ進んだ2丁目にお店があります。兵動さん、お店を見て何やら思い出したようで…
【兵動さん】「関西テレビの『newsランナー』という番組で回らせてもらっている兵動ですが、前にも寄せてもらいましたよね。トロフィーのお店。(兵動さんの)サイン置いてくれてる。もう6年前や」
「毛利マーク」はトロフィーと造花を扱うお店。1914年創業でセンター街に店を構えてから110年。まさに街の生き字引となっています。
【兵動さん】「面白い街ですね。昔は2階に住んでいたという話を聞いた」
【毛利マーク 藤井淳史さん】「お義母さんはずっとここに住んで、育って、働いて」
【毛利マーク 毛利都志子さん】「そう。だからアーケードの下でかくれんぼした思い出がある」
写真の手がかりになるかもと、センター街の歴史をまとめた本を見せてもらいました。ページをめくっていくと、おいらん道中について書かれた記事がありました。
【兵動さん】「『しっぽりぬれた おいらん道中』って書いてる。『誓文払いのアトラクションとして、役員全員扮する全町あげてのおいらん道中』『センター街が広く世間に認められるきっかけを作った』」
【毛利マーク 藤井淳史さん】「そうやってみんなで力を合わせていた。センター街ができたときって、まだそんなに人が来てなくて、街の人が“サクラ”になって練り歩いて人を寄せていたって聞いたことがあります。すごい、商魂たくましいというか」
【兵動さん】「(写真のちょんまげの人)おまえ誰やねんと思ったけど、この人も役員の人で、盛り上げようと思って着物着て歩いてたんだ。それを『おまえ誰やねん』なんて、本当にすみません」
【毛利マーク 毛利都志子さん】「(写真の場所は?)分かりました。『ニューホープ』や。ここありますから、今も。ちょうどうちの前で写しているぐらいかな」
本には1956年のお店の並びも掲載されており、「ニューホープ」と「毛利マーク」の名前も載っています。
商店街に出てみると確かにありました。
【兵動さん】「あるわニューホープさん。元気にやられている。この写真、『毛利さん』が撮ったんちゃうかなと思うぐらいの場所やな。はいチーズ」
【兵動さん】「昔は町にあった商店街。店の上に住んで、ここで子どもがかくれんぼやキャッチボールしていた。そのセンター街が今は立派になっています。ぜひみなさん買い物に来てください。歩いてるだけで最高の街ですよ」
(関西テレビ「newsランナー」 2024年5月17日放送)